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小学生が「発表が嫌」と言うのはなぜ?|人前で話すのが苦手な子に親ができること

  • 2026/10/23
  • 2026/10/22

目次

    「明日、発表があるから学校に行きたくない」

    「みんなの前で話すのが嫌」

    子どもからそう言われると、

    「緊張するんだろうな」
    「自信がないのかな」

    と考えるかもしれません。

    そして、

    「家で練習してみようか」
    「間違っても大丈夫だよ」
    「そんなにみんな見てないよ」

    と励ましたくなることもあると思います。

    もちろん、練習することで安心できる子もいます。
    ただ、同じ「発表が嫌」という言葉でも、子どもが発表のどこに難しさを感じているのかは同じとは限りません。

    人から見られることが嫌なのか。
    間違えることが怖いのか。
    自分の考えをまとめることが難しいのか。
    頭では分かっていても、言葉にすることが難しいのか。

    そして、一つではなく、いくつもの「嫌」が重なっていることもあります。だからこそ、「どうすれば発表できるようになるか」を考える前に、「この子は、発表の“何”に困っているのだろう」と一度考えてみることが大切です。

    この記事では、小学生が発表を嫌がる背景を整理しながら、人前で話すのが苦手な子に家庭でできることを考えていきます。

    小学生が発表を嫌がるのはなぜ?

    小学生が発表を嫌がる理由は、一つではありません。

    人から注目されることへの緊張、間違えることへの不安、自分の考えをまとめたり言葉にしたりする難しさ、発表する内容への理解の不安など、さまざまな背景が考えられます。

    また、一つの理由ではなく、複数の「嫌」が重なっていることもあります。

    そのため、「発表が苦手だから、もっと練習させよう」とすぐに方法を決めるのではなく、まずはその子が発表の何に困っているのかを見ることが大切です。

    人から注目されることが嫌

    普段は友達とよく話しているのに、「前に出て発表してください」となった途端、話せなくなる子もいます。

    友達との会話と、クラス全員から注目される状況は同じではありません。

    自分に一斉に視線が集まることや、静かな教室で自分の声だけが聞こえることに強い緊張を感じることもあります。

    間違えることや失敗することが怖い

    「答えを間違えたらどうしよう」

    「途中で分からなくなったらどうしよう」

    そんな不安が大きくなっていることもあります。

    この場合、単に人前に立つことではなく、「人前で失敗すること」に難しさを感じているのかもしれません。

    笑われたり、どう思われたりするかが気になる

    「変なことを言ったと思われたら嫌」

    「友達に笑われたらどうしよう」

    「こんなことも分からないと思われたくない」

    など、周囲からどう見られるかが気になっていることもあります。

    また、以前の発表で言葉に詰まったり、失敗したと本人が感じたりした経験が、その後の発表への不安につながっている可能性もあります。

    自分の考えに自信が持てない

    「自分の意見が合っているのか分からない」

    「みんなと違ったらどうしよう」

    と、自分の考えを人に伝えることそのものに不安を感じる場合もあります。

    答えが一つに決まっている問題には答えられても、「あなたはどう思いますか?」と自分の考えを求められると、急に難しくなる子もいます。

    考えをまとめて言葉にすることが難しい

    考えていることはあっても、それを順番に整理して言葉にすることが難しい場合もあります。

    「何を言えばいいか分からない」

    と言っていても、本当に何も考えていないとは限りません。

    頭の中にあるものを、

    「最初に何を話すか」
    「次に何を説明するか」
    「どう言えば相手に伝わるか」

    と組み立てるところに難しさがある可能性もあります。

    緊張すると頭が真っ白になる

    家では言えていた。

    発表の練習もできていた。

    ところが、教室で自分の順番になると言葉が出てこない。

    このようなこともあります。

    強く緊張すると、普段できていることがその場では難しくなることがあります。

    「家ではできたんだから、学校でもできるはず」

    と考えるより、家と学校では何が違うのかを見ることも必要です。

    発表する内容そのものに不安がある

    発表そのものではなく、その前の段階に難しさがある場合もあります。

    授業内容が十分に理解できていない。

    文章を読むことに苦手さがある。

    自分の考えをまとめる課題そのものが難しい。

    その状態でさらに「みんなの前で発表する」ことを求められれば、発表への負担も大きくなります。

    例えば、

    「授業内容を十分に理解できていない」
    +
    「間違えるところを友達に見られたくない」

    という二つの難しさが重なっていることも考えられます。

    発表だけを見るのではなく、「発表するまでの過程」のどこから難しくなっているのかを見ることも大切です。

    「発表が嫌」には、いくつもの“嫌”が重なっていることもある

    ここまでいくつかの可能性を挙げましたが、これは子どもを、

    「この子は人の目が気になるタイプ」

    「失敗を怖がるタイプ」

    などと分類するためのものではありません。

    実際には、

    間違えるのが怖い

    ↓

    間違えて笑われるのが怖い

    ↓

    周りから「できない」と思われたくない

    ↓

    発表が近づくほど緊張する

    ↓

    頭が真っ白になる

    ↓

    さらに失敗することが怖くなる

    というように、いくつもの難しさが影響し合っていることもあります。

    だから、「発表が嫌な理由はこれ」と一つに決める必要もありません。

    むしろ、「発表が嫌」という一言の中には、いくつかの困りごとが隠れているかもしれない。

    と考えてみることが、その子に合った対応を考える入り口になります。

    「発表の何が嫌なの?」と聞いても、子ども自身が分からないこともある

    では、「何が嫌なの?」と本人に聞けばいいのでしょうか。

    もちろん、子どもの話を聞くことは大切です。

    ただ、小学生の子ども自身が、自分の状態を細かく整理して説明できるとは限りません。

    「何が嫌なの?」

    「分からない」

    「間違えるのが嫌なの?」

    「別に」

    「じゃあ、みんなに見られるのが嫌?」

    「だから、発表が嫌なの!」

    こんなやり取りになることもあります。

    これは、子どもが何も考えていないということではありません。

    「理由を聞くこと」と、「子どもの困りごとを理解すること」は、必ずしも同じではないということです。

    そんなときは、「なぜ?」を繰り返すよりも、具体的な場面を見ていきます。

    例えば、

    ・一人の先生になら話せる?
    ・仲の良い友達の前ならどう?
    ・3~4人のグループなら?
    ・クラス全員の前になると難しい?
    ・前に立たず、自分の席からならどう?
    ・原稿を読む発表ならできる?
    ・自分の考えをその場で話すのが難しい?
    ・発表する前と、終わった後では様子が違う?

    こうして見ていくと、

    「人前で話すこと全部が難しいわけではなさそう」

    「原稿があれば少し安心できるみたい」

    「人数よりも、自分の意見を言うときに難しくなっている」

    など、その子が難しさを感じている場所が少しずつ見えてくることがあります。

    子ども自身がまだ言葉にできないことを、親が決めつけるのではなく、一緒に整理していく。

    みちびきでは、こうして行動や場面ごとの反応、これまでの経過などを整理しながら、「今、この子に何が起きているのか」「どこに難しさがあるのか」を考えていくことを「見立て」と呼んでいます。

    発表が苦手な子には、家で練習させた方がいい?

    家での練習が役立つ子もいます。

    ただし、「発表が嫌=練習不足」とは限りません。

    例えば、「何をどう話せばいいのか分からない」ことが難しさの中心であれば、話す内容を一緒に整理したり、少人数から練習したりすることで安心できることがあります。

    一方で、「間違えてはいけない」という不安が非常に強い子に対して、完璧にできるまで何度も練習することが、その子にとってどんな意味を持つのかは考える必要があります。

    場合によっては、「完璧に準備できなければ、人前では話せない」という感覚につながっていく可能性も考えながら、練習の仕方を調整する必要があります。

    練習するかどうかを先に決めるのではなく、「この子の場合、何が少し分かれば、あるいは何が少しできれば、今より取り組みやすくなるだろう」と考えてみます。

    原稿を作る。

    話す順番だけ決める。

    親の前で一度だけ話してみる。

    先生に事前に内容を確認してもらう。

    練習が必要なら、その子の難しさに合った練習を選ぶことが大切です。

    「発表が嫌だから学校に行きたくない」と言われたら?

    発表への不安が強くなると、

    「明日、学校休みたい」

    「発表があるから行きたくない」

    と言うこともあります。

    このとき、「そんなことで休ませていいの?」と悩む親御さんもいると思います。

    ただ、

    「休ませるか」
    「無理にでも発表させるか」

    の二択だけで考えなくてもいいかもしれません。

    まず見たいのは、今、その子に何ができて、どこから難しくなるのかです。

    例えば、

    学校へ行くこと自体が難しいのか。

    学校には行けるけれど、発表だけが難しいのか。

    教室にはいられるのか。

    原稿を読むだけならできそうなのか。

    グループでの発表なら参加できそうなのか。

    先生と二人なら話せるのか。

    「できる」「できない」の間にも、さまざまな段階があります。

    もちろん、心身の状態によっては休息を優先する必要がある場合もあります。

    一方で、「嫌がっているから」という理由だけですべての機会をなくすことが、その子に合っているとも限りません。

    無理をさせないことと、すべてを避けることは同じではありません。

    同時に、成長を促すことと、無理に発表させることも同じではありません。

    その子の現在の状態を見ながら、今どんな参加の仕方ができるのかを考えていくことが大切です。

    発表が苦手なのは「性格」や「発達特性」が関係している?

    「昔から恥ずかしがり屋だから」

    「もともと人前が苦手な性格だから」

    と考えることもあるかもしれません。

    もちろん、慎重さや緊張しやすさなど、その子自身の気質が関係していることもあります。

    ただ、人前で話すことが苦手というだけで、性格の問題と決めることはできません。

    同じように、「発表が苦手だから、発達障害なのでは?」とすぐに結びつけることもできません。

    発達特性のある子の中には、考えをまとめて言葉にすることや、その場の状況に合わせて話すことなどに難しさを感じる子もいますが、発表が苦手な子すべてに発達特性があるわけではありません。

    不安の強さ、これまでの経験、学習上のつまずき、自分の考えを言葉にする難しさ、発達上の特性、学校での人間関係や環境など、複数の可能性を考えながら、その子自身の様子を見る必要があります。

    家では話せるのに、学校ではほとんど話せない場合は?

    発表のときだけではなく、「家では普通に話しているのに、学校ではほとんど声が出ない」という状態が続いている場合には、単なる「発表が苦手」「恥ずかしがり」とは分けて考えた方がよいこともあります。

    特定の場面では十分に話せる一方で、学校など別の場面では一貫して話すことが難しく、その状態が続いて学校生活やコミュニケーションに支障が生じている場合には、「場面緘黙」と呼ばれる状態が関係していることもあります。

    場面緘黙は、現在の診断基準では不安症群に位置づけられています。

    ただし、

    「家では話すのに学校では話さない」
    「1か月以上続いている」

    という一部分だけで、家庭で場面緘黙かどうかを判断するものではありません。

    発表だけでなく学校生活のさまざまな場面で話すことが難しい状態が続いている場合や、本人の学校生活に大きな支障が出ている場合には、学校と状況を共有したうえで、必要に応じて医療機関や心理・発達等の専門機関に相談することも選択肢です。

    一方で、発表が苦手だからといって、すぐに何らかの特性や疾患と結びつける必要もありません。

    「性格だから仕方ない」と片づけるのでもなく、

    「何か診断があるのでは」と急いで答えを出すのでもなく、

    その子が、どの場面で、どの程度困っているのかを見ることが大切です。

    発表が苦手なことは先生に相談した方がいい?

    発表への不安が強い場合や、発表を理由に学校を休みたがるほどになっている場合は、学校での様子を先生に確認してみるのも一つです。

    家庭から見えている姿と、学校で見えている姿が違うこともあります。

    例えば、

    「普段のグループ活動では意見を言えています」

    「全員の前に出ると難しくなります」

    「原稿があれば読めています」

    など、学校だから分かることもあります。

    相談するときも、「発表させないでください」あるいは、「何とか発表させてください」だけでなく、「今のこの子なら、どんな形なら参加できそうか」を学校と一緒に考えられるとよいでしょう。

    席から発表する。

    少人数で話す。

    原稿を見ながら話す。

    発表内容を事前に先生と確認する。

    学校や授業によって可能な対応は異なりますが、その子が参加できる方法を探すという視点を持つことはできます。

    家庭でできるのは、「発表させること」だけではない

    発表が苦手だと、「どうしたら人前で話せるようになるだろう」というところに目が向きやすくなります。

    ただ、家庭で育てられるものは、発表の技術だけではありません。

    例えば、「自分は何が嫌なんだろう」と考えること。

    「ここが怖い」と言葉にすること。

    「分からない」と言えること。

    「どうしたら少しやりやすくなるかな」と考えること。

    「先生に相談したい」と助けを求めること。

    うまくいかなかったときに、「じゃあ次はどうしよう」と考えること。

    こうした経験も、その子がこれからさまざまな困りごとと向き合っていくうえで大切なものです。

    親がすぐに答えを出すのではなく、

    「どこが一番嫌そう?」

    「どうだったら少しやりやすそう?」

    「自分ではどうしたい?」

    など、子ども自身が考えられる余地を残す。

    答えが出ないときは、一緒に整理する。

    発表を通して育てたいのは、堂々と人前で話せる力だけではありません。

    自分の状態に気づき、自分なりの方法を考え、必要なときには人の力も借りながら困りごとに向き合っていく。

    そうした力も、子どもの成長の一つだと私たちは考えています。

    発表嫌いは「克服」しないといけない?

    発表が苦手な子を見ると、「このままで大丈夫かな」と心配になるかもしれません。

    でも、目標は必ずしも、「人前で話すことが好きになること」でなくてもいいと思います。

    大人でも、人前で話すことが苦手な人はいます。

    それでも、事前に準備する。メモを作る。誰かに相談する。自分が話しやすい方法を考える。緊張するけれど今回はやってみる。どうしても難しいときには助けを求める。

    それぞれが、自分なりの方法で苦手なものと付き合っています。

    子どもも同じです。

    「発表が嫌だから休む」という方法しか持っていなかった子が、

    「何が嫌なんだろう」

    「どうしたら少しやりやすい?」

    「準備してみようかな」

    「先生に相談してみようかな」

    と、自分で取れる選択肢を増やしていくことも成長です。

    実際に、みちびきで支援してきた中にも、小学生の頃は発表を嫌がり、それを理由に学校を休むことも多かった子がいます。

    その子は、中学生になった今も発表が好きになったわけではありません。

    それでも、「嫌だから休む」だけではなく、発表にどう向き合うか、どんな準備や工夫ができるかを考え、参加できる場面が増えてきました。

    苦手がなくなることだけが、成長ではありません。

    苦手なものとの付き合い方が増えていくことも、大きな成長です。

    このケースについては、別の記事で、家庭でどのようなところを見直していったのかも含めて詳しく紹介します。

    【関連記事】
    人前で話すのが苦手な中学生|発表・話し合いで困る子に家庭でできること

    まとめ|「発表が嫌」の一言で終わらせない

    子どもが、「発表が嫌」と言えたこと自体も、子どもの状態を知るための大切な情報です。

    ただ、その一言だけでは、まだ分からないことがあります。

    人に見られることが嫌なのか。

    間違えることが怖いのか。

    周りからどう思われるかが気になるのか。

    自分の考えをまとめることが難しいのか。

    発表する内容そのものに不安があるのか。

    あるいは、いくつもの難しさが重なっているのかもしれません。

    だから、「どうすれば発表できるようになるか」を考える前に、「この子は、発表の“何”に困っているのだろう」と見てみる。

    そして、子ども自身にもまだ分からないのであれば、発表前後の様子や、できている場面・難しくなる場面を一緒に整理していく。

    そこから、その子に合った関わり方が見えてくることがあります。

    みちびきでは、不登校や行き渋り、母子登校など、表面に現れている行動だけで対応を決めるのではなく、子どもの状態やこれまでの経過、学校での状況、家庭での関わりなどを整理しながら、「今、どこで難しさが生じているのか」を見立て、家庭に合った対応を考えることを大切にしています。

    「発表が嫌で学校に行きたくない」

    その一言だけでは、どう対応すればよいのか判断しにくいこともあります。

    そんなときは、「行かせるか、休ませるか」だけで考えるのではなく、一度状況を整理するところから始めてみてください。

    みちびきでは、発表のことに限らず、行き渋りや学校生活の困りごとについて、子どもの状態や家庭・学校での状況を整理しながら、今必要な関わりを一緒に考えています。

    「わが子の場合は、何を見ればいいのだろう」と迷っている方は、お問い合わせフォームからご相談いただけます。

    みちびきが支援の中で行っている「見立て」については、こちらの記事で詳しくご紹介しています。
    ▶ 不登校・母子登校を相談すると何をする?|支援でまず行う「見立て」とは

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    Profile

    佐藤 博

    佐藤 博家庭教育コーディネーター/
    代表カウンセラー(みちびき)

    15年間、不登校や母子登校のご家庭を訪問支援。子どもの「自分で社会とつながる力」を育む土台づくりに尽力。文科省協力者会議委員やいじめ対策委員も歴任。「傾聴で終わらせない、変化につながる関わり」が信念。お子さんへの直接支援に加え、ご家庭の課題を可視化し、親御さんと共に解決するスタイルが特長。家庭教育等の講演・研修も多数。「家庭からはじまる社会的自立支援」を推進します。

    鈴木 博美

    鈴木 博美家庭教育コーディネーター/
    統括ディレクター(みちびき)

    家庭教育アドバイザー・訪問カウンセラーとして9年間、不登校や親子関係に悩むご家庭を支援。2025年、支援10年目を迎えます。全国の家庭への直接支援を通し、親御さんとの対話で子どもの社会的自立をサポート。家庭内の会話や関わり方を可視化し、非認知能力を育む声かけや実践的なアドバイスで親子に伴走。保護者向けセミナーや講演も多数。「支援に迷う方こそ安心して相談できる存在」を目指し、家庭の再構築に丁寧に取り組みます。

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