夏休み前に「学校に行きたくない」と言う子どもへ|行き渋りが増える理由と親の対応
- 2026/06/23
- 2026/06/16

もうすぐ夏休みなのに、なぜ今「学校に行きたくない」と言うのか
7月に入ったあたりから、朝の支度が急に遅くなった。
「もうすぐ夏休みなのに、学校に行きたくない」と言い出した。
プールや体育の日だけでなく、なんとなく学校全体を嫌がるようになってきた。
「あと少しで夏休みだから頑張ってほしい」
そう思うのは、親として自然なことです。
でも、朝になると動けない。
泣く。怒る。固まる。
そういう子どもの姿を見ていると、「このままどうすればいいのか」と途方に暮れることもあるはずです。
「なぜ、よりによって今なのか」と感じる方も多いかと思います。
でも実は、夏休み前の行き渋りには「なぜ今なのか」という理由があります。それは突然の気まぐれではなく、4月からの疲れや不安が積み重なって、1学期終盤に表面化したものであることが多いのです。
この記事では、夏休み前に行き渋りが増える理由と、「最後まで頑張らせる」ではない親の関わり方、そして夏休み明けに向けて今から整えられることをお伝えします。
夏休み前の行き渋りは「突然」ではない
1学期を思い返してみてください。
4月は新しいクラス・新しい先生・新しい人間関係のスタートで、子どもなりに気を張っていた時期です。5月のゴールデンウィーク明けには疲れが出始め、6月は運動会・梅雨・友達関係の固定化など、緊張や疲労が続きます。
そして7月。1学期の締めくくりの時期に入ると、子どもには「学校の疲れ」だけでなく、「成績・提出物・プール・行事」などの複数の負荷が同時にのしかかってきます。
それまで何とか持ちこたえていたものが、ここで崩れ出す——というのは、決して珍しいことではありません。
「6月は普通に行けていたのに」という場合でも、6月の段階ですでに疲弊が始まっていて、7月でいよいよ限界に近づいたというケースがあります。
5月〜6月の時点で見え始めるサインについては、こちらの記事で詳しく整理しています。
関連記事:6月に学校を休み始める子どもに起きていること
今回の記事は、5〜6月の崩れではなく、「夏休み直前にとくに表面化する」というタイミングの話として読んでいただければと思います。
「あと少しだから頑張って」がしんどさを強めることがある
「あと5日だよ。夏休みまでもうちょっとでしょ。」
この言葉を、何度口にしたか——という親御さんもいると思います。悪意のある言葉ではありません。励ましたい、背中を押したい、そういう気持ちからです。
ただ、支援の現場で気になることがあります。
親にとっての「あと少し」と、子どもにとっての「今日のしんどさ」は、ちがう時間軸にあります。
大人はカレンダーで「残り何日」と考えることができます。でも、今この瞬間にしんどさを抱えている子どもは、残り日数を計算する前に、「今日の水泳」「今日の給食」「今日の席替えの噂」「今日の宿題提出」でいっぱいになっています。
「あと少しだから頑張って」という言葉が、子どもには「今のしんどさを分かってもらえていない」と聞こえることがあります。
そうなると、子どもは「言っても仕方ない」と感じ、親に話さなくなっていく。または、感情が爆発するかたちで出てくる。どちらも、親がより対応しにくくなる方向です。
励ます前に、一度立ち止まってみてください。
「何が残り数日をしんどくしているのか」を分けて見ること——それが、この時期の親に大切な視点です。
夏休み前に行き渋りが出やすい5つの負荷
暑さと体力消耗
7月になると、気温が上がります。登下校だけでも体力を消耗するようになり、給食をあまり食べられなくなる子も出てきます。夜も暑さで寝つきが悪くなり、睡眠の質が落ちる。
こうした身体的な疲弊は、朝の「動けなさ」に直接つながります。
気力だけでなく、体力が根拠になっていることがある——それを親が知っているだけで、見立てが変わります。
プールや体育など実技系の負荷
プールは、多くの子どもにとってハードルの高い行事です。
水着に着替えること、身体を見られること、泳げないことが見えてしまうこと、シャワーや脱衣のざわつき——こういったことが、じつは大きな心理的負荷になっている子がいます。
「プールが嫌」と言えればまだ整理しやすいのですが、「なんとなく学校全体が嫌」という形でしか出てこないこともあります。
関連記事:「プールが嫌で学校に行きたくない」と言われたら|登校しぶりにつながる理由と親ができる対応
友達関係の小さな積み重なり
1学期を通して、クラスの人間関係は少しずつ固定化してきます。
誰がどのグループにいるか、休み時間に一緒にいる相手がいるかどうか、グループの中で微妙な立ち位置にないか——そういった関係性が、4月よりも7月のほうがずっとはっきりしてきます。
大きないじめや明確なトラブルではなくても、「なんとなく居場所がない」「誰かに何か言われた」「最近グループが違う」といった小さな積み重なりが、夏休み前に疲労として出てくることがあります。
「友達のこと、何かあった?」と聞いても「別に」と返ってくる。でも帰ってくると荒れている。そういう状態は、友達関係の負荷のサインであることが少なくありません。
成績・通知表・提出物への不安
「1学期末」は、通知表・まとめテスト・提出物の締め切りなどが集まる時期です。
勉強が苦手な子にとってしんどいのはもちろんですが、じつは真面目な子や完璧主義傾向のある子にとっても、この時期は負荷が高くなります。
「ちゃんとできなかったらどうしよう」「提出物が間に合わなかったらどうなるんだろう」という不安が、朝の動けなさに出てくることがあります。
「なぜ急に行けなくなったのか」と思う場合、通知表の評価やテスト・提出物が気になっているという背景が隠れていることがあります。
学校全体の慌ただしさ
夏休み前の学校は、授業の進度・提出物・面談・掃除・終業式の準備など、全体的に慌ただしくなります。
予定が急に変わる、時間割が通常と違う、先生がバタバタしている——こういった「見通しの立てにくさ」が苦手な子にとっては、それ自体が大きな負荷になることがあります。
発達特性のある子どもはとくに影響を受けやすいですが、特性がなくても「先が読めないことが苦手」という子どもはいます。1学期終盤の学校の慌ただしさが、不安を強めている可能性があります。
夏休み前に親が見たいサイン
「うちの子、大丈夫かな」と感じたとき、どこを見ればよいか。
以下は、1学期終盤に疲れや負荷が積み重なっているサインとして、支援の現場でよく見られるものです。
- 朝の支度が急に遅くなった(以前はできていたことが崩れてきた)
- 「暑い」「だるい」「疲れた」という言葉が増えた(体への影響が出始めている)
- プール・体育の日だけ不安定になる(特定の負荷が明確)
- 学校の話をしたがらない(何かを抱えているが、言葉にならない)
- 帰宅後に荒れる、泣く、ぐったりする(学校での消耗を家で出している)
- 宿題や持ち物確認が急に崩れた(頭や心の余裕がなくなっている)
- 「夏休みまで休みたい」と言う(具体的な言葉で出始めている)
- 休日でも回復しきらない(疲弊が深くなっている可能性)
- 「なんで嫌なの?」と聞いても「分からない」と返ってくる(自分でも整理できていない)
「これが全部あれば危険」というリストではありません。
ただ、こういったサインが重なってきたときは、「あと少しだから」と押し切る前に、一度立ち止まって見ることが大切です。
家庭でできることは「最後まで頑張らせる」ではなく、負荷を分けること
「行かせるべきか、休ませるべきか」——その二択で毎朝判断しようとすると、どちらを選んでも親が疲弊します。
大切なのは、残り日数ではなく、残りの日に何があるかを見ることです。
「あと5日あるから頑張ろう」ではなく、こう問いかけてみてください。
「残り5日のうち、特にしんどそうな日はどれ?」 「その日、何がある?」 「どこまでならできそう?」
これを親子で一緒に整理するだけで、「全部行くか全部休むか」の二択から抜け出せることがあります。
たとえば、
- プールの日は見学申請を学校に相談する
- 給食が苦手な日は早退の相談をする
- 提出物の締め切りが重なっている日は、前日に一緒に確認する
- 終業式だけは出る、という選択をする
「全部できなくていい」という視点を、親が持てるかどうかが、子どもの状態に大きく影響します。
もう一つ大切なのは、親が全部代わりに決めないことです。
「プール、どうする?」と聞いても答えられない子もいます。でも「見学するか、入るか、どちらにする?」と選択肢を絞ると、自分で考えられることがあります。
「これはどうしたい?」と、子どもが考えられる余地を作ることが、家庭での練習になります。
関連記事:家庭教育とは?——管理ではなく、自立を育てる関わり方
夏休みに入る前に整理しておくと、夏休み明けが変わる
夏休みに入ると、多くの子どもが一時的に落ち着きます。
学校という場への緊張がなくなり、好きなことができ、生活リズムも少し緩む。それ自体は悪いことではありません。
ただ、「夏休みに入ったから落ち着いた=解決した」と見てしまうと、夏休み明けに同じ状態が再燃する、または悪化することがあります。
原因を整理しないままだと、9月になってまた同じ負荷が戻ってくるからです。
夏休みは、この1学期を振り返る貴重な時間でもあります。
夏休みに入る前に、できれば簡単でいいのでメモしておいてほしいことがあります。
- 1学期で特に負荷になっていたことは何か
- 行き渋りが強くなったのはどのタイミングか
- 朝に崩れやすい日と、比較的動けた日の違いは何か
- 子どもが「嫌」と言っていたこと・話していたこと
これをもとに、夏休み中に家庭で整えられることを考えます。
たとえば、
- 生活リズムを整える(起きる時間・食事・就寝時間)
- 子どもが自分で考えて選ぶ場面を増やす
- 気持ちを言葉にする練習を日常に取り入れる
- 「困ったときに言える」練習を家庭でする
- 家庭内の小さな役割を子どもに返す
こういった積み重ねが、9月以降の土台になります。
関連記事:非認知能力とは?不登校・行き渋りの子どもに家庭で育てたい「生きる力」
医療・発達特性・学校環境の視点も必要
ここまでお伝えしてきたことは、家庭でできる視点と関わりです。
ただし、家庭での対応だけで全てが整うわけではありません。
以下のような状態が見られる場合には、医療機関・発達相談・学校との連携を検討することが必要です。
- 強い不安や抑うつ状態が続いている
- 睡眠や食欲が大きく崩れている
- 感覚過敏が強く、特定の環境で強く苦しんでいる
- 発達特性(ADHD・ASD・LD等)が背景にありそうだと感じる
- 学校でのいじめ、強い叱責、環境不適応が疑われる
- 家庭だけで対応しようとして、親自身が限界に近い
こういった状況で、「家庭でもっと頑張ればなんとかなる」と抱え込み続けることは、状況を悪化させることがあります。
大切なのは、家庭で整えられることと、外部に相談すべきことを分けて考えることです。
医療や学校に丸投げするのではなく、それぞれが役割を持って関わる体制を作ること——それが子どもにとっての支えになります。
こんな場合は早めに相談を
「うちはどうなのか」と判断に迷う方のために、相談を検討してほしい目安をお伝えします。
- プールや体育の日だけでなく、他の日も行き渋るようになっている
- 朝の親子のやり取りが毎回こじれて、関係がギスギスしてきた
- 「夏休みまで休みたい」という言葉が強くなっている
- 毎朝「行かせるか休ませるか」の判断に親が疲れてきた
- 子どもが理由をうまく話せない、または毎回理由が変わる
- 夏休み明けのことを考えると不安で仕方ない
- 家庭で何を整えたらよいのか、もう分からない
「まだ相談するほどじゃないかも」と思いながら読んでいた方も、いくつか当てはまるものがあったなら、一人で抱えなくていい段階にきているかもしれません。
相談することは、「もう自分では無理」という意味ではありません。今の状態を整理して、次の一歩を考えるためのものです。
みちびきでできること
みちびきでは、不登校・行き渋り・母子登校に悩む家庭に対して、家庭教育・非認知能力・家族療法的視点をもとに、今の家庭に合った現実的な一歩を一緒に整理しています。
夏休み前の行き渋りは、「なんとか登校させてゴールにする」問題ではなく、1学期で何が負荷になっていたかを整理する、大切な機会でもあります。
みちびきでは、こういった視点で一緒に考えます。
- 子どもだけを変えようとしない
- 親を責めない
- 家庭全体の関わり方を見る
- 親が頑張って無理に動かすのではなく、子どもが自分で動ける環境を整える
- 夏休み中に家庭で練習できることや、夏休み明けに向けた現実的な準備を一緒に考える
目指すのは、今学期を乗り切ることだけではありません。親も子どもも、少しずつ自分で考えて動けるようになっていく家庭です。
5. 今の状態を一度整理したい方へ
今の状態を、一度整理してみませんか
「あと少しなのに、なぜ学校に行けないのか」
「夏休みに入れば落ち着くのか、それとも夏休み明けにまた崩れるのか」
「家庭で何を支え、どこから本人に返していけばいいのか」
そう感じている場合は、まず今の状況を整理することから始めてみてください。
夏休み前の行き渋りは、「行く・休む」だけで判断すると、子どもに何が負荷になっているのかが見えにくくなることがあります。
みちびきでは、家庭教育・非認知能力・家族療法的視点から、1学期で何が負荷になっていたのか、夏休み中に家庭で何を整えるとよいのかを一緒に整理しています。
親が頑張って子どもを無理に動かすためではなく、子どもが少しずつ自分で考え、動けるようになるために。
そして、夏休み明けに向けて家庭全体が自走していけるように。
現在の状況を一度整理したい方は、公式LINEまたはお問い合わせフォームよりご相談ください。
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プロフィール

佐藤 博家庭教育コーディネーター/
代表カウンセラー(みちびき)
15年間、不登校や母子登校のご家庭を訪問支援。子どもの「自分で社会とつながる力」を育む土台づくりに尽力。文科省協力者会議委員やいじめ対策委員も歴任。「傾聴で終わらせない、変化につながる関わり」が信念。お子さんへの直接支援に加え、ご家庭の課題を可視化し、親御さんと共に解決するスタイルが特長。家庭教育等の講演・研修も多数。「家庭からはじまる社会的自立支援」を推進します。

鈴木 博美家庭教育コーディネーター/
統括ディレクター(みちびき)
家庭教育アドバイザー・訪問カウンセラーとして9年間、不登校や親子関係に悩むご家庭を支援。2025年、支援10年目を迎えます。全国の家庭への直接支援を通し、親御さんとの対話で子どもの社会的自立をサポート。家庭内の会話や関わり方を可視化し、非認知能力を育む声かけや実践的なアドバイスで親子に伴走。保護者向けセミナーや講演も多数。「支援に迷う方こそ安心して相談できる存在」を目指し、家庭の再構築に丁寧に取り組みます。











