相談する目安とは?|「まだ相談するほどじゃない」と思っている親御さんへ
- 2026/07/17
- 2026/07/13

相談を受けていると、いつも聞く言葉があります。
「もっと早く相談すれば良かったです。」
でも、その言葉の前には、ほぼ必ずと言っていいほど、もう一つの言葉があります。
「まだ相談するほどじゃないと思っていました。」
この二つは、いつもセットで出てきます。順番も、大体いつも同じです。
「まだ大丈夫」だと思っていた時期があって、それから何ヶ月か経って、「もっと早ければ」と口にする。
実は、支援の中で一番判断が難しいのは、不登校になった後のことではありません。「相談するかどうか」を決める、その手前の段階なのです。
相談は、「不登校になってから」ではありません
多くの親御さんは、相談というものを「不登校になったら行く場所」だと思っています。
でも、実際に支援の現場で見てきたサインは、もっと前から出ていることがほとんどです。
朝が少し重くなった。学校の話が減った。「今日は誰と遊んだの」と聞いても、返ってくる言葉が短くなった。持ち物の確認が、以前より増えた。親自身が、毎朝なんとなく不安を感じるようになった。ちょっとしたことで、親子喧嘩が増えた。
こうした変化は、どれも「不登校」ではありません。学校には、行けています。それでも、これらはすでに、相談していいタイミングです。
問題が形になってから相談する、という発想だと、どうしても動き出しが遅くなります。形になる前の、この「なんとなく」の段階こそ、実は一番、手を打ちやすい時期でもあります。
お子さんの様子、当てはまるものはありますか
いくつか、チェックリストにしてみました。当てはめてみてください。
お子さんの様子
- 朝になると、表情が変わる
- 学校の話をしなくなった
- 帰宅後、ぐったりしていることが増えた
- 家でだけ、荒れることがある
- 「疲れた」という言葉が増えた
- 理由ははっきり言わないけれど、なんとなく嫌そうにしている
- 学校の準備に、以前より時間がかかる
- 学校には行けているけれど、見ていて安心できない
親御さん自身の様子
- 毎朝、どう声をかければいいか迷う
- 何が正解なのか分からない
- 気づけば、SNSを何時間も見てしまっている
- 夫婦で、対応の意見が食い違う
- イライラしてしまう日が増えた
- 子どもの将来のことばかり、考えてしまう
- 自分自身も、かなり疲れている
いくつ当てはまったら、相談していいのか
こういうチェックリストのあとには、よく「5個以上当てはまったら」というような基準が書かれています。
正直に言うと、私たちはそういう基準を、あまり意味があるとは思っていません。
実際には、チェックが一つしか付かなかったご家庭でも、早めに関わったことで、大きく崩れずに済んだケースは少なくありません。逆に、「まだ大丈夫」と様子を見続けた結果、学校へ行けなくなってから相談につながるケースもあります。
だから私たちは、「困ってから相談する」より、「気になった段階で整理する」ことをおすすめしています。
理由はシンプルです。相談というのは、問題が大きくなってから駆け込む場所ではないからです。今、家庭で何が起きているのかを、一緒に整理する場所です。整理した結果、「もう少し様子を見ましょう」となることも、もちろんあります。それでいいのです。相談したからといって、必ず何かが「始まる」わけではありません。
支援をしていると、「もう少し早い段階で状況を整理できていたら」と感じるご家庭があります。
それは、不安をあおりたいからではありません。
子どもは成長するにつれて、自分の考えや価値観をしっかり持つようになります。親の言葉をそのまま受け入れる年齢ではなくなり、「分かっていても動けない」「親が言うことだから聞きたくない」という状態になることも少なくありません。
また、不登校や母子登校が長く続くほど、子ども自身も「今の生活」が当たり前になり、新しい一歩を踏み出すことへの負担は少しずつ大きくなります。もちろん、「早く相談すれば必ずうまくいく」という単純な話ではありません。大切なのは、お子さんに合ったタイミングで関わることです。
ただ、そのタイミングを家庭だけで見極めるのは簡単ではありません。私たち支援者でも、家庭の状況や子どもの様子を丁寧に整理しながら判断しています。だからこそ、「まだ相談するほどではないかもしれない」と感じている段階で、一度状況を整理してみることには大きな意味があります。
相談すると、実際に何が変わるのか
ここは、できるだけ具体的にお伝えしておきたいところです。
初回の相談では、主に次のようなことを整理していきます。
- 今、お子さんがどの段階にいるのか
- 家庭の中で、実際に何が起きているのか
- 学校との関係が、今どうなっているか
- 家庭の中で、変えていけそうなこと
- 今すぐ手を入れた方がいいこと
- 逆に、今はまだ様子を見て大丈夫なこと
漠然とした不安を、こうして一つずつ言葉にしていくだけでも、家庭の中の景色は変わってきます。「何をすればいいか分からない」状態から、「今、これをやってみよう」という状態に変わる。この整理こそが、初回相談でお渡ししたいものです。
例えば、こんな変化が生まれます
初回相談では、「学校へ行けるようにする方法」を一方的にお伝えすることはありません。
まずは、お子さんの状態や家庭の状況を整理し、「今は何が一番の課題なのか」を一緒に見つけていきます。すると、「何から始めればいいのか分からない」という状態から、「まずはこれをやってみよう」という状態へ変わっていきます。
実際に相談後、
「頭の中が整理できました」
「親として何をすればいいか見えてきました」
「久しぶりに安心して眠れました」
と話される親御さんも少なくありません。
相談の目的は、不安をなくすことではなく、家庭が次の一歩を踏み出せる状態を一緒につくることだと、私たちは考えています。
相談したからといって、契約する必要はありません
これは、はっきりお伝えしておきたいことです。
相談したからといって、そのまま継続支援を受けなければならない、ということはありません。
まずは、今の状況を整理したい。そのためだけに相談していただいても、まったく構いません。
「相談したら、何か契約させられるのでは」という不安を持たれる方は、実はとても多いです。実際には、一度相談して、「今は様子を見ましょう」となるご家庭もあります。
また、必要に応じて、学校との関わり方だけを整理して終わることもあります。
その時、その家庭に必要なことを一緒に考える。
それが、みちびきの考える相談です。
こんな相談、寄せられています
実際にいただく相談には、こういったものがあります(内容は特定できないよう一部変えています)。
学校には行けているけれど、見ていて心配。
母子登校がずっと続いている。
朝だけ、なぜか荒れてしまう。
家に帰るとゲームばかりで、他のことが手につかない。
習い事に行く際に親子でバトルしてしまう。
対応について、夫婦で意見が割れてしまう。
そして、親自身がもう限界に近い、という声。
こうした例を見て、「これくらいのことでも、相談していいんだ」と感じていただけたら、と思っています。もっと深刻な状況の方だけが相談する場所ではありません。
母子登校について、もう少し詳しく知りたい方は、[母子登校が長引く理由についての記事]もあわせてご覧ください。「子どものペース」との向き合い方についても書いています。
みちびきが大切にしていること
私たちは、
子どもだけを変える支援はしません。
親だけを変える支援もしません。
学校だけに働きかける支援でもありません。
家庭全体を一つのチームとして見ながら、親子それぞれが、少しずつ自分で考え、自分で動ける状態を目指しています。
「今だけ学校に行ければいい」ではなく、これから先も困ったときに、家庭で考え、乗り越えていける力を育てること。
それが、みちびきの支援です。
一人で抱え続けなくて大丈夫です
「もっと大変な人が相談する場所」ではありません。
「今の状態を、一度整理しておきたい」
その段階で、相談していただいて大丈夫です。
一人で抱え続けているうちは、見えてこないものがあります。誰かと一緒に、今の状況を言葉にしてみることで、初めて見えてくることも、たくさんあります。
「まだ相談するほどじゃない」と感じているとしたら、それは、相談するタイミングがすでに来ているサインかもしれません。お問い合わせフォームより、今の気になっていることを、そのままお聞かせください。
プロフィール

佐藤 博家庭教育コーディネーター/
代表カウンセラー(みちびき)
15年間、不登校や母子登校のご家庭を訪問支援。子どもの「自分で社会とつながる力」を育む土台づくりに尽力。文科省協力者会議委員やいじめ対策委員も歴任。「傾聴で終わらせない、変化につながる関わり」が信念。お子さんへの直接支援に加え、ご家庭の課題を可視化し、親御さんと共に解決するスタイルが特長。家庭教育等の講演・研修も多数。「家庭からはじまる社会的自立支援」を推進します。

鈴木 博美家庭教育コーディネーター/
統括ディレクター(みちびき)
家庭教育アドバイザー・訪問カウンセラーとして9年間、不登校や親子関係に悩むご家庭を支援。2025年、支援10年目を迎えます。全国の家庭への直接支援を通し、親御さんとの対話で子どもの社会的自立をサポート。家庭内の会話や関わり方を可視化し、非認知能力を育む声かけや実践的なアドバイスで親子に伴走。保護者向けセミナーや講演も多数。「支援に迷う方こそ安心して相談できる存在」を目指し、家庭の再構築に丁寧に取り組みます。











