母子登校とは?|付き添いが必要になる理由と、長引くときに親が見るポイント
- 2026/10/13
- 2026/10/07

「毎朝、学校まで一緒に行っている」
「教室まで付き添わないと入れない」
「授業中も、親が廊下や教室にいないと不安になる」
こうした状態が続くと、
「いつまで付き添えばいいのだろう」
「少しずつ離れた方がいいのかな」
「このまま付き添っていたら、一人で行けなくなるのでは」
と悩む親御さんもいると思います。
母子登校について調べると、「少しずつ付き添う距離を短くする」「安心できるまで付き添う」など、さまざまな対応が出てきます。
ただ、実際の支援では、「母子登校だから、この方法」と一律に考えることはできません。
同じように母親が教室まで付き添っていても、親を必要としている理由は子どもによって違うからです。
母子登校で大切なのは、「どうすれば親と離れられるか」だけを考えることではありません。
子どもが学校生活のどこで適応しにくさを感じているのか。その中で、親の存在が何を補っているのか。
そこを整理したうえで、子ども自身ができることを増やし、難しいことには工夫や仕組み、人の助けを使えるようにしていく。
みちびきでは、「親と離すこと」そのものを目標にするのではなく、親がいなくても子ども自身が対処できることを増やしていくことを大切にしています。
この記事では、これまで不登校や母子登校の家庭を支援してきた経験も踏まえながら、母子登校を見るときに大切にしたいポイントを解説します。
母子登校とは?
母子登校とは、子どもが一人で登校したり学校で過ごしたりすることが難しく、母親など保護者の付き添いによって登校や学校生活が成り立っている状態を指して使われる言葉です。
付き添い方はさまざまです。
たとえば、
- 自宅から学校まで一緒に行く
- 校門まで付き添う
- 下駄箱まで付き添う
- 教室まで一緒に行く
- 教室の外や廊下で親が待つ
- 授業中も教室内に親がいる
などがあります。
「母子登校」という呼び方が使われていますが、実際には父親や祖父母など、母親以外の家族が付き添っている場合もあります。
「付き添い登校」と母子登校は違う?
「母子登校」「付き添い登校」「親子登校」など、さまざまな呼ばれ方があります。
一方、文部科学省の不登校に関する通知や統計では、「母子登校」が独立した統計区分として扱われているわけではありません。
そのため、どの状態までを母子登校と呼ぶかについて、全国共通の明確な線引きがあるわけではありません。
この記事では、保護者の付き添いによって登校や学校生活が成り立っている状態を、広く「母子登校」として扱います。
母子登校は不登校に含まれる?
母子登校をしているからといって、それだけで文部科学省の統計上の「不登校」に該当すると判断することはできません。
「学校には行けているけれど、親がいないと教室に入れない」という子もいれば、欠席と母子登校を繰り返している子もいます。
また、「母子登校」は文部科学省の不登校統計における独立した集計項目ではないため、「母子登校をしている子どもが全国に何人いるのか」という人数を、不登校統計からそのまま把握することもできません。
大切なのは呼び方を決めることより、その子が現在、学校生活のどこで困っているのかを把握することです。
母子登校には、さまざまな状態があります
母子登校というと、「母親と離れられない子」を想像する人もいるかもしれません。
しかし、実際の様子は一人ひとり違います。
たとえば、同じように母親が教室まで付き添っている子でも、
- 一日中、何度も母親がいるか確認する
- 朝は母親を必要とするが、授業が始まると確認しなくなる
- 好きな活動をしている間は、母親をほとんど確認しない
- 給食や発表など、特定の場面になると母親を探す
といった違いがあります。
そのため、「どこまで付き添っているか」「何時間付き添っているか」だけでは、子どもの状態は十分に分かりません。
みちびきでは、付き添っている距離だけでなく、
どんな場面で親を必要とし、どんな場面では親がいなくても動けているのか
を細かく見ていきます。
なぜ母子登校になるの?
母子登校になる理由は一つではありません。
親と離れることへの不安が関係している場合もありますが、それだけではなく、教室、学習、友人関係、先生との関係、給食、発表、運動など、学校生活の特定の場面に困りごとがあり、親がいることで何とか対処できている場合もあります。
また、一つではなく、複数の困りごとが重なっていることもあります。
実際、海外の「school refusal(登校拒否・登校困難)」に関する研究でも、その背景は一様ではありません。
2022年にオンライン公開されたシステマティックレビューでは、school refusalのある子ども・若者とそうでない子どもを比較した研究を整理し、個人・社会・環境にまたがる複数の関連要因が確認されています。特に、不安や不安に関連する症状、多様な学習上のニーズなどが、両者の主な違いとして指摘されています。
ただし、海外研究で用いられるschool refusalと、日本で一般に使われている「母子登校」は同じ概念ではありません。
研究結果をそのまま母子登校の原因として当てはめるのではなく、「登校が難しくなる背景は一つではない」ことを理解するための知見として捉える必要があります。
親と離れることへの不安
自宅では一人で過ごせても、学校で親と離れる場面になると強い不安が出る子もいます。
ただし、「親と離れると泣く」という行動だけから、その理由を決めることはできません。
学校や教室への不安
校門までは比較的落ち着いていても、校舎や教室に入るところで不安が強くなることがあります。
その場合は、「親と離れること」以外に、学校内で何か難しさがないかも見ていきます。
給食・発表・運動など、特定の場面への苦手意識
学校そのものが嫌なのではなく、
「給食が嫌」
「人前で発表するのが怖い」
「プールの日は行きたくない」
など、特定の活動への苦手意識が登校への不安につながっている場合もあります。
学習や人間関係など、複数の要因が重なる場合
本人が「学校が嫌」と言っていても、自分でも何が嫌なのか分かっていないことがあります。
そのような場合に、何度も「何が嫌なの?」と聞くだけでは、なかなか答えが出ないこともあります。
どの曜日に難しくなるのか、どの授業なら参加できるのか、誰といるときは落ち着いているのかなど、子どもの行動や場面ごとの違いから見えてくることもあります。
母子登校=母子分離不安なの?
母子登校をしているからといって、必ずしも「母親と離れること」そのものが一番の困りごとだとは限りません。
school refusalと不安について30研究を整理した2022年のレビューでも、関連していた不安は分離不安だけではなく、社会不安、学校不安、状態・特性不安など複数にわたっていました。
もちろん、親との分離に対する強い不安が関係している子もいます。
しかし、「母親と離れられない」と最初から決めてしまうと、その先にある困りごとを見落とす可能性があります。
だからこそ、「どうすれば母親から離れられるか」ではなく、「なぜ今、この子には親の存在が必要なのか」という視点を持つことが大切です。
母子登校では「親とどう離れるか」だけを考えない
母子登校の相談では、
「校門で離れた方がいいですか?」
「泣いていても帰った方がいいのでしょうか?」
「少しずつ付き添う距離を短くした方がいいですか?」
と聞かれることがあります。
もちろん、離れる場所やタイミングを考えることが必要な場合もあります。
ただ、みちびきでは、朝の離れ方だけを変えれば母子登校が解決するとは考えていません。
見るのは、学校生活のどこで適応しにくさが生じていて、親の存在がその何を補っているのかです。
たとえば、体育の時間には母親をほとんど確認しないのに、国語の発表になると何度も母親を見るのであれば、「人前で話すこと」や「間違えることへの不安」など、発表場面に難しさがないかを考えます。
給食になると母親を必要とするのであれば、食べることだけでなく、「苦手なものを減らしてほしいと言えるか」「困ったときに先生に相談できるか」といったところまで見ていきます。
親がいることで学校に行けているのであれば、親が現在、その子の何を支えているのか。
ここを整理することが、その後の支援を考える手がかりになります。
みちびきが母子登校で見る6つのポイント
ここからは、これまで母子登校の家庭を支援してきた経験から、みちびきが実際に大切にしている視点をご紹介します。
これは医学的な診断基準や研究上確立された分類ではなく、支援の中で子どもの現在地を整理するための視点です。
1.学校生活のどこで適応しにくさが生じているか
「学校に行けない」と一括りにしません。
登校なのか。
校門なのか。
教室なのか。
給食なのか。
発表なのか。
学習なのか。
友人関係なのか。
まずは、どこから難しくなるのかを細かく見ます。
2.親の存在が何を補っているか
親がいることで、
- 安心できる
- 次に何をすればよいか判断できる
- 先生に伝えてもらえる
- 困ったときに助けてもらえる
- 気持ちを整理できる
など、さまざまなことが考えられます。
「親が必要」という結果だけではなく、親がいることで何ができるようになっているのかを見ます。
3.すでに子どもができていることは何か
「一人で登校できないから、まだ何もできない」とは考えません。
家から校門までは歩ける。
教室に入れば授業には参加できる。
好きな活動なら親を確認しない。
困ったことを家では話せる。
このように細かく見ると、すでにできていることが見つかることがあります。
4.できる日とできない日では、何が違うか
同じ子でも、毎日まったく同じ状態ではありません。
体調、睡眠、その日の予定、学校で行われる活動、不安の強さなどによっても変わります。
「できた/できなかった」という結果だけではなく、何が違ったのかを見ます。
5.子ども自身が身につけられそうな力は何か
困ったときに考える。
自分で選ぶ。
気持ちや希望を伝える。
人に助けを求める。
失敗したあとに、次の方法を考える。
こうした力は、学校だけではなく、その先の生活でも使っていくものです。
6.工夫・仕組み・人の助けで補うところはどこか
すべてを子ども一人の努力で解決する必要はありません。
本人ができることを増やす一方で、どうしても難しいことについては、
「どう工夫すればできそうか」
「誰に助けてもらえばいいか」
「どんな仕組みがあれば動きやすいか」
を考えます。
「昨日できたのに、今日はできない」は後退なの?
昨日できたことが今日できなかったからといって、必ずしも後退したとは考えません。
みちびきでは、一度できたことは、その子がすでに持っている力の一つとして捉えています。
ただし、「一度できたのだから、毎日できるはず」という意味ではありません。
たとえば昨日は校門で母親と離れられた。
ところが今日は泣いてしまい、教室まで付き添った。
すると親御さんは、
「また元に戻ってしまった」
「昨日できたのは、たまたまだったのかも」
と感じることがあります。
でも、一度校門で離れられたのであれば、その子にその行動が全くできないわけではありません。
まだ、どんな状態でも安定してできるところまで定着していない可能性があります。
だから、
できた日は何が違ったのか。
今日は何が難しかったのか。
どうすれば、できる状態を再現しやすくなるのか。
を考えていきます。
昨日より付き添う距離が長くなったことだけを見て、「後退した」と決める必要はありません。
母子登校は甘やかし?付き添い続けると自立できない?
付き添っているという事実だけで、「甘やかし」「過保護」と判断することはできません。
今、その子が学校で過ごすために必要な支えになっていることもあります。
一方で、子ども自身ができるようになったことまで親が担い続けていると、自分でやってみる経験が生まれにくくなる場合もあります。
だから大切なのは、「付き添うか、付き添わないか」ではなく、「今、この子にはどこまで支援が必要なのか」を見ていくことです。
わが子のことになると、心配しすぎることもある
私たち大人も、最初から社会の中で何でもうまくできたわけではないと思います。
失敗したり、悩んだり、ときには誰かに助けてもらったりしながら、
「こういうときは、こうすればいい」
「これは苦手だから、こう工夫しよう」
と、自分なりの方法を少しずつ身につけてきたのではないでしょうか。
でも、その過程は楽なことばかりではありません。
だから親になると、「わが子には、なるべくつらい思いをしてほしくない」「困る前に助けてあげたい」と思うことがあります
自分のことなら「一度やってみよう」と思えることでも、わが子のことになると心配になる。
それは珍しいことではないと思います。
だからこそ、家庭での関わりを見る目的は、「親が悪いところを探すこと」ではありません。
今の子どもに必要な支援はどこまでなのか。
本人に任せられるようになったところはないか。
親が手伝った方がいいところはどこなのか。
その境界を、子どもの成長に合わせて見直していきます。
母子登校が続いていると、
「私が付き添っているから、一人で行けないのかな」
「もっと早く離れた方がよかったのかな」
と、自分の関わり方を振り返る親御さんもいます。
たしかに、子どもの成長に合わせて、親の支え方を見直していくことは大切です。
でも、それは「親の関わりが悪かったから、母子登校になった」ということではありません。
母子登校や不登校には、子どもの不安や学校での困りごと、これまでの経験、家庭や学校での環境など、さまざまなことが関係します。
だからみちびきでは、親御さんを責めるために家庭での関わりを見るのではなく、
「今のこの子に必要な支えは何か」
「もう任せてもよさそうなことは何か」
を整理するために、家庭での関わりも一緒に見ていきます。
家庭での関わりを見直すと、学校での行動にも変化が出ることがある
親御さんが母子登校で困ったとき、どうしても朝の対応に目が向きます。
しかし、子どもが自分で考えたり判断したりする経験は、登校時だけに起きているわけではありません。
日常生活の中でも、
困ったとき、すぐ親に答えを求めるのか。
まず自分で考えてみるのか。
自分の希望を相手に伝えられるのか。
失敗したときに、次の方法を考えられるのか。
難しいときに、人に助けを求められるのか。
こうした経験を積み重ねています。
そのため、母子登校の支援でも、必要に応じて学校での離れ方だけではなく、家庭での親子の関わり方や役割まで整理することがあります。
親がすべて先回りするのではなく、子ども自身が考えたり、やってみたりする余地をつくる。
そのうえで、難しいところには必要な支援をする。
そうした経験の中で、
「自分でできた」
「困ったけれど、何とかできた」
という感覚が少しずつ増えていくことがあります。
みちびきが考える「自立」とは?
自立とは、何でも一人でできることではありません。
自分でできることは、自分でやってみる。
困ったときには考える。
必要なら方法を工夫する。
それでも難しければ、人に助けを求める。
「自分にはこういう方法がある」と、自分なりに対処できる選択肢を持つことも、自立の一部だとみちびきでは考えています。
これは、「何があっても一人で学校へ行ける子にする」ということとも違います。
文部科学省も、不登校児童生徒への支援について、「学校に登校する」という結果だけを目標とするのではなく、子どもが自らの進路を主体的に捉え、社会的に自立することを目指す必要があるとしています。
実際の支援例|一日中付き添っていた子が、自分で対処できることを増やしていったケース
実際にみちびきで支援した家庭の中に、母親が学校の教室に入り、一日中付き添っていたケースがありました。
その子には、学校生活の中でいくつか苦手なことがありました。
その一つが給食です。
苦手な食べ物が多く、「量を減らしてほしい」「これは苦手なので残したい」といったことを自分から先生に伝えるのも得意ではありませんでした。
そこで家庭では、食わず嫌いだったものについては無理のない範囲でチャレンジしてみたり、
「自分はどうしたいのか」
「先生にはどう伝えたらいいのか」
を、お母さんにも手伝ってもらいながら整理していきました。
少しずつ、自分でお願いできることが増えていきました。
それは給食を食べられるようになることだけが目的ではありません。
困ったことがあったときに、自分の希望を整理して、必要な相手に伝える。
その経験を積むことにも意味があります。
そうした中で、「自分でできた」という経験が少しずつ増え、給食に対する苦手意識も以前より小さくなっていきました。
この家庭では、給食以外についても親子の関わり方や本人ができることを整理しながら支援を進めていきました。
その後、親がいなくても自分で対処できる場面が増え、最終的には母親が学校に付き添わず、一人で登校できるようになりました。
もちろん、「給食への対応をすれば母子登校が解消する」という話ではありません。
これは、母子登校そのものだけに介入するのではなく、子どもが学校生活で困っていることを一つずつ整理し、自分なりに対処できる方法を増やしていった一つの支援例です。
付き添いは少しずつ減らした方がいい?
付き添う距離や時間を少しずつ減らすことが有効なケースはあります。しかし、「母子登校だから段階的に離す」と一律に進めるものではありません。
親が焦っている場合には、むしろ離れることを急がない方がよいと考えることもあります。
インターネットで、
「○年生なら一人で登校させるべき」
「付き添い続けると依存する」
「少しずつ距離を伸ばす」
といった情報を見て、不安になることもあると思います。
しかし、その方法が今の子どもの状態に合っているかは別の問題です。
大切なのは、
今どこまでならできるのか。
どこから支援が必要なのか。
次の一歩として、何なら「できた」を経験できそうなのか。
を見極めることです。
子どもが泣いているのに、離れてもいい?
「泣いているから離れてはいけない」「泣いていても離れるべき」と、泣いているという行動だけで決めることはできません。
たとえば、
親が離れた後、先生に気持ちを切り替えられるのか。
長時間強い混乱が続くのか。
何を怖がって泣いているのか。
普段はどこまで一人でできているのか。
その日の学校には何が予定されているのか。
同じ「泣く」でも、その背景は違います。
だから、泣かせないことだけを目標にするのでも、泣いていても離れることを目標にするのでもなく、その子の現在地を見ながら判断することが必要です。
母子登校はいつまで続く?
母子登校が続く期間に、「○か月まで」「○年生まで」といった一律の目安はありません。
どのくらい続いたかだけではなく、子どもが自分でできることや、親を必要とする場面、困ったときに取れる方法がどう変化しているかを見ていくことが大切です。
たとえば、
- 自分でできることは増えているか
- 親を必要とする場面は変わっているか
- 困ったときに取れる方法が増えているか
- 親自身も子どもの状態を客観的に見られるようになっているか
といった変化を見ていきます。
昨日より今日の付き添い時間が長かったとしても、少し長い期間で見れば、子ども自身ができることが増えていることもあります。
母子登校が長引くときには、「いつまで?」だけではなく、「今、何が変わっていて、何が変わっていないのか」を見ることが一つの手がかりになります。
▶「母子登校はいつまで続く?長引く理由と解消するための具体的な対処法」もあわせてご覧ください。
母子登校が長引いているとき、学校には何を相談する?
学校に相談するときも、「母子登校をやめたいです」だけではなく、具体的な情報を共有した方が、対応を考えやすくなります。
たとえば、
- 学校のどの場面で不安が強くなるのか
- 親が離れた後はどうなるのか
- どの先生とは比較的話せるのか
- どの授業や活動なら参加できるのか
- 本人がすでに一人でできていることは何か
- 家庭ではどのような変化が出ているのか
- 学校側にお願いしたい支援は何か
などです。
文部科学省も、既存の学校教育になじめない子どもについて、学校側が受け入れ方を検討し、なじめない要因の解消などに努める必要があるとしています。
家庭だけで何とかしようとせず、学校で調整できることについては学校と相談することも大切です。
「社会に適応する」とは、我慢して学校に合わせることではありません
学校も含めた社会には、本人に合わせてすぐには変えられないことも多くあります。
だからこそ、子ども自身が、「この社会の中で、自分はどうすればやっていけるのか」を少しずつ学んでいくことも必要だと、みちびきでは考えています。
ただし、それは、「嫌でも我慢する」「周囲に合わせる」という意味ではありません。
自分にできることを増やす。
自分なりの方法を工夫する。
自分の気持ちや希望を伝える。
一人では難しければ、人に助けを求める。
利用できる仕組みがあるなら使う。
そうやって、その環境の中で自分なりに対処できる方法を増やしていくことです。
私たち大人も、最初から社会の中でうまくやってこられたわけではないと思います。
失敗したり、悩んだり、人に助けてもらったりしながら、自分なりの方法を身につけてきたのではないでしょうか。
その過程が簡単ではないことを知っているからこそ、「わが子には、なるべくつらい思いをしてほしくない」と思う。それも親心だと思います。
だからこそ、親がすべての困難を取り除くのではなく、必要なところでは支えながら、子ども自身が「自分で何とかできた」と感じられる経験をどこで作れるかを考えていきます。
母子登校の相談では、何をする?
みちびきでは、「母子登校です」という状態だけから対応を決めることはありません。
たとえば、
- いつから母子登校になったのか
- 幼稚園・保育園時代に行き渋りはあったか
- 現在どこまで付き添っているのか
- 付き添っているとき、子どもはどのように過ごしているか
- 親を確認するのはどんな場面か
- 逆に、親を確認しないのはどんな場面か
- 学校生活で本人が困っていることは何か
- 家庭では困ったときにどうしているか
- 自分で考えたり、決めたりする経験がどの程度あるか
- 現在、すでに本人ができていることは何か
などを整理します。
子どもの様子を丁寧に見取り、そこから背景や難しさを整理して、支援の方向性を考える。
みちびきでは、その過程を「見立て」と呼んでいます。
なお、文部科学省の不登校支援に関する通知でも、効果的な支援のためには、学級担任だけでなくスクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカー等による「アセスメント(見立て)」が有効であるとされています。
みちびきの「見立て」が文部科学省のアセスメントと同一という意味ではありませんが、目に見える行動だけで対応を決めず、背景や状況を整理したうえで支援を考えることは、不登校支援においても重視されています。
そして、一度決めた対応を続けるだけではありません。
見取り → 見立て → 関わる → 反応を見取る → 見立てを更新する
というように、子どもの変化に合わせて対応も見直していきます。
みちびきが支援の中で行っている「見立て」については、こちらの記事で詳しくご紹介しています。
▶「不登校・母子登校を相談すると何をする?|支援でまず行う『見立て』とは」
まとめ|「母子登校だから○○する」ではなく、この子に何が必要なのかを見る
同じ母子登校でも、親の付き添いが必要になっている理由は同じではありません。
だから、「母子登校だから、付き添いを減らす」「泣いているから、ずっと付き添う」と方法から決めるのではなく、この子は、学校生活のどこで適応しにくさを感じているのか。
親がいることで、何ができているのか。
すでに自分でできることは何か。
これから本人が身につけられそうな力は何か。
難しいことには、どんな工夫・仕組み・人の助けを使えるか。
一つずつ整理していくことが大切です。
目指すのは、「何でも一人でできる子」にすることではありません。
困ったときに考えられる。
自分の希望を伝えられる。
別の方法を試せる。
必要なときには人を頼れる。
「自分にはこういう方法がある」と思える選択肢を増やしていくこと。
その結果として、親が付き添わなくても過ごせる範囲が広がっていくことがあります。
みちびきでは、母子登校という目に見える行動だけでなく、子どもの状態、家庭での関わり、学校での様子などを整理しながら、その家庭に必要な支援を一緒に考えています。
「どこまで付き添えばいいのか分からない」
「離れた方がいいのか、まだ支えた方がいいのか迷っている」
「ネットでいろいろ調べたけれど、わが子の場合が分からない」
という方は、一度状況を整理してみてもいいかもしれません。
みちびきでは、母子登校の状態だけを見て「付き添いを減らしましょう」と対応を決めるのではなく、子どもの様子やこれまでの経過、学校で困っていること、家庭での関わりなどを整理しながら、その家庭に必要な支援を考えています。
母子登校について、みちびきでは実際にどのような相談・支援を行っているのかは、こちらの記事で詳しくご紹介しています。
そのうえで、「一度わが家の状況を整理してほしい」と思われた方は、お問い合わせフォームからご相談いただけます。
プロフィール

佐藤 博家庭教育コーディネーター/
代表カウンセラー(みちびき)
15年間、不登校や母子登校のご家庭を訪問支援。子どもの「自分で社会とつながる力」を育む土台づくりに尽力。文科省協力者会議委員やいじめ対策委員も歴任。「傾聴で終わらせない、変化につながる関わり」が信念。お子さんへの直接支援に加え、ご家庭の課題を可視化し、親御さんと共に解決するスタイルが特長。家庭教育等の講演・研修も多数。「家庭からはじまる社会的自立支援」を推進します。

鈴木 博美家庭教育コーディネーター/
統括ディレクター(みちびき)
家庭教育アドバイザー・訪問カウンセラーとして9年間、不登校や親子関係に悩むご家庭を支援。2025年、支援10年目を迎えます。全国の家庭への直接支援を通し、親御さんとの対話で子どもの社会的自立をサポート。家庭内の会話や関わり方を可視化し、非認知能力を育む声かけや実践的なアドバイスで親子に伴走。保護者向けセミナーや講演も多数。「支援に迷う方こそ安心して相談できる存在」を目指し、家庭の再構築に丁寧に取り組みます。
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