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非認知能力とは?不登校・行き渋りの子どもに家庭で育てたい「生きる力」

  • 2026/06/19
  • 2026/06/15

勉強はできるのに、なぜ朝になると動けないのか

「昨日の夜は『明日は行く』と言っていたのに、朝になると布団から出られない。」

「教室には入れるのに、体育の前になると泣き出してしまう。」

「嫌なことがあると、学校のすべてを拒否してしまう。」

「どこまで手を貸せばいいのか、どこから本人に任せればいいのか、もう分からない。」

こういった悩みを抱える保護者の方は、少なくありません。

勉強ができないわけではない。理解力がないわけでもない。それでも、学校生活のどこかでつまずき、朝になると体が動かなくなることがあります。学校生活のどこかでつまずき、朝になると体が動かなくなる。この現象を「気持ちの問題」「怠け」「甘え」と片づけることは、できません。

そこには、学力テストでは見えてこない、別の種類の力のズレが隠れていることが多いのです。

その力を、「非認知能力」と呼びます。

非認知能力とは何か

「非認知能力」という言葉を聞いたことがある方も、増えてきました。でも、正確に何を指すのかはあいまいなまま使われていることも多い言葉です。

まず、シンプルに整理しましょう。

認知能力とは、読み書き・計算・知識・論理的思考など、テストや試験で測りやすい力のことです。

非認知能力とは、認知能力とは別の側面にある力です。
テストの点数や偏差値では数値化しにくいけれど、日常生活・人間関係・自立に深く関わる力のことを指します。

具体的には、こんな力が含まれます。

  • 感情をある程度調整する力(すぐに爆発しない、落ち着くまで待てる)
  • 不安や困りごとを言葉にする力
  • 自分で考え、選ぶ力
  • 失敗しても立て直す力(回復力・レジリエンス)
  • 誰かに助けを求める力
  • 人と関わり、折り合いをつける力
  • 目標に向かって少しずつ取り組む力

これらは、これらは、教科のテストのように点数で測ることは難しい力です。
しかし、学校生活・家庭生活・社会生活の中で、毎日少しずつ使われている力でもあります。

近年、教育の世界でもこの非認知能力が注目されています。近年、教育の分野では、学力だけでなく、感情を整える力や人と関わる力、困難から立て直す力などにも注目が集まっています。

文部科学省 教育課程企画特別部会 参考資料「学習指導要領の構造化を進めるに当たっての視点」

不登校・行き渋りで見えやすい非認知能力のズレ

ここで、大切なことをひとつ確認しておきます。

「非認知能力が低いから不登校になる」というわけではありません。

不登校や行き渋りの背景には、学校環境の問題、いじめ、発達特性、強い不安症状など、さまざまな要因があります。一つの原因で説明できるほど、シンプルではありません。

ただ、こういうことは言えます。

学校生活で求められる力と、今の子どもの状態の間にズレがあると、それが登校のしんどさとして表れやすい。

学校というのは、毎日決まった時間に行き、慣れない人間関係の中で、自分の気持ちを調整しながら、分からないことを誰かに聞いて、失敗しても次に進む——そういう力を、一日に何度も使う場所です。

もしその力が、今の子どもにとってまだ難しい状態にあるとしたら。不安を感じても言葉にできない、嫌なことが何なのか自分でも分からない、助けを求める前に固まってしまう——そういう状態が続くと、学校に行くこと自体が、体に応えるほど重くなることがあります。

支援の現場でよく見えてくるのは、こんな姿です。

  • 「学校が嫌」とは言えるが、何が嫌なのかを自分でも整理できない
  • 苦手なことがあると、「もう全部いや」と拒否してしまう
  • 親に「どうしたい?」と聞かれると、判断を委ねてしまう
  • 助けを求めようとする前に、不安が先に来て固まる
  • 失敗や不快な経験を受け止め、立て直すことが今は難しい状態にある
  • 自分で何かを決める経験が、これまで少なかった

これは、子どもの性格や能力の問題というより、今の状態と今の環境の間にあるズレです。そしてそのズレは、家庭の関わりの中で少しずつ整えていけることがあります。

関連記事:プールが嫌で学校に行きたくない子どもへの対応
関連記事:運動会が原因で行き渋りが起きる理由と家庭でできること

みちびきが考える非認知能力の3つの力

みちびきでは、家庭で育てていける非認知能力を、大きく3つに整理しています。

特別な訓練ではなく、日常の中の小さな関わりから育てていける力です。

自分を高める力

目標に向かって少しずつ取り組む力、小さなことに挑戦する力、続ける力、工夫する力、できた経験を積み重ねる力——これらをまとめて「自分を高める力」と呼んでいます。

不登校や行き渋りの状態では、「大きな挑戦」を求める必要はありません。

朝、自分で起きられた。 持ち物を自分で確認した。 連絡帳を自分でカバンに入れた。 夜、明日の服を自分で選んだ。

こういった小さなことが、「自分でできた」という経験として積み重なっていきます。生活の流れを本人が少し担う場面を作ること、それが家庭の中での練習になります。

自分と向き合う力

不安を言葉にする力、苦手なことを整理する力、気持ちを落ち着ける力、失敗から立て直す力、自分で選ぶ力——これらが「自分と向き合う力」です。

「学校が嫌」で終わらせないことが、ここでは大切になります。

「学校のどこが嫌なの?」 「朝が嫌なの? 教室? 体育? 給食? 友達関係?」 「もしその一つがなかったら、どう感じる?」

こうした問いかけを一緒にしていくことで、子どもは「自分の気持ちを整理する」という経験を積んでいきます。

答えが出なくてもいいのです。「言葉にしようとする」こと自体が、練習になります。

他者とつながる力

助けを求める力、相談する力、相手に伝える力、折り合いをつける力、人との距離感を学ぶ力——これらが「他者とつながる力」です。

この力が育ちにくい背景のひとつに、「親が代わりに伝えてきた」という状況があります。

学校の先生に連絡する。保健室に行く。給食を減らしてもらう。

こういった場面で、親が全部段取りしてきた場合、子どもは「自分の困りごとを相手に伝える」という経験を積む機会が少なくなります。

最初は「先生に、今日は少し不安があります、と言ってみる?」の一言だけでもいい。その一言を、家庭で一緒に考えることが、他者とつながる練習の入り口になります。

家庭で非認知能力を育てるとはどういうことか

「家庭教育」というと、親が子どもに何かを教え込むイメージを持つ方もいるかもしれません。しかし、ここで言う家庭教育は、それとは少し違います。

関連記事:🏠 家庭教育とは?家庭教育力が低下する理由と、今“親にできること”

親が頑張って子どもを動かすことではなく、子どもが動きやすい環境を整えること。

それが、みちびきが考える家庭教育です。

具体的には、こういった関わりが挙げられます。

生活の流れを見える化する 「次に何をすればいいか」が分かると、子どもは動きやすくなります。口頭で伝えるだけでなく、ホワイトボードや紙に書いて貼っておくだけで、変わることがあります。

子どもが選べる範囲を作る 「どうする?」だけでは難しい子もいます。「AとBならどちらにする?」と、選択肢を絞ることで、子どもが自分で選ぶ経験を作ります。

親が先回りしすぎない 分かっていても、あえて一度待つ。子どもが動くかどうかを見てから手を出す。この「待つ」が、子どもの自分で考える余地を生みます。

小さな役割を子どもに返す 「水筒は自分で準備する」「連絡帳は自分でカバンに入れる」など、小さな役割を一つ返すことから始めます。

困った時の伝え方を家庭で練習する 学校で言えるかどうかより先に、家庭の中で「伝える言葉」を一緒に考える練習をします。

成功・失敗ではなく、振り返りをする 「行けた・行けなかった」よりも、「今日はどうだったか」「次はどうしようか」を一緒に振り返る習慣が、考える力を育てます。

親が代わりにやりすぎると、育ちにくい力

子どもが困っていると、助けたくなるのは当然です。それは、愛情です。責められることではありません。

ただ、毎回親が代わりに決める・代わりに伝える・代わりに整える状態が長く続くと、ひとつ困ったことが起きてきます。

子どもが「自分で考えた」という経験が、残りにくくなる。

これは、親のせいではありません。子どもが困っていると見えたから、動いた。その積み重ねがあるだけです。

ただ、その状態が定着すると、子どもの中に育ちにくくなる力があります。

  • 自分で困りごとを整理する力
  • 自分で選ぶ力
  • 相手に伝える力
  • 失敗してもやり直す力
  • 自分から動く力

大切なのは、「親が手を引く」ことではなく、「何を本人に返し、何を環境として整えるか」を考えることです。その分け方を一緒に整理していくことが、みちびきが家庭と一緒にやっていることのひとつです。

非認知能力は、子どもだけでなく“家庭の関わり方”の中で育つ

非認知能力というと、「子どもの中にある力」として見られがちです。

もちろん、子ども自身が少しずつ身につけていく力ではあります。
ただ、その力は子どもだけで勝手に育つものではありません。

家庭の中で、どのような関わりが続いているか。
困った時に、誰が判断しているか。
失敗した時に、どのようにやり直しているか。
親がどこまで支え、どこから本人に返しているか。

こうした家庭内の関わり方の中で、子どもは「自分で考える」「伝える」「選ぶ」「立て直す」経験を積んでいきます。

たとえば、子どもが学校に行きたくないと言った時、毎回親が答えを決める家庭では、子どもは安心できる一方で、自分で困りごとを整理する経験が少なくなることがあります。

反対に、子どもにすべて任せすぎると、まだ力が育っていない段階では、不安だけが大きくなってしまうこともあります。

大切なのは、放置でも代行でもありません。

今の子どもにとって、どこまでは環境として整える必要があるのか。
どこからは本人が少しずつ練習できるのか。

この線引きを、家庭ごとに見直していくことです。

みちびきでは、こうした親子の関わり方や家庭内の役割の固定化も含めて見ていきます。
それが、家族療法的視点を家庭教育に取り入れるということです。

家庭で今日からできる小さな練習

ここからは、より具体的な練習の入り口をお伝えします。

「全部嫌」を分ける

「学校が嫌」という言葉の中には、いくつもの「嫌」が混ざっていることがあります。

朝起きること? 教室に入ること? 先生? 友達関係? 給食? 体育? 宿題?

「全部嫌」のままでは、どこから手をつければいいか分かりません。でも、分けることができると、「これならできるかも」「ここだけが問題かもしれない」という視点が生まれます。

「全部じゃなくて、どれが一番しんどい?」と聞いてみるだけで、子どもの頭の中が少し整理されることがあります。

選択肢を広げすぎず、狭めすぎない

「どうしたい?」という問いかけは、一見子どもを尊重しているように見えますが、今の状態では選びにくい子もいます。かといって、親がすべて決めてしまうのも、選ぶ経験を奪うことになります。

「午前だけ行くか、放課後に先生だけ会うか、どちらならできそう?」

「今日は連絡帳だけ出す? それとも保健室に顔を出す?」

このように、選べる範囲を絞った形で提示することが、子どもが「自分で決めた」という感覚を持つための工夫になります。

できる部分を本人に返す

親がすべてやっていたことの中から、ひとつだけ本人に返してみます。

  • 水筒だけ自分で準備する
  • 連絡帳だけ自分でカバンに入れる
  • 先生に伝える一言だけ自分で言う
  • 明日の時間割確認だけ自分でする

「全部できるようになってから」では遅いのです。一つ返す。それだけでいい。

その一つが、「自分でできた」という小さな経験になります。

助けを求める言葉を練習する

「先生に言っておくから」ではなく、子どもが自分で一言言える練習をします。

たとえば、

  • 「先生、今日はここが少し不安なので、様子を見てもらえますか」
  • 「少し時間がほしいです」
  • 「今日は見学したいです」

家庭で、「どう言えばいいかな?」と一緒に考える。お母さんやお父さんが相手役になって練習してみる。

実際に学校で言えるかどうかより先に、「言葉を持っている」状態を作ることが大切です。

できたかどうかより、どう考えたかを見る

「今日は行けた?」だけで一日を評価しないことが、長い目で見たときに大切になります。

行けなかった日でも、

  • 不安を言葉にできたか
  • 何か選べたか
  • 誰かに伝えようとしたか
  • 「次はこうしよう」と考えられたか

こういった視点で一日を振り返ることで、「登校できた・できなかった」以外のものさしが家庭の中に生まれます。

それが、子どもにとって「考えた自分を認めてもらえた」という経験につながります。

医療・発達特性・学校環境の視点も必要

ここまで、家庭でできることをお伝えしてきました。

しかし、家庭教育だけで全てが解決するわけではありません。そのことは、はっきりお伝えしておきます。

以下のような状態が見られる場合は、医療機関・発達相談・学校との連携を検討することが必要です。

  • 強い不安や抑うつ状態が続いている
  • 睡眠が大きく乱れている、または食欲が著しく落ちている
  • 感覚過敏が強く、特定の環境で激しく苦しんでいる
  • 発達特性(ADHD・ASD・LDなど)が背景にありそうだと感じる
  • 学校でのいじめ、強い叱責、環境の不適応が疑われる
  • 家庭だけで抱え込もうとして、親自身が限界に近い

こういった場合に、「家庭でできることをもっと頑張れば」と考え続けることは、むしろ状況を悪化させることがあります。

大切なのは、家庭で整えられることと、外部に相談すべきことを分けて考えることです。

医療や学校に丸投げするのではなく、家庭・医療・学校・支援者が、それぞれの役割で関わる体制を作ること——それが、子どもにとっての本当の支えになります。

関連記事:母子登校が続くとき——子どもと親に起きていること

みちびきではどう支援しているか

みちびきでは、不登校・行き渋り・母子登校に悩む家庭に対して、家庭教育・非認知能力・家族療法的視点をもとに、今の家庭に合った現実的な一歩を一緒に整理しています。

「どうすれば登校できるか」だけを考える支援ではありません。

「今の家庭の中で、何が子どもの動きにくさを作っているか」 「親子のやり取りの中で、どんなパターンが固定化しているか」 「何を子どもに返し、何を環境として整えればいいか」

こういったことを、一緒に見ていきます。

子どもだけを変えようとしません。 親を責めません。 家庭全体の関わり方を見ます。

そして、「今日から家庭でできる一つ」を一緒に考えます。

目指すのは、「今日登校できたか」の一点ではなく、親も子どもも、少しずつ自分で考え、動けるようになっていく家庭です。

5. 今のご家庭に合った一歩を、一緒に整理します

「うちの子のことかもしれない」
「登校できるかどうかだけで見ていていいのだろうか」
「家庭の中で、何を手伝い、何を本人に返していけばいいのか分からない」

そう感じた方は、まずは今の状況を整理することから始めてみてください。

不登校や行き渋りは、「行く・行かない」だけで判断すると、家庭の中で何が起きているのかが見えにくくなることがあります。

みちびきでは、家庭教育・非認知能力・家族療法的視点から、今のご家庭に合った現実的な一歩を一緒に考えています。

親が頑張って子どもを無理に動かすためではなく、子どもが少しずつ自分で考え、動けるようになるために。

そして、家庭全体が自立・自走していくために。

現在の状況を一度整理したい方は、公式LINEまたはお問い合わせフォームよりご相談ください。

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Profile

佐藤 博

佐藤 博家庭教育コーディネーター/
代表カウンセラー(みちびき)

15年間、不登校や母子登校のご家庭を訪問支援。子どもの「自分で社会とつながる力」を育む土台づくりに尽力。文科省協力者会議委員やいじめ対策委員も歴任。「傾聴で終わらせない、変化につながる関わり」が信念。お子さんへの直接支援に加え、ご家庭の課題を可視化し、親御さんと共に解決するスタイルが特長。家庭教育等の講演・研修も多数。「家庭からはじまる社会的自立支援」を推進します。

鈴木 博美

鈴木 博美家庭教育コーディネーター/
統括ディレクター(みちびき)

家庭教育アドバイザー・訪問カウンセラーとして9年間、不登校や親子関係に悩むご家庭を支援。2025年、支援10年目を迎えます。全国の家庭への直接支援を通し、親御さんとの対話で子どもの社会的自立をサポート。家庭内の会話や関わり方を可視化し、非認知能力を育む声かけや実践的なアドバイスで親子に伴走。保護者向けセミナーや講演も多数。「支援に迷う方こそ安心して相談できる存在」を目指し、家庭の再構築に丁寧に取り組みます。

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