5月に不登校が増える本当の理由|GW明けと運動会で子どもに起きていること
- 2026/05/01
- 2026/04/22

GW明け、今まで普通に学校に行けていた子どもが、急に「行きたくない」と言い出す。朝になると動けなくなる、体調不良を訴える、玄関で止まってしまう。「昨日まで行けていたのに、どうして?」そう感じている親御さんは少なくありません。
この時期に起きる変化は、決して珍しいものではありません。そして多くの場合、「急に起きた」のではなく、それまでの積み重ねが表に出てきている状態です。この記事では、5月に不登校や行き渋りが増える理由を、「構造」と「タイプの違い」という視点から整理していきます。
この時期に起きる変化は、決して珍しいものではありません。そして多くの場合、「急に起きた」のではなく、それまでの積み重ねが表に出てきている状態です。
つまり、今見えている変化は“結果”であり、その前の段階ですでにサインは始まっていた可能性があります。
この記事では、5月に不登校や行き渋りが増える理由を、「構造」と「タイプの違い」という視点から整理していきます。
5月に「突然行けなくなる」子どもに起きていること
この時期に見られる特徴のひとつが、「急に崩れたように見える」という点です。4月は問題なく通えていた、新学期も順調に見えていた、むしろ頑張っているように見えた——それにもかかわらず、GW明けから動けなくなる。
ただ、これは「急に変わった」のではありません。見えていなかった負荷が、限界を超えたタイミングで表に出てきている状態です。「突然」に見えるのは、それまでが問題なかったからではなく、それまでは見えていなかったからです。
実は2つのパターンに分かれる
この時期に行き渋りや不登校が出てくる子どもは、大きく2つのタイプに分かれます。
苦手がはっきりしているタイプ
運動が苦手、人前に出るのが苦手、特定の授業や場面に強い不安がある——このタイプは、「何が嫌か」が比較的見えやすいのが特徴です。たとえば運動会の練習が始まると、「体育が嫌だ」「行きたくない」という言葉が徐々に出てきます。
サインが出やすい分、親も気づきやすく、対処のきっかけをつかみやすいです。ただし、負荷が続いた状態が長引くと、状態が固定されやすいという側面もあります。
頑張れてしまうタイプ(見落とされやすい)
もう一つは、普段は問題なく見えるタイプです。真面目で責任感が強く、言われたことはきちんとやる。周囲からは「大丈夫そう」と見られます。
このタイプは、不安や負担があっても表に出しにくく、限界まで我慢できてしまうのが特徴です。そのため、ある日突然動けなくなる、理由がはっきりしない、親から見ると「急に崩れた」ように見える、という形で現れます。
問題が表に出るまで見えにくいぶん、対応が遅れやすいタイプでもあります。
「今まで大丈夫だったから大丈夫」と判断されやすい一方で、実際には最も状態が崩れやすいタイミングまで来ているケースも少なくありません。
なぜ「急に」に見えるのか
2つのタイプを並べると、違いが見えてきます。苦手がはっきりしているタイプは徐々にサインが出る。頑張れるタイプは限界で一気に崩れる。つまり、「急に起きた」のではなく、見え方の違いによってそう感じているだけです。
特に頑張れるタイプは、「今までできていたから大丈夫」「これくらい乗り越えられるはず」と判断されやすく、負荷が見過ごされやすくなります。4月の様子が順調であればあるほど、5月の崩れが「突然」に見えてしまうのはそのためです。
GW明けと運動会で起きる“負荷の連続”
5月は、子どもにとって負荷が重なりやすい時期です。GWで生活リズムが緩み、明けると同時に学校モードへの切り替えが必要になります。そこに新しい環境への適応が続いており、学校によっては運動会の練習も始まります。
近年は、秋に行事が集中することを避けるために運動会を春に実施する学校も増えています。一方、従来通り秋に実施する学校もあり、地域や学校によって状況はさまざまです。ただ重要なのは時期そのものではなく、日常に対して非日常の負荷が重なるタイミングが子どもに影響しやすい、という点です。5月はその負荷が集中しやすい時期と言えます。
親が見誤りやすいポイント
この時期に起きやすいのは、「見誤り」です。「今までできていたから大丈夫」「少し様子を見れば戻る」「行かせた方がいいのでは」——こうした判断は自然なものですが、状態によっては負荷をさらに強めてしまうことがあります。
特に頑張れるタイプの子どもは、崩れるまで問題が見えにくいため、対応が後手に回りやすくなります。「まだ大丈夫」の判断が続いた結果、回復に時間がかかる状態になってしまうことも少なくありません。
「もっと早く気づけていれば」と感じるケースも多く、この時期の見立てがその後の経過に大きく影響することがあります。
悪化させないために必要な視点
ここで大切なのは、「行かせること」ではなく、動ける状態を整えることです。
無理に押し出す、そのまま様子を見続ける、親が毎朝判断し続ける——こうした関わりではなく、小さく動ける形を作る、負荷を調整する、今の状態を正確に見極めるという視点が必要になります。
「頑張らせれば乗り越えられる」という発想は、苦手がはっきりしているタイプにも、頑張れるタイプにも、どちらにも当てはまりません。頑張れるタイプはすでに十分頑張っていて、その結果として崩れているからです。
非認知能力の視点で見ると
この状態は、「頑張る力が足りない」という問題ではありません。むしろ逆で、頑張ることはできるのに、回復する余白がない状態です。
頑張ることができる、でも回復が追いつかない、だから崩れる——この構造を知っておくことで、「もっと頑張らせなければ」という方向から抜け出すことができます。必要なのは、頑張る量を増やすことではなく、回復できる余白を作ることです。
こんな変化が出ているなら
以下のような様子が見られる場合、すでに負荷が限界に近づいているサインかもしれません。
朝だけ強く拒否する、体調不良を繰り返し訴える、学校の話題を避けるようになった、以前より表情が硬い——こうした変化は、子どもが「もう余裕がない」というサインを出している状態です。「少し様子を見ればいい」と判断する前に、まず今の状態を正確に把握することが大切です。
一人で抱え込まなくていい状態です
「このまま様子を見ていいのか」「どう関わればいいか分からない」——そう感じている時点で、親御さんにもすでに十分な負担がかかっています。
この状態は、家庭の関わり方と子どもの状態が絡み合っているため、一人で判断し続けるのは難しいものです。「何が正解か分からない」という感覚が続いているなら、状況を整理するタイミングに来ているかもしれません。
状態が大きく崩れる前に整理することで、子どもにとっても親にとっても負担を小さく抑えることができます。
みちびきの支援について
みちびきでは、今の状態を整理するところから始めます。子どもの状態の見立て、負荷がどこにあるのか、家庭での関わり方の整理——こうした全体像を把握した上で、どこまで動かすか、どこを調整するかを具体的に考えていきます。
親御さんだけのご相談からスタートできますので、「今の状態を誰かと整理したい」と感じたタイミングでご連絡ください。
まとめ
5月に不登校や行き渋りが増えるのは、特別なことではありません。ただそれは、突然起きた問題ではなく、積み重なった負荷が表に出てきている状態です。
苦手がはっきりしているタイプは徐々にサインが出て、頑張れるタイプは限界で一気に崩れる。どちらも「急に」ではなく、それまでが見えていなかっただけです。
大切なのは、「なぜ起きたか」の原因探しよりも、今どんな状態にあるのかを正確に見ることです。そして、「頑張らせる」ではなく、動ける状態を整えることが、次の一歩につながります。
プロフィール

佐藤 博家庭教育コーディネーター/
代表カウンセラー(みちびき)
15年間、不登校や母子登校のご家庭を訪問支援。子どもの「自分で社会とつながる力」を育む土台づくりに尽力。文科省協力者会議委員やいじめ対策委員も歴任。「傾聴で終わらせない、変化につながる関わり」が信念。お子さんへの直接支援に加え、ご家庭の課題を可視化し、親御さんと共に解決するスタイルが特長。家庭教育等の講演・研修も多数。「家庭からはじまる社会的自立支援」を推進します。

鈴木 博美家庭教育コーディネーター/
統括ディレクター(みちびき)
家庭教育アドバイザー・訪問カウンセラーとして9年間、不登校や親子関係に悩むご家庭を支援。2025年、支援10年目を迎えます。全国の家庭への直接支援を通し、親御さんとの対話で子どもの社会的自立をサポート。家庭内の会話や関わり方を可視化し、非認知能力を育む声かけや実践的なアドバイスで親子に伴走。保護者向けセミナーや講演も多数。「支援に迷う方こそ安心して相談できる存在」を目指し、家庭の再構築に丁寧に取り組みます。











