運動会で行き渋り・不登校が起きる理由|タイプ別に見る子どもの負担
- 2026/05/05
- 2026/04/22

「運動会が近づいてから、朝の様子がおかしくなった」「体育のある日だけ行き渋る」「先週まで普通だったのに、急に学校に行けなくなった」——この時期にそんな変化を感じている親御さんは少なくありません。
「学校に行きたくない」「体育のある日だけ行き渋る」といった変化として現れることも多くあります。
近年は秋の行事集中を避けるために春に運動会を実施する学校が増えており、4〜6月にかけてこうした変化が起きやすくなっています。ただし秋開催の学校も多く、時期は学校によってさまざまです。重要なのは「いつ開催されるか」ではなく、運動会という非日常の負荷が重なったとき、その子にとって何が起きているかです。
この記事では、運動会の時期に行き渋りや不登校が起きる理由を、子どものタイプ別に整理していきます。「うちの子だけがしんどいのかな」と感じている方に、少し違う見方を届けられたらと思います。
運動会の時期に「学校に行きたくない」が増える理由
運動会の練習が始まると、学校の日常は大きく変わります。時間割が変わり、体育の時間が増え、クラス全体で一つのことに向かう空気が生まれます。
この変化の中で、いくつかの負荷が重なります。練習が連続することで体力的な消耗が増す、普段と違う流れが続くことでリズムが崩れる、そして順位やパフォーマンスを他の子と比べられる場面が増える——こうした要素が組み合わさることで、それまで普通に通えていた子どもが突然動けなくなることがあります。
ただ、同じ運動会の環境でも、しんどくなる子とそうでない子がいます。それは「精神的に弱い」「体力がない」という話ではなく、その子が何に負荷を感じやすいかの違いです。
運動会がつらい子どもはタイプが違う
「運動会が嫌」という言葉の裏には、まったく異なる理由が隠れていることがあります。タイプを知ることで、子どもへの関わり方が変わります。
運動が苦手なタイプ
走ること、跳ぶこと、体を動かすことが苦手な子どもにとって、運動会は「できなさ」を全員の前で見せる場になります。かけっこで順位がつく、リレーでチームに迷惑をかけるかもしれない、そういった場面への恐れが、練習の段階から強くなります。自信が下がるほど、次の練習が怖くなる、というサイクルに入りやすいです。
ダンス・表現が苦手なタイプ
振り付けを覚えることが難しい、周りと合わせることにプレッシャーを感じる、完璧にできないことへの不安が強い——こうした子どもにとっては、ダンスや組体操の練習がとりわけ大きな負荷になります。「ミスをしてはいけない」という意識が強くなるほど、動くこと自体が怖くなっていきます。
見られる・評価されることが苦手なタイプ
人の目が気になる、評価される場面で緊張しやすい、完璧にできないなら見せたくない——こうした子どもにとって、保護者や全校生徒に見られる本番は、それだけで大きなプレッシャーです。練習中も「本番ではうまくやらなければ」という意識が常にあり、消耗が続きます。
疲労・刺激で消耗するタイプ
このタイプは、見落とされやすいです。炎天下での練習、笛や音楽の繰り返し、待機中のざわつき、慣れない隊形移動——こうした感覚的な刺激の多さが、普通の授業とは比べものにならないほどの消耗を生みます。HSC(ひといちばい敏感な子)気質のある子どもや、刺激の処理に時間がかかる子どもにとって、運動会の練習期間は文字通り体力を削られる時間です。見た目には元気にやっているように見えても、家に帰るとぐったりしているのはこのためです。
変化・見通しに弱いタイプ
毎日の時間割が変わる、流れが読めない、ルーティンが崩れる——こうしたことが強いストレスになる子どもがいます。「今日は何があるか分からない」という状態が続くだけで、登校の心理的なハードルが高くなります。運動会の練習期間は学校の構造そのものが変わるため、このタイプにとっては非常に不安定な時期です。
対人ストレスが増えるタイプ
集団で一つのことに取り組む中では、注意される場面、合わせることを求められる場面、友達との小さな摩擦が増えます。対人関係でのストレスを感じやすい子どもにとって、練習期間は人と関わることの負荷が普段の何倍にもなります。
頑張れてしまうタイプ(最も見落とされやすい)
最後のこのタイプが、最も注意が必要です。しんどくても表に出さない、我慢して練習に参加できる、周囲からは「普通にやっている」と見える——このタイプは、問題が見えにくいままギリギリまで続けます。そして限界を超えたとき、突然動けなくなります。「昨日まで行けていたのに」という言葉は、多くの場合このタイプに当てはまります。
運動会が原因なのではなく、その子にとって負荷になりやすい条件が重なっている状態です。タイプを見ることで、「なぜこの子が行けなくなったか」がはじめて見えてきます。
つまり、「運動会が嫌」という一言の中にも、それぞれ違う理由と負荷のかかり方があるということです。
なぜ運動会で一気に崩れるのか
運動会の練習期間は、通常の学校生活と違って「逃げ場」が少ないです。授業であれば苦手な教科だけが負荷になりますが、運動会の練習は学校にいる間ずっと続きます。しかも練習は毎日連続するため、回復する時間がありません。
消耗が続き、回復できず、逃げ場もない状態が積み重なると、ある日突然「もう動けない」という状態になります。これは意志の問題でも、根性の問題でもありません。限界まで我慢できてしまう子ほど、崩れ方が急に見えます。
「突然」に見えるのは、それまで無理ができてしまっていたからです。
親が見誤りやすいポイントとやりがちな対応
この時期、親御さんが陥りやすいのは「これくらいみんなやっている」「運動会だから頑張れるはず」「1日だけだから大丈夫」という判断です。実際にみんな参加しているのは事実です。ただ、その子にとっての負荷量は、周りの子と同じではありません。
よくある対応には、いくつかのパターンがあります。無理に行かせることで一時的には登校できても、消耗が続いて回復に時間がかかるようになるパターン。「大丈夫だよ」「頑張れば慣れるよ」と励ますことで、子どもが「分かってもらえない」と感じて閉じていくパターン。「もう少し様子を見よう」が続いて、状態が固定されてしまうパターン。毎朝「今日は行けそうか」を親が判断し続けることで、子どもが自分で考える機会を失うパターン。
どれも悪意のある対応ではありません。ただ、子どもの状態ではなく表面の行動だけを見ていると、こうした対応になりやすいのです。実際には、子どものために考えて選んでいる行動が、結果として負荷を強めてしまうことも少なくありません。
どう関わればいいか
大切なのは、「行かせること」ではなく、その子にとっての負荷がどこにあるかを見ることです。
負荷が見えてくると、調整の方向が見えます。練習の一部だけ参加する、見学から始める、特定の場面だけ別の形で関わるなど、「全部か何もしないか」以外の選択肢が出てきます。完璧に参加することより、子どもが回復できる余白を確保することを優先する。この方向に関わりの軸を置くことで、長期的に動ける状態を保ちやすくなります。
こんな変化が出ているなら注意
以下のような変化が見られる場合、すでに負荷が限界に近づいているサインかもしれません。
朝だけ強く拒否する、体調不良を繰り返す、以前より表情が硬い、学校の話をしなくなった、帰宅後にぐったりして回復しきれない——こうした変化は、子どもが言葉にできない形で「しんどい」を伝えているサインです。「まだ行けているから大丈夫」と判断する前に、まず今の状態を正確に見ることが大切です。
一人で抱え込まなくていい状態です
「このまま様子を見ていいのか」「どう関わればいいか分からない」と感じている時点で、親御さん自身にも十分な負担がかかっています。子どもの状態と家庭の関わり方が絡み合っているこの問題は、一人で判断し続けるには難しいものです。
みちびきの支援について
みちびきでは、今の状態の見立てから始めます。子どもにとっての負荷がどこにあるのか、家庭での関わり方をどう整えるか、学校との連携をどう進めるかを、その家庭の状況に合わせて一緒に考えていきます。親御さんだけのご相談からスタートできますので、「今の状態を整理したい」と感じたタイミングでご連絡ください。
まとめ
運動会の時期に行き渋りや不登校が増えるのは、その子が弱いからではありません。その子にとって負荷になりやすい条件が重なっているからです。タイプを知ることで、見えなかったものが見えてきます。
大切なのは「頑張らせること」より、その子の負荷を見て、動ける状態を整えることです。運動会は一つの場面に過ぎませんが、そこで起きていることは、その子の日常の状態を映し出しています。
運動会による負担は、5月に行き渋りや不登校が増える大きな要因の一つです。全体の流れや、この時期に起きやすい変化、なぜ「急に」見えるのかについては、こちらの記事で詳しく解説しています。
👉 [5月に不登校が増える本当の理由|GW明けと運動会で子どもに起きていること]
プロフィール

佐藤 博家庭教育コーディネーター/
代表カウンセラー(みちびき)
15年間、不登校や母子登校のご家庭を訪問支援。子どもの「自分で社会とつながる力」を育む土台づくりに尽力。文科省協力者会議委員やいじめ対策委員も歴任。「傾聴で終わらせない、変化につながる関わり」が信念。お子さんへの直接支援に加え、ご家庭の課題を可視化し、親御さんと共に解決するスタイルが特長。家庭教育等の講演・研修も多数。「家庭からはじまる社会的自立支援」を推進します。

鈴木 博美家庭教育コーディネーター/
統括ディレクター(みちびき)
家庭教育アドバイザー・訪問カウンセラーとして9年間、不登校や親子関係に悩むご家庭を支援。2025年、支援10年目を迎えます。全国の家庭への直接支援を通し、親御さんとの対話で子どもの社会的自立をサポート。家庭内の会話や関わり方を可視化し、非認知能力を育む声かけや実践的なアドバイスで親子に伴走。保護者向けセミナーや講演も多数。「支援に迷う方こそ安心して相談できる存在」を目指し、家庭の再構築に丁寧に取り組みます。











