🏠 家庭教育とは?家庭教育力が低下する理由と、今“親にできること”
- 2025/10/24
- 2026/08/19

【家庭教育×非認知能力で「親が育つ力」を取り戻す】
近年、「家庭教育力の低下」という言葉が使われることがあります。
ただし、これを単純に「昔の親より、今の親の教育力が落ちた」と捉えるのは適切ではありません。
核家族化や地域とのつながりの変化、共働き世帯の増加、子育てを取り巻く情報量の増加、デジタル機器の普及など、家庭を取り巻く環境そのものが大きく変わっています。
つまり、「親の力が落ちた」というより、家庭だけで子育てを担う負荷が大きくなり、親が迷いやすい構造になっているという視点も必要です。
この記事では、「なぜ家庭の教育力が低下したと言われるのか」を社会や家庭環境の変化から整理したうえで、今の家庭だからこそできることを考えていきます。
家庭教育は「しつけ」や「勉強を教えること」ではなく、子どもの非認知能力――自立心・共感力・感情の安定などを育む「家庭の学びの場」です。
この記事では、家庭教育力が低下している背景と、みちびきが大切にする“家庭でできる育ちのサポート”を解説します。
家庭教育とは?学校教育との違い

家庭教育とは、家庭の日常生活の中で、子どもが「どう生きるか」「人とどう関わるか」を学んでいく教育です。
学校教育が社会で生きるための知識を学ぶ場であるのに対し、家庭教育はその知識を支える心の土台を育てる場といえます。家庭での会話、生活リズム、親の言葉がけ、感情の扱い方――どれも子どもにとって人格形成の教材になります。
学校教育と家庭教育の違い
- 学校教育 = 社会で生きるための“知識”を学ぶ場
- 家庭教育 = その知識を支える“心の土台”を育てる場
つまり、学力や技能を習得する前に、それを受け止め、活かせる心の器を育てるのが家庭教育の役割なのです。
🔗 関連記事:非認知能力を家庭で伸ばす3つのステップ – みちびき | 伸びゆく力を共に育む、親子のみちしるべ
なぜ家庭教育力が低下しているのか?
家庭教育力の低下には、社会構造の変化が大きく関わっています。ここでは主な5つの要因を見ていきましょう。
1. 核家族化・少子化による孤立
かつてと比べ、祖父母などの親族や地域の人との関わり方は大きく変化しています。家庭によって状況は異なりますが、子育てについて身近な人に相談したり、複数の大人が子どもに関わったりする機会が少ない家庭もあります。
その結果、子育ての判断や負担が、家庭内、とりわけ一人の保護者に集中することがあります。子どもも親も他者の目や支えを感じにくくなっています。
複数世代で子育てを分担していた時代とは異なり、現代の親は子育てのノウハウや価値観を身近な人から学ぶ機会が減少しています。その結果、育児の判断をすべて自分で下さなければならないプレッシャーが増しているのです。
2. 地域社会とのつながりの希薄化
地域や親族との関係性が変化し、子育てについて気軽に相談したり、困ったときに頼ったりできる相手を持ちにくい家庭もあります。
その結果、育児や教育についての判断や負担が家庭内、とりわけ一人の保護者に集中することがあります。
家庭の中だけで問題を抱え続ける状態は、親のストレスや不安をさらに大きくし、子どもとの関わりにも影響していくことがあります。
かつては近所の人が子どもを叱ったり、親同士が自然に情報交換をしたりする機会がありました。しかし現在は、プライバシー意識の高まりや地域活動への参加率低下により、こうした支え合いの仕組みが機能しにくくなっています。
3. 保護者の精神的・時間的負担
長時間労働・共働き・ワンオペ育児により、親が子どもとゆっくり向き合う時間を確保しづらい状況です。親の負担が大きくなると、単純に「子どもと過ごす時間が減る」だけではありません。
朝の支度を待てない、失敗する前に手を出してしまう、何度も指示する、子どもに任せるより親がやった方が早い――こうした関わりが増えることもあります。
どれも、親の愛情が足りないから起きるわけではありません。時間や気持ちに余裕がなければ、子どもが自分で考え、失敗し、やり直すのを待つこと自体が難しくなるからです。
特に日本では、仕事と育児の両立支援が十分に整っていない職場も多く、親が疲弊した状態で帰宅することも珍しくありません。心の余裕がないまま子どもと接することで、本来伝えたい愛情や価値観が届きにくくなっているのです。
4. 子どもへの「任せ方」が難しくなっている
子どもを心配するあまり、失敗する前に手伝ったり、困らないように先回りしたりすることがあります。一方で、忙しさや疲れから、十分に関わる余裕が持てないこともあります。
大切なのは、「手をかけることが悪い」「任せればよい」という二択ではありません。
今の子どもに何ができて、どこに支えが必要なのかを見ながら、支援の量を調整することです。
親がすべてを代わりに行えば、子ども自身が考えたり、困ったときに助けを求めたり、失敗から立て直したりする経験は少なくなります。反対に、まだ難しいことまで本人だけに任せれば、必要以上の負担になることもあります。
家庭教育では、「何をしてあげるか」だけではなく、どこから本人に任せていくかという視点も重要です。
5. デジタル機器によって、家庭の時間の使い方が変わった
スマートフォンやゲームなどのデジタル機器は、今の生活から切り離せないものになっています。問題は、デジタル機器そのものを悪者にすることではありません。
家族それぞれが画面を見る時間が増えることで、会話や睡眠、生活リズム、家族で共有する時間とのバランスが崩れていないかを見ることが大切です。
また、子どもだけでなく、親自身のスマートフォン利用も含めて、家庭全体の生活環境として考える必要があります。
家庭教育で大切なこと
家庭教育で大切なのは、子どもに何かを「教える」ことだけではありません。
子どもの気持ちを理解すること、必要なことを伝えること、生活のルールや境界をつくること、できることは本人に任せること、困ったときには支えること。
こうした日常の積み重ねを通して、子どもは少しずつ、自分で考え、選び、人と関わり、失敗から立て直す力を身につけていきます。
日常の何気ない関わりの中に、子どもの成長を支える要素が詰まっています。
- 朝のあいさつ、食卓での会話、子どもの失敗への対応
- 「あなたはどう思う?」と聞く姿勢
- 「ありがとう」「助かったよ」と伝える習慣
これらの小さな関わりが、子どもの「自己肯定感」「共感力」「やり抜く力」を育てます。
💡 非認知能力とは
非認知能力とは、自己調整、粘り強さ、他者と協働する力など、学力テストだけでは捉えきれないさまざまな力を指す言葉です。
みちびきでは、こうした力を「自分を高める力」「自分と向き合う力」「他者とつながる力」という3つの視点から整理し、家庭での関わりの中で育てていくことを大切にしています。
家庭教育の本質は、知識を詰め込むことではなく、子どもが自分で考え、感じ、行動する力を育むこと。そのためには、親自身が子どもの話に耳を傾け、感情を受け止め、共に悩み、喜ぶ姿勢が何より大切なのです。
家庭教育学級との違い
行政が行う家庭教育学級は、地域の保護者が学び合う「啓発の場」です。一方で、みちびきの支援は「一家庭ごとの課題解決」に焦点を当てています。
それぞれの特徴
- 家庭教育学級:一般的な知識提供(横のつながり)
- みちびき:個別の状況に合わせた支援(縦の深掘り)
家庭教育学級では、多くの家庭に共通する子育ての基本や、他の保護者との交流を通じた気づきが得られます。一方、みちびきのような専門的な支援では、それぞれの家庭が抱える固有の課題に寄り添い、具体的な解決策を一緒に見つけていくことができます。
どちらが優れているということではなく、家庭の状況やニーズに応じて、適切な支援を選択することが大切です。
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家庭教育における課題
現代の家庭教育には、大きく分けて2つの課題があります。
1. 家庭の役割を再認識する必要性
家庭教育を「しつけ」や「勉強を見ること」だけと捉えるのではなく、「人として育てる」意識への転換が求められています。
子どもに「やってはいけないこと」を教えるだけでなく、「なぜそうすべきか」を一緒に考え、子ども自身が価値観を形成していけるよう支えることが、これからの家庭教育には必要です。
2. 専門的な支援・知識へのアクセス不足
子育てに関する正確な情報を得られず、不安の連鎖が起こっています。
インターネット上には膨大な情報があふれていますが、その中から自分の家庭に適した情報を見極めるのは困難です。また、相談できる専門家や信頼できる支援機関を知らない、あるいはアクセスしづらいという問題もあります。
こうした情報格差が、家庭教育力の差を生む一因となっているのです。
3.家庭だけで抱え込まないこと
地域や親族との関係性が変化し、子育てについて気軽に相談したり、困ったときに頼ったりできる相手を持ちにくい家庭もあります。
その結果、育児や教育についての判断や負担が家庭内、とりわけ一人の保護者に集中することがあります。
家庭教育というと、「家庭の中で親が頑張ること」と捉えられがちですが、家庭だけで問題を抱え続ける状態は、親のストレスや不安を大きくし、結果として子どもとの関わりにも影響することがあります。
家庭教育を大切にすることと、家庭だけですべてを解決しようとすることは、同じではありません。必要に応じて、学校や地域、専門機関など外部の力も借りながら、家庭が無理なく機能できる状態をつくっていくことも大切です。
子どもの教育は親の責任ですか?
「責任」という言葉にプレッシャーを感じる親は多いですが、家庭教育は“完璧な親”を目指すものではありません。
親自身が「関わり方を学ぶ」ことが、子どもにとって最大の教育になります。
子どもは、完璧な親からではなく、悩みながらも成長しようとする親の姿から多くを学びます。失敗を認め、謝ることができる親、自分の感情と向き合い、調整しようとする親の姿勢こそが、子どもに「人として成長し続けること」の大切さを伝えるのです。
🌱 “家庭が変わると、子どもが動き出す”
親が変化を恐れず、学び続ける姿勢を持つことで、家庭全体に良い循環が生まれます。それは決して親だけの責任ではなく、家族みんなで育ち合う過程なのです。
まとめ
家庭教育力の低下を、「最近の親の力が落ちた」という話だけで捉えることはできません。
家族の形、地域とのつながり、働き方、情報環境、デジタル機器など、子育てを取り巻く環境そのものが大きく変わっています。
だからこそ必要なのは、親がもっと頑張ることではありません。
家庭の中で、誰に負担が集中しているのか。子どもにどこまで手をかけ、どこから任せているのか。親子でどんなやり取りを繰り返しているのか。子どもが自分で考え、失敗し、立て直す機会があるか。
そして、家庭だけですべてを抱え込もうとしていないか。
そうした家庭全体のあり方を、一つずつ見直していくことが大切です。
家庭教育は、特別な教育法ではありません。毎日の生活の中で、子どもが少しずつ「自分で生きていく力」を身につけていける環境をつくることです。
みちびきでは、そのために家庭教育・非認知能力・家族全体の関係性という複数の視点から、それぞれの家庭に合った関わり方を一緒に整理しています。
プロフィール

佐藤 博家庭教育コーディネーター/
代表カウンセラー(みちびき)
15年間、不登校や母子登校のご家庭を訪問支援。子どもの「自分で社会とつながる力」を育む土台づくりに尽力。文科省協力者会議委員やいじめ対策委員も歴任。「傾聴で終わらせない、変化につながる関わり」が信念。お子さんへの直接支援に加え、ご家庭の課題を可視化し、親御さんと共に解決するスタイルが特長。家庭教育等の講演・研修も多数。「家庭からはじまる社会的自立支援」を推進します。

鈴木 博美家庭教育コーディネーター/
統括ディレクター(みちびき)
家庭教育アドバイザー・訪問カウンセラーとして9年間、不登校や親子関係に悩むご家庭を支援。2025年、支援10年目を迎えます。全国の家庭への直接支援を通し、親御さんとの対話で子どもの社会的自立をサポート。家庭内の会話や関わり方を可視化し、非認知能力を育む声かけや実践的なアドバイスで親子に伴走。保護者向けセミナーや講演も多数。「支援に迷う方こそ安心して相談できる存在」を目指し、家庭の再構築に丁寧に取り組みます。











