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6月に学校を休み始める子どもに起きていること~頑張れる子が崩れる理由と、親が見落としやすいサイン~

  • 2026/06/05
  • 2026/06/02

「急にどうしたんだろう」

6月に入ってから、こういう相談が増えます。GW明けから休み始めた、運動会の練習が始まってから様子がおかしい、先週まで普通だったのに今週急に行けなくなった——親から見ると、突然のことのように感じられます。

でも支援の現場では、6月に「突然崩れた」ケースは、実はほとんどありません。

4月から少しずつ積み上がっていた疲労と不安が、5月〜6月にかけて表面化している。それがこの時期に相談が増える、本当の理由です。

なぜ5月〜6月に行き渋りや不登校が増えるのか

4月は緊張感で乗り切れる

新学期が始まった4月は、子どもなりの緊張感があります。新しいクラス、新しい先生、新しい関係性——その緊張が、ある意味でエンジンになります。多少しんどくても、「やらなければ」という気持ちが体を動かしてくれる時期です。

問題が見えにくいのは、この段階です。子どもが消耗していても、表面上は普通に通えている。親も「今年は大丈夫そう」と感じていることが多い。

GWで一度気が緩む

連休に入ると、張り詰めていたものが緩みます。疲れが体に出やすくなり、「休み明けに戻れるかな」という不安が生まれる子どもも出てきます。GW明けから動けなくなる子どもは、連休中にすでにエネルギーが底をついていることが少なくありません。

運動会や行事の負荷が重なる

近年は春に運動会を実施する学校が増えています。GW明けと同時に、練習が本格的に始まる学校も多い。練習量の増加、集団での行動、他の子との比較が生まれる環境、炎天下での体力消耗——これらが一度に重なります。

回復する前に次の負荷が来る

ここが、この時期に崩れやすい最大の理由です。

疲れたら休んで回復する——この流れが機能していれば、子どもは持ち直せます。でも実際には、疲れた状態に次の負荷が来て、また疲れて、さらに次が来る。回復のための余白がないまま、限界まで走り続けている子どもがいます。限界を超えたとき、「急に」崩れたように見えます。

崩れ方は3つに分かれる

同じ「5月〜6月に崩れる」という状態でも、見え方は子どもによって違います。

GW明けから休み始めるタイプ

朝だけ動けない、腹痛や頭痛を訴える、「行きたくない」という言葉が出る——こうした形で現れます。サインが比較的見えやすいため、早めに気づける可能性がある一方で、「疲れているだけ」「慣れれば戻る」と判断されて対応が遅れることもあります。

運動会をきっかけに崩れるタイプ

「体育が嫌だ」「ダンスには行きたくない」「練習の日だけ休みたい」という形で現れます。運動が苦手というより、人前に出ること、評価されること、合わせることへの不安や負荷が大きいケースも多い。運動会が終われば戻ると思っていたのに、運動会後も続いた——という声もよく聞きます。このタイプについては「[運動会で行き渋り・不登校が起きる理由]」の記事で詳しく整理しています。

6月に突然動けなくなるタイプ

最も見落とされやすいのが、このタイプです。

真面目で責任感が強い、優しくて周りに合わせようとする、先生受けが良い——いわゆる「頑張れる子」です。4月も5月も普通に通えていた。むしろ頑張っているように見えた。それが6月に入って突然崩れる。

親からすると本当に「急に」なので、戸惑いが大きくなります。ただ、この子は崩れる前から消耗していました。ただ、誰にも見えていなかっただけです。

どのタイプも、裏で起きていることは似ている

3つのタイプは、崩れ方の形は違います。ただ、背景にあるものは共通していることが多いです。

疲労の蓄積——睡眠や休息だけでは回復しきれない消耗が積み重なっています。学校にいる間、ずっと何かに耐えている子どもにとって、帰宅後の時間でその疲れを取りきれないことがあります。

不安の蓄積——「間違えたらどうしよう」「嫌われたらどうしよう」「またあの場面が来る」という不安が、毎日少しずつ積み重なっています。一つひとつは小さくても、数ヶ月単位で積み上がると、朝に「行きたくない」という形で出てきます。

回復不足——疲れを回復するための余白がない状態が続いています。習い事、宿題、翌日の準備、家庭の空気——帰宅後も気が緩まない環境では、消耗だけが積み重なっていきます。

助けを求められない——「しんどい」を誰かに伝えることができない状態です。「言っても分かってもらえない」「心配させたくない」「自分で何とかしなければ」——こういった感覚が強い子どもほど、限界まで言いません。

なぜ親は気づきにくいのか

同じ状況を見ていても、気づける親と気づけない親がいる、というわけではありません。構造的に気づきにくい状況があるのです。

学校に行けているから——行けている間は、「まだ大丈夫」と判断しやすい。行けていることが安心材料になるため、その裏で何が起きているかが見えにくくなります。

家では普通に見えるから——学校で我慢している子どもほど、家では比較的落ち着いていることがあります。「家では元気だから大丈夫」は、外での消耗を見えにくくする言葉でもあります。

本人が頑張ってしまうから——「行きたくない」と言えない子どもは、ギリギリまで自分で何とかしようとします。サインを出さないまま限界を超えるため、崩れ方が急になります。

親も頑張るタイプだから——これは、意外と重要な視点です。真面目で責任感の強い親御さんは、子どもの「少しの変化」を「このくらいは乗り越えなければ」と判断しやすい傾向があります。子どもの頑張りを信じるあまり、負荷のサインを見過ごしてしまうことがあるのです。

家庭に出ているサインを見逃さない

子ども自身がサインを出さなくても、家庭の中には変化が現れていることがあります。

学校の話をしなくなった、「どうだった?」に一言で終わる——それは「何もない」のではなく、言葉にできないか言いたくないかのどちらかである可能性があります。帰宅後に理由なく荒れる、些細なことで泣く——学校での消耗が、家で出ているサインかもしれません。親の声かけや確認が以前より増えていることに気づいたなら、それは子どもの変化を親が感じ取っているサインでもあります。

こうした「家庭に出るサイン」については、「[学校に行けているのに安心できない家庭の共通点]」の記事で詳しく整理しています。

非認知能力の視点で見ると

この時期に崩れる子どもたちは、頑張る力が足りないのではありません。むしろ、頑張りすぎています。

課題になっているのは、自分の状態に気づく力、しんどいときに助けを求める力、疲れを回復させる力——これらです。「ちょっとしんどい」を感じながら、でもそれを誰かに伝えることなく走り続けられてしまう。その結果として、ある日突然動けなくなります。

頑張れることと、余裕があることは別です。頑張れる子どもほど、この「別であること」が見えにくくなります。

親が今できること

何かを大きく変える必要はありません。まず、見方を変えることから始められます。

原因を探すより、今の状態を見ること。「なぜ行きたくないのか」を問い詰めるより、「今、この子はどんな状態にあるか」を観察することが先です。行かせる方法を考えるより、今の負荷がどこにあるかを見ること。登校できたかどうかより、家庭の中で子どもが回復できているかどうかを見ること。

この視点の転換だけで、子どもへの声かけが変わります。

こんな状態なら、早めに整理した方がいい

以下のような状態が続いているなら、「もう少し様子を見る」より、状況を整理するタイミングかもしれません。

欠席や遅刻が増えている、
朝の不調が2週間以上続いている、
家庭の空気がずっと重い、
親自身も疲れ果てている——
こうした状態が重なっているとき、子どもだけでなく家庭全体がすでに消耗している可能性があります。早い段階で整理する方が、変化への道は短くなります。

みちびきの支援について

みちびきでは、今の状態がどの段階にあるかを見立てることから始めます。一時的な疲れなのか、行き渋りの入り口なのか、不登校の前段階なのか——子どもの状態だけでなく、家庭全体の状況を踏まえて整理します。

親御さんだけのご相談からお受けしています。「まだ不登校ではないけれど、何かが気になる」という段階でも、状況を整理するところから始めることができます。

まとめ

5月〜6月に見られる行き渋りや不登校は、突然起きたように見えて、実はそれまで積み上がっていた負荷が表面化した状態であることが少なくありません。

大切なのは、「なぜ今日休んだのか」だけを考えることではなく、「その前から何が積み重なっていたのか」を見ることです。

崩れてから動き始めるのと、崩れる前に気づくのとでは、子どもへの負担も、回復の時間も大きく変わります。「何か引っかかる」という感覚を持ったそのタイミングが、動き始めるのに最もよい時期です。


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Profile

佐藤 博

佐藤 博家庭教育コーディネーター/
代表カウンセラー(みちびき)

15年間、不登校や母子登校のご家庭を訪問支援。子どもの「自分で社会とつながる力」を育む土台づくりに尽力。文科省協力者会議委員やいじめ対策委員も歴任。「傾聴で終わらせない、変化につながる関わり」が信念。お子さんへの直接支援に加え、ご家庭の課題を可視化し、親御さんと共に解決するスタイルが特長。家庭教育等の講演・研修も多数。「家庭からはじまる社会的自立支援」を推進します。

鈴木 博美

鈴木 博美家庭教育コーディネーター/
統括ディレクター(みちびき)

家庭教育アドバイザー・訪問カウンセラーとして9年間、不登校や親子関係に悩むご家庭を支援。2025年、支援10年目を迎えます。全国の家庭への直接支援を通し、親御さんとの対話で子どもの社会的自立をサポート。家庭内の会話や関わり方を可視化し、非認知能力を育む声かけや実践的なアドバイスで親子に伴走。保護者向けセミナーや講演も多数。「支援に迷う方こそ安心して相談できる存在」を目指し、家庭の再構築に丁寧に取り組みます。

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