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夏休み明け「学校に行きたくない」と言われたら|休ませる?行かせる?親が最初に見る4つのこと

  • 2026/08/28
  • 2026/08/19

「今日、学校行きたくない」

時計を見ると、7時20分。

休ませる? 少し背中を押す? 学校へ連絡する? もう少し待つ?

スマホで検索すると、「無理をさせないで」「子どもの気持ちを尊重して」と書いてある。どれも、間違ってはいないと思います。

でも、そのとき本当に知りたいのは、一般論ではなく、目の前のこの子の場合、今日はどうすればいいのか、ではないでしょうか。

この記事では、「休ませるべきか、行かせるべきか」に、代わりの正解を出すことはしません。その前に、今この子に何が起きているのかを見るための、いくつかの視点を整理します。

夏休み明けは、子どもの変化を丁寧に見たい時期

夏休み明けは、子どもの様子をいつも以上に丁寧に見ておきたい時期です。

文部科学省は2026年7月の通知で、児童生徒の自殺者数は8月後半から増加し、特に長期休業明けの9月1日に多くなる傾向があること、また直近2年間では9月の自殺者数が最も多かったことを示し、長期休業明けに見守りを強化するよう求めています。

ただし、このデータをそのまま「夏休み明けには不登校や行き渋りが増える」という根拠にすることはできません。文部科学省の不登校調査は年度単位の集計であり、「夏休み明けの数週間で何人増えたか」を示す月別統計ではないからです。

ですからこの記事では、「夏休み明けには不登校が増える」と不安をあおるのではなく、この時期に「学校に行きたくない」という言葉が出たとき、目の前の子どもの何を見ればよいのかを考えていきます。

大切なのは、増減の理由を詳しく分析することではなく、今、目の前の子どもがどういう状態にあるかを見ることです。

でも、「行きたくない」の背景はみんな同じではない

「学校に行きたくない」という同じ言葉でも、その背景はさまざまです。

夏休みモードから学校生活に戻ることへの、一時的な抵抗感かもしれません。1学期からの疲れが、休み明けに出てきているのかもしれません。夜更かしなどで、睡眠や生活リズムが崩れたままなのかもしれません。勉強や宿題、提出物への不安かもしれませんし、友人関係や先生との関係、いじめが関わっている可能性もあります。発達特性のある子どもにとっては、環境が変わること自体が大きな負担になることもありますし、音や光、人の多さといった感覚面の負担もあり得ます。強い不安や気分の落ち込みが背景にある場合もあります。

すでに1学期から母子登校や付き添い登校をしていたご家庭では、夏休みが明けることで、その関わり方自体をどうするかという問題も出てきます。

これだけの可能性がある以上、「行きたくない」の一言だけで、対応を決めることはできません。かといって、親が原因を特定して診断する必要もありません。必要に応じて、学校や医療、専門機関の視点を借りることも、選択肢のひとつです。

休ませる? 行かせる? その前に見たい4つのこと

その朝、判断を急ぐ前に、見ておきたいことがあります。

身体の状態

睡眠はとれているか。食欲はあるか。頭痛や腹痛、吐き気、強いだるさなど、身体の症状が出ていないか。夏休み中の生活リズムが、どの程度崩れているか。

本人が何を不安に感じているか

友人関係、先生との関係、勉強、提出物、教室の雰囲気、行事など、思い当たることがあるか。ただし、本人がその理由をうまく言葉にできないことも、よくあります。理由が説明できないからといって、不安の程度が軽いとは限りません。

1学期までの経過

今回が急に始まったことなのか、それとも以前から行き渋りがあったのか。1学期の間、母子登校をしていたのか。夏休み前の時点で、すでに学校でかなり無理をしていなかったか。

今、どこまでならできそうか

「一日学校へ行けるか、行けないか」だけで考えず、今の本人がどこまでなら自分で考え、動けそうかを見ます。

状況によっては、通常通り登校する以外にも、遅れて登校する、短時間だけ参加する、別室を利用する、今日は休むなど、学校と相談しながら複数の選択肢を検討できることがあります。

ただし、段階的な登校がすべての子に適しているわけではありません。大切なのは、「少しでも学校へ近づけること」ではなく、今の状態に対して何が必要なのかを考えることです。

「今日できない」と「もうできない」は違う

夏休み前にはできていたことが、休み明けにはできなくなっていることがあります。

ただ、今日、一人で登校できなかったからといって、この先ずっと一人では登校できない、ということにはなりません。反対に、1学期にできていたからといって、今も同じだけの負荷をかけてよいとも限りません。

「昨日できたのだから、今日もできるでしょう」と背中を押し続けることにも、「今日はできなかったから、もう全部こちらでやろう」と一気に支援を戻すことにも、注意が必要です。今日の状態と、その子が本来持っている力は、いったん分けて考えたほうがよいものです。

今日の朝に、9月全部を決めなくていい

親は不安になると、今日はどうする、明日はどうする、このまま休んだらどうなる、ずっと行けなくなったらどうしよう、と、一つの朝の出来事から、一気に先のことまで考えてしまいがちです。

これは、決して特別なことではありません。大切な子どものことですから、そう考えてしまうのは自然なことです。

ただ、その朝にすべての先のことまで決める必要はありません。まずは、今日の状態と、今日必要な対応を考えることが中心になります。今日、判断できることと、まだ判断しなくてよいことを、分けて考えてみてください。1週間後や1か月後の対応まで、その朝に決める必要はありません。一方で、1学期から同じ状態が続いている場合や、心身の状態に強い心配がある場合には、「今日どうするか」とは別に、今後の支援について考え始める必要があります。

「休んだ」「行けた」だけで、その日の対応を評価しない

休ませられたから、子どもを尊重できた。登校できたから、対応がうまくいった。そう単純に評価することは、あまり意味がありません。

大切なのは、そのあとです。

休んだあと、少し回復した様子があるか。自分の状態を、少しずつでも話せるようになっているか。翌日のことを、本人なりに考え始められているか。こうした変化があれば、その休息には意味があった可能性があります。

反対に、学校の話題自体が家庭で扱えなくなってしまう、親がすべてを本人に代わって決めるようになる、生活リズムが大きく崩れていく、本人が自分の困りごとについて考える機会がなくなる、家族全員が「どうすればいいか分からない」状態のまま長引いていく、というときは、様子を見続けるだけでなく、別の関わり方や支援を考える必要が出てきます。

登校できた場合も同じです。「行けた」で終わらせず、その登校にどれくらいの無理がかかっていたか、そのあとの様子はどうだったかまで見ておくと、次の判断がしやすくなります。

母子登校だった家庭は「夏休み前に戻す」だけで考えない

1学期の間、母子登校や付き添い登校をしていたご家庭では、夏休み明けに、不安そうな様子を見て「以前より全部手伝おう」と急に支援を増やしたり、逆に「もう新学期だから」と一人で行かせようとしたりと、支援の量を一気に変えたくなることがあります。

けれど、夏休み前と今とでは、子どもの状態が変わっていることも、変わっていないこともあります。まず見るべきなのは、以前の状態に戻すことではなく、今この子がどこまで一人でできて、どこにまだ支えが必要なのか、という現在地です。

子どもへの支援量を、どこまで手伝い、どこから本人に任せるかについては、こちらの記事でも詳しく整理しています。

→ 関連記事:どこまで手伝う? どこから本人に任せる?|子どもの「できる」を育てる支援の減らし方

こんな状態なら「もう少し様子を見る」以外の選択肢も考える

行き渋りが見られたからといって、すぐに継続的な支援が必要になるとは限りません。一方で、「もう少し様子を見よう」を続けるだけでは整理しにくい状態もあります。

たとえば、次のような変化が続いている場合は、家庭だけで判断し続けるのではなく、学校や専門家など第三者の視点を入れることも考えてみてください。一方で、次のような状態が重なっているときは、家庭だけで判断を続けるより、専門家に相談することを考えたほうがよい場合があります。

夏休みの後半から、明らかに様子が不安定になっている。学校の話をすると、強い身体症状が出る。睡眠や食欲が大きく崩れている。1学期からずっと行き渋りが続いていた。母子登校や付き添い登校が長期化している。学校での困りごとが背景にありそうだと感じる。朝の親子のやり取りが、激しい衝突になってきている。夫婦の間で対応方針が大きく違い、まとまらない。そして、親だけでは、もう今の状態を判断できないと感じている。

これらは、いくつ当てはまったら相談すべきというチェックリストではありません。ひとつでも強く気になることがあれば、相談を検討する材料になります。

なお、いじめが疑われる場合や、自傷・自殺についての発言がある場合、強い抑うつ状態が見られる場合など、緊急性が考えられる状態については、家庭教育の支援だけで抱え込まず、学校、医療機関、公的な相談窓口など、専門的な対応につなげる必要があります。

みちびきでは「学校へ行かせるか」だけを見ません

みちびきでは、子どもの今の状態、これまでの経過、家庭での親子のやり取り、親がどこまで支援しているか、本人がどこまで自分でできるか、本人の発達上の特徴や特性が影響している可能性、学校の環境、家庭内での役割分担、ご夫婦の対応の違いなど、さまざまな要素を整理しながら、この家庭の、この子にとって、次にできる現実的な一歩は何かを一緒に考えていきます。

「まず復学させます」「まずは休ませます」というように、方向を先に決めてかかることはありません。今、何が起きているのかを見立てることから、支援は始まります。

まとめ

夏休み明けに「学校に行きたくない」と言われたとき、大切なのは、親がその朝に完璧な正解を出すことではありません。

「行かせるか、休ませるか」を急いで決める前に、今この子に何が起きているのかを見る。そして、今日の選択だけでなく、そのあとの状態を見ながら、必要であれば支援の量や、学校との関わり方を調整していく。

今日行けなかったことを、そのまま「もう行けない」にしないこと。今日行けたことを、そのまま「もう問題ない」にもしないこと。

子どもの現在地を見ることから、次の一歩を考えていく。夏休み明けの朝は、その最初の一歩にすぎません。

「行かせるべきか、休ませるべきか」ではなく、「今、この子に何が起きているのか、家庭だけでは分からなくなっている」と感じる段階でも、ご相談いただくことができます。まだ相談するほどではないかもしれない、と迷っている方は、こちらの記事もご参考ください。

→ 関連記事:「まだ相談するほどではない」と迷っている方へ

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Profile

佐藤 博

佐藤 博家庭教育コーディネーター/
代表カウンセラー(みちびき)

15年間、不登校や母子登校のご家庭を訪問支援。子どもの「自分で社会とつながる力」を育む土台づくりに尽力。文科省協力者会議委員やいじめ対策委員も歴任。「傾聴で終わらせない、変化につながる関わり」が信念。お子さんへの直接支援に加え、ご家庭の課題を可視化し、親御さんと共に解決するスタイルが特長。家庭教育等の講演・研修も多数。「家庭からはじまる社会的自立支援」を推進します。

鈴木 博美

鈴木 博美家庭教育コーディネーター/
統括ディレクター(みちびき)

家庭教育アドバイザー・訪問カウンセラーとして9年間、不登校や親子関係に悩むご家庭を支援。2025年、支援10年目を迎えます。全国の家庭への直接支援を通し、親御さんとの対話で子どもの社会的自立をサポート。家庭内の会話や関わり方を可視化し、非認知能力を育む声かけや実践的なアドバイスで親子に伴走。保護者向けセミナーや講演も多数。「支援に迷う方こそ安心して相談できる存在」を目指し、家庭の再構築に丁寧に取り組みます。

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