小1の行き渋りはなぜ起こる?「学校に行きたくない」と言う理由と親の対応
- 2026/11/05
- 2026/10/27

「昨日までは元気に学校へ行っていたのに、突然『行きたくない』と言い始めた」「毎朝泣いてしまい、玄関から動けない」「学校まで付き添えば登校できるけれど、いつまで続ければいいのだろう」
小学1年生の行き渋り(登校しぶり)に直面すると、保護者はさまざまなことで悩みます。無理に行かせてよいのか、休ませた方がよいのか。親が付き添うことで安心できるなら、続けた方がよいのか。それとも、少しずつ離れる練習をした方がよいのか。
インターネットで調べると、「子どもの気持ちに寄り添いましょう」「無理をさせないことが大切です」「子どもを信じて見守りましょう」といった助言が見つかります。もちろん、どれも大切な視点です。しかし、それだけでは、明日の朝から具体的にどう対応すればよいのか分からないこともあるでしょう。
家庭教育支援「みちびき」では、これまでの親子への支援経験を通して、同じように見える行き渋りでも、その背景や必要な対応は家庭によって異なることを実感してきました。
この記事では、小学1年生の行き渋りが起こる背景を整理しながら、親ができる具体的な対応と、その対応が必要な理由を解説します。大切にしたいのは、登校できたかどうかだけでなく、子どもが何に困っているのかを理解し、その子に合った関わり方を考えることです。
小学1年生の行き渋りはなぜ起こる?
小学1年生の行き渋りには、さまざまな背景があります。入学直後から学校に行きたがらない子もいれば、最初は楽しそうに通っていたのに、数週間から数か月が過ぎてから行き渋りが始まる子もいます。
まず知っておきたいのは、「学校に行きたくない」という言葉が、必ずしも一つの明確な理由を表しているわけではないということです。
入学後の環境変化や疲れ
幼稚園や保育園から小学校に進むと、子どもの生活は大きく変わります。決められた時間に授業を受けること、先生の指示に従って集団で行動すること、自分で持ち物を管理することなど、求められることが増えていきます。
大人から見れば小さな変化でも、子どもにとっては初めて経験することの連続です。学校では一生懸命に頑張っていても、帰宅後には疲れが出たり、翌朝になると気持ちが向かなくなったりすることがあります。
また、入学直後は緊張感によって頑張れていても、学校生活に慣れ始めた頃に疲れが表れる場合もあります。「最初は行けていたのに、なぜ今になって?」と考えるのではなく、それまでどのように学校生活を送っていたのかにも目を向けてみましょう。
友達・先生・授業など学校生活の困りごと
友達との関係、先生とのやり取り、授業の難しさ、給食、休み時間の過ごし方など、学校生活の中に困りごとがある場合もあります。
例えば、授業中に分からないことがあっても質問できない、友達の輪に入れない、先生に注意されたことが強く印象に残っている、といったことです。
さらに、教室の騒がしさや音、集団行動の負担などが影響する子もいます。発達特性や感覚面の困難が関係している場合には、本人の努力だけで解決しようとせず、学校での環境調整を考えることも必要です。
こうした困りごとは、家庭での様子だけでは分からないことがあります。子どもが「学校は楽しい」と話していても、特定の時間や場面では強い負担を感じている可能性があります。
親と離れることへの不安
小学1年生の行き渋りでは、親と離れることへの不安が関係している場合もあります。ただし、その背景は一つではありません。
一つは、親と離れること自体に強い不安を感じているケースです。学校に限らず、親の姿が見えなくなることや、別々の場所で過ごすことに不安を感じる子もいます。
もう一つは、学校生活の中で不安を感じるようになった結果、親から離れることが怖くなっていくケースです。
例えば、教室で困ったことがあっても自分では解決できない、先生に助けを求められない、友達との関係に不安がある。そのような状況で、親がそばにいることで安心できるようになると、登校時に親と離れられなくなることがあります。
この二つは、外から見ると同じ「ママと離れられない」という状態に見えるかもしれません。しかし、必要な対応は必ずしも同じではありません。実際には、両方の不安が重なっている場合もあります。
親から離れる練習だけを進めるのではなく、学校で安心して過ごせる環境が整っているかも確認することが大切です。
本人にも理由が分からないことがある
「どうして学校に行きたくないの?」と尋ねても、「分からない」「なんとなく嫌」と答える子もいます。
小学1年生の子どもが、自分の気持ちや困りごとを十分に言葉で説明できるとは限りません。複数の小さな負担が重なっている場合には、本人にも理由を整理できないことがあります。
そのため、理由を答えられないからといって、困っていないと判断することはできません。反対に、何度も理由を尋ねることで、子どもが答えを出さなければならないと感じてしまうこともあります。
言葉だけでなく、学校での様子、家庭での過ごし方、体調、行き渋りが始まった時期などを合わせて確認していきましょう。
同じ行き渋りでも、子どもによって背景は違う
行き渋りへの対応を考えるときには、子どもがどのような場面で困っているのかを具体的に見ることが大切です。
ここでは、小学1年生の家庭で見られることのある場面を取り上げます。ただし、同じ反応が見られても原因が同じとは限らないため、以下は原因を決めつけるための分類ではありません。
朝だけ泣く・玄関で動けなくなる
起床後は普段どおり過ごしていたのに、制服に着替える頃から表情が曇る。玄関まで来ると泣き出したり、動けなくなったりする。
このような場合、まず確認したいのは、どの場面で気持ちや行動が変化するのかという点です。
家を出ること自体に不安があるのか、親と別れる場面がつらいのか、それとも学校に到着した後の何かを心配しているのか。反応が強くなるタイミングは、困りごとを理解する手がかりになります。
ただし、泣いている子どもをその場で問い詰めても、十分に説明できるとは限りません。落ち着いている時間に話を聞いたり、学校の先生と情報を共有したりしながら確認する方がよい場合もあります。
学校に着くと元気に過ごせる
朝は激しく泣いていたのに、学校に着くと友達と遊び、授業にも参加している。先生から「学校では楽しそうですよ」と言われることもあるでしょう。
この場合、「学校に行けば大丈夫なのだから、朝は頑張らせればよい」と考えたくなるかもしれません。
しかし、学校で元気に過ごせていることと、登校時に不安を感じていることは矛盾しません。学校での活動は楽しめても、親と離れる瞬間には強い不安を感じる子もいます。
また、学校で頑張って過ごしているために、帰宅後に疲れや不安が表れることもあります。
登校後の様子は重要な情報ですが、それだけで朝のつらさを軽く判断しないようにしましょう。
「ママと一緒なら行く」と言う
親が付き添えば学校に行けるものの、一人では登校できない。教室まで一緒に行くことを求めたり、授業中も親にいてほしいと言ったりする場合もあります。
このようなとき、付き添いが子どもにとってどのような役割を果たしているのかを考える必要があります。
親がそばにいることで気持ちが落ち着くのか、学校で困ったときに助けてもらえる安心感があるのか、あるいは付き添いが続く中で親と一緒に行動することが習慣になっているのか。
背景によって、学校でのサポートを整えることが優先される場合もあれば、親と離れて過ごす機会を少しずつ増やしていくことが考えられる場合もあります。
付き添いを続けるか、減らすかという二択ではなく、今の付き添いが何を支えているのかを確認することが出発点になります。
行ける日と行けない日がある
月曜日は行けなかったけれど、火曜日は登校できた。午前中だけなら行ける日もある。好きな授業がある日は行けるのに、別の日には動けなくなる。
こうした五月雨登校の状態では、保護者も対応に迷いやすくなります。
まずは、行けた日と行けなかった日を比べてみましょう。曜日、授業、行事、睡眠、体調、前日の過ごし方などに違いがないかを確認します。
ただし、毎日の登校状況を細かく評価したり、子どもに何度も確認したりする必要はありません。親が状況を整理するために記録することと、子どもに登校を意識させ続けることは別です。
何か一つの原因を見つけようとするより、どのような条件で負担が増減しているのかを見ていくことが大切です。
小1の行き渋りに親ができる5つの対応
ここからは、家庭で考えたい具体的な対応を紹介します。
大切なのは、方法だけを覚えることではありません。なぜその対応が必要なのかを理解し、子どもの反応を見ながら調整することです。
① 子どもの気持ちを受け止める
子どもが「学校に行きたくない」と言ったとき、まずはその気持ちを否定せずに受け止めましょう。
「学校に行きたくないんだね」「今日はつらいんだね」と、子どもが伝えたことを確認する程度でも構いません。
ここで大切なのは、気持ちを受け止めることと、子どもの要求をすべて受け入れることを区別することです。
例えば、「学校に行きたくない」という気持ちは否定しなくても、その後の過ごし方や学校との調整まで、すべて子どもの希望どおりに決める必要はありません。
気持ちを受け止めるのは、子どもが自分の状態を安心して伝えられるようにするためです。親がすぐに説得したり、理由を問い詰めたりすると、子どもは困っていることを話しにくくなる場合があります。
一方で、毎朝「今日は行けそう?」「大丈夫?」と繰り返し確認することにも注意が必要です。
親としては、学校への連絡や仕事の調整が必要で、早めに見通しを立てたいこともあるでしょう。しかし、そのために子どもへ登校の可否を何度も尋ねると、子ども自身が毎朝「行くか、行かないか」を判断しなければならない状況になることがあります。
小学1年生に、その判断を一人で背負わせる必要はありません。
子どもの体調や不安の程度、困っていることを確認する必要はありますが、「今日は行けそう?」という曖昧な質問を習慣にするのではなく、何を確認する必要があるのかを整理しておきましょう。
② 朝だけでなく、学校での様子も確認する
行き渋りが起きると、どうしても朝の様子に注目しがちです。しかし、朝の行動だけを見ていても、困りごとの全体像が分からない場合があります。
学校ではどのように過ごしているのか。授業中に困っていることはないか。休み時間は誰と過ごしているのか。困ったときに先生へ助けを求められるのか。
こうした情報は、家庭では把握しきれないことがあります。
学校の先生に相談する際には、「学校では元気ですか?」という質問だけでなく、具体的な場面について確認してみましょう。
例えば、授業への参加状況、友達との関わり、休み時間の様子、登校直後の反応などです。
なぜここまで確認するのかというと、学校での負担が背景にある場合、家庭で声かけを変えるだけでは十分な対応にならないからです。
子どもが安心して過ごせる環境を整えるためにも、家庭と学校の両方から状況を把握することが大切です。
③ 登校方法や学校生活の負担を調整する
行き渋りへの対応は、「通常どおり登校する」か「休む」かの二択だけではありません。
子どもの状態や学校の受け入れ体制によっては、登校時間を調整する、先生に迎えてもらう、別室で過ごす、負担の大きい活動について相談するなど、さまざまな方法が考えられます。
ただし、負担を減らせばよいというものでもありません。
例えば、親の付き添いによって登校できている場合、その付き添いが今の子どもに必要な援助なのか、あるいは少しずつ関わり方を変えていける段階なのかを見極める必要があります。
学校生活に強い不安が残っているのであれば、まず安心して過ごせる環境づくりが必要かもしれません。一方、学校での安心感が育ってきているのであれば、先生に引き継ぐ場面を増やすなど、親と離れる経験を積んでいくことも考えられます。
その際には、子どもの反応を確認しながら進めます。強い混乱や心身の不調が続く場合には、進め方を見直す必要があります。
目指すのは、付き添いを早く終わらせることではなく、子どもが安心して学校生活を送れる状態を少しずつ整えることです。
④ 親が手伝うことと子どもに任せることを整理する
行き渋りがあると、親は子どもが困らないように、普段以上に手を貸したくなることがあります。
学校の準備を代わりにする、持ち物をすべて確認する、本人が困る前に答えを教える、子どもの代わりに先生へ伝える。こうした行動には、子どもを助けたいという思いがあるでしょう。
しかし、親が多くのことを引き受けることで、子ども自身が考えたり、判断したり、試したりする機会が減ってしまう場合があります。
子どもが自分で考えて行動し、「できた」と感じる経験は、自分の力に対する自信を育むうえで大切です。
ただし、ここで「手伝わない方がよい」と単純に考えないでください。
子どもが何をすればよいか分からず困っている場合には、手順を一緒に確認するなどの援助が必要です。発達段階や特性、心身の状態によっても、必要なサポートは異なります。
親がすべきなのは、一律に手を引くことではなく、子どもが自分でできる部分と、大人が支える必要のある部分を見極めることです。
この判断は決して簡単ではありません。実際に任せてみたときの子どもの反応を確認しながら、関わり方を調整していきましょう。
⑤ 学校と家庭で対応の方向性を共有する
家庭では子どもに任せようとしているのに、学校では先生がすべて手伝っている。反対に、家庭ではまだ援助が必要だと感じているのに、学校では一人でできることを求められている。
このように、家庭と学校で子どもへの関わり方が大きく異なると、子ども自身も戸惑うことがあります。
もちろん、家庭と学校でまったく同じ対応をする必要はありません。それぞれの環境で求められることは異なります。
大切なのは、子どもが今どのようなことに困っていて、何を目指して関わっていくのかを共有することです。
例えば、登校時に親と離れることが難しいのであれば、どの場所で先生に引き継ぐのか、困ったときには誰に相談できるのか、どのような反応が見られたら対応を見直すのか、といったことを具体的に話し合います。
家庭だけで解決しようとせず、学校と協力して環境を整えることも、子どもの自立を支える大切な方法です。
「休ませる? 行かせる?」と迷ったときの考え方
子どもが学校に行きたがらないとき、保護者にとって大きな悩みになるのが、登校を促すべきか、休ませるべきかという判断です。
しかし、この問いに対して、すべての家庭に当てはまる一つの正解はありません。
登校できたかどうかだけで判断しない
例えば、泣きながら登校した子どもが、学校では落ち着いて過ごせたとします。その経験が、次の登校への安心感につながる場合もあるでしょう。
一方で、学校で強い負担を抱えながら過ごしていたのであれば、登校できたことだけを成果として捉えるのは適切ではありません。
反対に、学校を休んだ日であっても、心身の状態が落ち着いたり、自分の困りごとを話せるようになったりすることがあります。
そのため、出席できた日数だけでなく、子どもの不安や疲れ、学校での過ごし方、家庭での変化なども合わせて確認する必要があります。
心身の負担が強いときは休息や専門的な相談を優先する
強い腹痛や頭痛、睡眠の乱れ、食欲の低下、激しい不安などが見られる場合には、登校を優先するのではなく、子どもの健康と安全を確認することが大切です。
身体症状が続く場合には医療機関へ相談し、強い心理的負担が疑われる場合には、学校のスクールカウンセラーや適切な専門機関と連携することも検討しましょう。
また、いじめや安全上の問題が疑われる場合には、子どもに我慢を求めるのではなく、学校での事実確認や安全確保を優先する必要があります。
行き渋りへの対応を考えるうえで、子どもが安心して過ごせることは欠かせません。
登校する場合も、負担を調整する方法がある
子どもの状態によっては、学校と相談しながら登校方法や学校での過ごし方を調整できる場合があります。
ここで注意したいのは、調整した方法を一度決めたら、そのまま続ければよいとは限らないことです。
例えば、親が教室まで付き添うことで安心して過ごせるようになった場合、その後も同じ付き添いが必要なのか、先生に引き継げる場面が増えてきたのかを確認していきます。
反対に、付き添いを減らしたことで不安が強くなった場合には、単に「まだ甘えている」と判断するのではなく、何が負担になっているのかを改めて整理する必要があります。
登校を促すか休ませるかだけでなく、今の子どもにどのような環境と援助が必要なのかを考えることが重要です。
行き渋りが続くとき、親子の関わり方で見直したいこと
行き渋りが続いているからといって、家庭での関わり方に原因があるとは限りません。学校環境、友達との関係、発達特性、心身の不調など、さまざまな背景を確認する必要があります。
そのうえで、家庭での関わり方を見直すことが、子どもの成長や安心感につながるケースもあります。
子どものための先回りが、自分で考える機会を減らしていないか
親が子どものために先回りすることは、決して珍しいことではありません。
失敗しないように準備してあげたい。困らないように答えを教えてあげたい。嫌な思いをしないように、代わりに解決してあげたい。
どれも、子どもを大切に思う気持ちから生まれる行動でしょう。
しかし、親が先に考え、判断し、解決することが続くと、子ども自身が経験できるはずだった機会まで減ってしまう場合があります。
例えば、学校で困ったことがあったとき、子どもが先生に相談する前に親が連絡して解決してしまう。翌日の準備でも、子どもが考える前に親が必要な物をそろえてしまう。
もちろん、大人が対応しなければならない問題もあります。しかし、子ども自身が取り組めることまで親が引き受けてしまうと、「自分で考えてできた」という経験を積みにくくなります。
親の先回りを見直す目的は、子どもを突き放すことではありません。子ども自身が持っている力を使える機会を増やすことです。
なぜ「自分でできた」という経験が大切なのか
子どもが自分で考え、判断し、行動する経験は、自分の力に対する自信を育むことにつながります。
親が多くの部分を手伝って成功した経験も、子どもにとって意味のあるものです。しかし、自分で工夫したり、迷いながら決めたりして達成できた経験には、「自分にもできる」という実感を得やすい側面があります。
みちびきがこれまで支援してきた家庭の中にも、親が子どものために先回りしていた部分を見直し、子ども自身が考え、判断する機会を増やしていったケースがあります。
その過程で、自分の判断に自信を持てるようになり、親がそばにいなくても安心して行動できる場面が増えていった子どももいました。
ここで大切だったのは、親が急に何もしなくなったことではありません。子どもに任せられる部分を整理し、自分で決める経験を少しずつ積めるようにしたことです。
例えば、家庭の中で「これは自分で決めてよいこと」「これは親に相談すること」という基準を明確にすると、子どもはその都度親に答えを求めなくても、自分で判断しやすくなります。
ただし、これは行き渋りのあるすべての子どもに同じ対応が必要だという意味ではありません。親から離れられない背景が学校での強い不安にある場合には、まずその不安への対応が必要になることもあります。
子どもに任せることと、親が支えることの境界線
子どもの自立を育むために、親の関わり方を見直すことは大切です。しかし、どこまで子どもに任せ、どこから親がサポートするのかという判断は、非常に難しい部分でもあります。
例えば、翌日の学校の準備が進まない場合を考えてみましょう。
何を準備すればよいか分かっているけれど、親に任せることが習慣になっている子と、何から始めればよいか分からず困っている子では、必要な対応が異なります。
前者であれば、子ども自身が取り組む機会を増やすことが考えられます。一方、後者であれば、準備する物を一緒に確認したり、手順を小さく分けたりするサポートが必要かもしれません。
また、子どもが自分で決めてよいことと、親や先生に相談する必要があることを、家庭内で整理する方法もあります。
例えば、宿題と遊びの順番や持ち物の整理方法などは、子ども自身が決められる場合があります。一方、健康や安全に関わること、学校での大きな困りごとなどは、大人が責任を持って対応する必要があります。
このように判断の基準を明確にすることで、子どもが自分で決める練習をしやすくなります。
ただし、登校するかどうかという大きな判断を、小学1年生の子どもだけに委ねることとは区別しなければなりません。
子どもの意思や状態を尊重することと、大人が必要な判断や環境調整を担うことは、両立するものです。
子どもの反応を見ながら、関わり方を調整する
親の関わり方は、一度決めたら変えてはいけないものではありません。
昨日は自分でできたことでも、今日は疲れや不安が強く、難しい場合があります。反対に、以前は手助けが必要だったことを、今は自分でできるようになっているかもしれません。
だからこそ、子どもに任せてみたときの反応を確認することが大切です。
自分で考え、工夫しながら取り組んでいるのであれば、すぐに答えを教えず、少し待つことができるかもしれません。何をすればよいか分からず困っているのであれば、必要な手がかりを示す方がよい場合もあります。
また、親に何度も確認する様子が見られるなら、判断の基準が曖昧なのか、それとも失敗することへの不安が強いのかを考えてみましょう。
ここで注意したいのは、一度の反応だけで正解・不正解を決めないことです。
泣いたからといって、必ずしも任せることが間違っていたとは限りません。反対に、泣かずに取り組んでいるからといって、負担がないとも限りません。
その前後の様子や、時間をかけて見られる変化も含めて判断する必要があります。
親が手伝うことが悪いのでも、子どもに任せることが常に正しいのでもありません。今の子どもに必要な援助を見極め、反応に合わせて調整することが大切なのです。
この境界線を家庭だけで判断することが難しい場合には、第三者と一緒に親子の関わり方を整理することも一つの方法です。
小1の行き渋りはいつまで続く? 相談する目安は?
行き渋りが続くと、「いつになったら普通に学校へ行けるのだろう」「このままずっと付き添わなければならないのだろうか」と、不安になることもあるでしょう。
行き渋りや付き添い登校は、いつまで続く?
行き渋りや付き添い登校がいつまで続くのかは、子どもの状態や背景によって異なります。何週間、何か月で落ち着くと一律に示すことはできません。
ただし、今、親が付き添わなければ登校できないからといって、これからもずっと付き添いが必要だと決まったわけではありません。
子どもの成長や学校環境の調整、家庭での関わり方の変化によって、親と離れて過ごせる場面が増えていくこともあります。
一方で、家庭で試した対応がうまくいく場合もあれば、思うような変化が見られない場合もあります。
ほかの家庭でうまくいった方法が、我が子にも合うとは限りません。
大切なのは、「いつまで続くのか」という期間だけに注目するのではなく、子どもが何に困っているのか、今の対応によってどのような変化が見られているのかを確認することです。
付き添いを続けている場合にも、その役割や必要性を定期的に振り返り、子どもの状態に合わせて関わり方を調整していきましょう。
相談を考えたい状況とは
行き渋りについて相談するタイミングに、明確な日数の基準があるわけではありません。
例えば、強い不安や身体症状が続いている、学校での困りごとが解決できていない、付き添いが長期化して親子ともに負担が大きい、家庭でさまざまな対応を試しても状況が整理できない、といった場合には、早めに相談することを考えてよいでしょう。
また、まだ登校できている段階でも、毎朝のやり取りで親子が疲弊しているのであれば、相談を先延ばしにする必要はありません。
相談先としては、担任の先生や学校のスクールカウンセラー、自治体の教育相談窓口などがあります。心身の不調がある場合には医療機関、発達面や学校生活での困難がある場合には、それぞれに対応できる専門機関への相談も選択肢になります。
相談することは、すぐに大きな支援を始めなければならないという意味ではありません。まずは今の状況を整理するだけでも、次に考えるべきことが明確になる場合があります。
親だけで相談するという選択肢
行き渋りの相談というと、子ども本人がカウンセリングを受けることを想像する方もいるかもしれません。
しかし、子どもが相談に前向きではない場合や、まだ自分の気持ちを十分に説明できない場合もあります。
そのようなときには、保護者だけで相談するという方法もあります。
家庭教育支援「みちびき」では、親御さんからお話を伺い、子どもの状態や学校での様子、家庭での関わり方などを整理しながら、今の家庭に必要な対応を一緒に考えています。
例えば、朝の声かけをどうするか、付き添いをどこまで続けるか、子どもに任せることと親が手助けすることをどう分けるか、といった悩みも相談できます。
私たちが大切にしているのは、支援者が家庭に代わって答えを出し続けることではありません。
親御さん自身が子どもの状態を理解し、家庭に合った対応を考え、必要に応じて調整できるようになること。 その積み重ねが、子どもの自立だけでなく、家庭全体の自立にもつながると考えています。
「まだ相談するほどではないかもしれない」と感じている段階でも、親子の状況を整理するために相談することはできます。
まとめ|小1の行き渋りは、子どもの状態を知ることから
小学1年生の行き渋りには、入学後の環境変化、学校生活での困りごと、親と離れることへの不安など、さまざまな背景があります。
同じように朝泣いている子でも、何に困っているのかは異なります。そのため、「無理に行かせない」「親が付き添う」「子どもに任せる」といった方法のどれか一つを、すべての家庭に当てはめることはできません。
まずは、子どもがどのような場面で困っているのかを確認すること。そして、学校での環境や家庭での関わり方を整理し、必要な援助を考えていくことが大切です。
親が手を貸すことで安心できる場面もあれば、少し手を引くことで、子どもが自分の力を発揮できる場面もあります。その境界線は、子どもの成長や状態によって変わっていきます。
今、行き渋りや付き添い登校が続いているからといって、その状態がずっと変わらないと決まったわけではありません。
焦って答えを出すのではなく、我が子に何が必要なのかを一つずつ整理していきましょう。
みちびきでは、小学1年生の行き渋りや母子登校について、親御さんだけでのご相談も受け付けています。家庭での対応に迷っている場合は、現在の状況を整理するところからご相談いただけます。
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プロフィール

佐藤 博家庭教育コーディネーター/
代表カウンセラー(みちびき)
15年間、不登校や母子登校のご家庭を訪問支援。子どもの「自分で社会とつながる力」を育む土台づくりに尽力。文科省協力者会議委員やいじめ対策委員も歴任。「傾聴で終わらせない、変化につながる関わり」が信念。お子さんへの直接支援に加え、ご家庭の課題を可視化し、親御さんと共に解決するスタイルが特長。家庭教育等の講演・研修も多数。「家庭からはじまる社会的自立支援」を推進します。

鈴木 博美家庭教育コーディネーター/
統括ディレクター(みちびき)
家庭教育アドバイザー・訪問カウンセラーとして9年間、不登校や親子関係に悩むご家庭を支援。2025年、支援10年目を迎えます。全国の家庭への直接支援を通し、親御さんとの対話で子どもの社会的自立をサポート。家庭内の会話や関わり方を可視化し、非認知能力を育む声かけや実践的なアドバイスで親子に伴走。保護者向けセミナーや講演も多数。「支援に迷う方こそ安心して相談できる存在」を目指し、家庭の再構築に丁寧に取り組みます。
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