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子どもが嘘をつくとき、親はどうする?|繰り返す嘘の背景と対応を考える

  • 2026/10/02
  • 2026/09/29

「宿題やったの?」 「やった」

でも、あとになって、やっていなかったことが分かる。

「ゲームしてないよね?」 「してない」

でも、履歴を見ると、していたことが分かる。

最初のうちは、軽く注意する程度だったはずです。それが何度も続くと、「本当に?」「嘘じゃないよね?」「ちゃんと言って」と、確認せずにはいられなくなっていきます。

親としては、問題が起きないように確認しているつもりでも、何度も事実と違うことが続けば、少しずつ子どもの言葉をそのまま受け取れなくなることがあります。

一方で子どもも、「本当のことを言ったら怒られるかもしれない」「また問い詰められるかもしれない」と感じるようになると、さらに言いにくいことを隠したり、ごまかしたりすることがあります。

この記事では、「嘘をつく子ども」だけを見るのではなく、嘘をめぐって親子の間で何が起きているのかを考えていきます。

子どもが嘘をつくとき、「嘘をやめさせる」だけでは見えないことがある

大阪市が公開している、臨床心理士・精神保健福祉士による資料「子どもの嘘~どう対応する?」では、子どもの嘘には基本的に「何らかの嘘をつく理由がある」とされています。例えば、親が追い込んだことで嘘につながる場合、親の期待に沿おうとする場合、自分を守ろうとする場合、親の気を引こうとする場合などです。

そして、嘘をついたことが分かっても「嘘をつく悪い子」と性格に原因を求めるのではなく、「何があるのだろう」と考えることが大切だとされています。

参考:大阪市「子どもの嘘~どう対応する?」

大切なのは、「嘘をついた」という結果だけを見るのではなく、「なぜ本当のことを言えなかったのか」を見ることです。

なお、同じ資料では、幼児期、学童期、思春期で、嘘の背景や意味合いが異なることも説明されています。特に思春期編では、小学校5年生以降になると親に対して隠し事が増えてくることについて、「大人になっていく過程での正常な発達」と説明されています。この記事では、幼い子どもの空想や、成長にともなう自然な隠し事ではなく、主に小学生から中学生にかけて、親が「意図的な嘘なのでは」と感じるような場面を中心に扱います。

なぜ、本当のことを言わなかったのか

「嘘をつく子の特徴」のような形で、原因を一つに絞ることはしません。同じ「やった」という一言でも、背景によって意味は変わってきます。

宿題をしていないのに「やった」と言った。この背景には、叱られたくなかった、親をがっかりさせたくなかった、あとでやるつもりだった、できなかったこと自体を認めたくなかった、そもそも宿題の内容でつまずいていた、など、いくつもの可能性が考えられます。

学校の出来事について「何もなかった」と言う場合も同じです。うまく説明できない、心配をかけたくない、恥ずかしい、知られたくない、本人の中でもまだ整理がついていないなど、さまざまな背景が考えられます。

「嘘」という一つの現象の裏側には、その子なりの理由が隠れています。

嘘が続くと、親も子どもを信じられなくなっていく

親は、最初から子どもを疑っているわけではありません。「今回は本当に大丈夫だろうか」という確認は、事実と違うことが繰り返された経験の積み重ねから生まれています。

だからこそ、「子どもを信じましょう」という言葉だけでは、この状況は変わりません。信じたい気持ちがあっても、事実と違うことが何度も続けば、「今回も違うのでは」と不安になり、確認したくなることがあります。

ここで見ていく必要があるのは、子どもの側だけでなく、親子それぞれの反応が、お互いにどう影響し合っているかという部分です。

「確認する親」と「隠す子」の循環になっていないか

家庭の中では、次のような流れが起きていることがあります。

子どもが事実と違うことを言う。
↓
親が不安になる。
↓
確認や追及が増える。
↓
子どもは、怒られる、責められると感じる。
↓
言いにくいことを、隠す、ごまかす。
↓
あとになって事実が分かる。
↓
親の不信がさらに強くなる。
↓
もっと確認するようになる。

すべてのご家庭が、必ずこの流れになるわけではありません。ただ、心当たりがある場合、大切なのは、「親が責めるから、子どもが嘘をつくようになった」と、どちらか一方を原因と決めつけることではありません。子どもの側の理由と、親の側の反応が、お互いに影響し合いながら、今のやり取りの形を作っている、という見方です。

「本当のことを言った後」に、家庭で何が起きているか

ここが、この記事でいちばんお伝えしたい部分です。

子どもが「宿題してない」と、正直に打ち明けたとします。そこで、「なんでやってないの」「昨日やるって言ったよね」「だから言ったでしょう」と続くことがあります。

あるいは、「学校で嫌なことがあった」と話した瞬間に、「何をされたの」「先生には言ったの」「誰にされたの」「明日、先生に電話するから」と、一気に事態が動き出すこともあります。

親は、子どもを助けたい一心で、こう反応しています。ただ、子どもの側からすると、「本当のことを言うと、大ごとになる」という経験として積み重なっていくことがあります。

嘘そのものだけを見るのではなく、本当のことを話したときに、この家庭では何が起きるのかを、あわせて見ておく必要があります。

「信じる」と「何でも鵜呑みにする」は同じではありません

ここまで読んで、「嘘をついているかもしれないのに、それでも信じないといけないのか」と感じた方もいるかもしれません。

そうではありません。安全に関わること、金銭に関わること、他者を傷つけていないか、いじめに関わっていないか、学校で重大な問題が起きていないかなど、大人が事実を確認する必要がある場面は、当然あります。

一方で、「宿題した?」「明日の準備した?」「先生にちゃんと言った?」というような、日々の細かなことまで、毎回親が事実確認をしている場合は、少し立ち止まって考えてみてください。これは、本来、誰が引き受ける課題なのでしょうか。宿題や持ち物の管理を、いつまで親が確認し続けるのかという問題は、嘘そのものとは別に、家庭教育の観点からも考える価値があります。

子どもだけでなく、「なぜ私は確認せずにはいられないのか」も見る

子どもに嘘をつく理由があるように、親にも、確認せずにはいられなくなる理由があります。

失敗させたくない。将来が心配になる。学校から注意されたくない。問題を大きくしたくない。自分が親として責められている気がする。任せることで、かえって悪化するのが怖い。

親が確認を繰り返してしまう背景にも、それぞれ理由があります。子どもには嘘をつく理由があり、親には確認する理由がある。どちらかを悪者にするのではなく、その二つが組み合わさった結果として、今、この家庭でどんなやり取りが繰り返されているのかを見ていくことが必要です。

目指すのは「絶対に嘘をつかない子」にすることではありません

この記事でお伝えしたいのは、嘘をゼロにすることを目標にする、という話ではありません。

困った。失敗した。やっていない。怖かった。言いたくなかった。こうしたことを、必要な場面で、少しずつ言葉にできるようになること。そして、本当のことを話しても、まずは一緒に状況を整理してもらえる、という経験を重ねていくこと。

年齢が上がっていけば、親には話さないことが増えていくのも、自然な成長の一部です。すべてを話してもらうことを目指す必要はありません。

大切なのは、失敗したときや困ったときに、「言ったら怒られるから隠す」以外の方法を少しずつ持てるようになることです。必要なときには相談する、分からないことを分からないと言う、できなかったことを伝える。そうした経験を家庭の中で積み重ねていくことも、子どもが成長していくうえで大切なことだと考えています。

まとめ|「なぜ嘘をついた?」だけで終わらせない

子どもが嘘をついたとき、「なぜ嘘をついたの」と、子どもの側だけを見て終わらせるのではなく、なぜ本当のことを言いにくかったのか、本当のことを話したとき家庭では何が起きているのか、そして親自身がなぜ確認せずにはいられなくなっているのかまで、あわせて整理してみることをお勧めします。

同じ「嘘を繰り返す」という状態でも、その背景や、家庭でのやり取りは一つひとつ違います。必要な対応も、家庭によって変わってきます。

みちびきでは、こうした状態を「嘘をやめさせる方法」として一律にお伝えするのではなく、この家庭で、今何が起きているのかを見立てることから、支援を組み立てています。見立てという考え方について、詳しくはこちらでも紹介しています。

→ 関連記事:不登校・母子登校を相談すると何をする?|支援でまず行う「見立て」とは

「何度も確認してしまう」「どこまで子どもの言葉を信じ、どこから事実を確認すればよいのか分からない」といった段階でも、ご相談いただけます。

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Profile

佐藤 博

佐藤 博家庭教育コーディネーター/
代表カウンセラー(みちびき)

15年間、不登校や母子登校のご家庭を訪問支援。子どもの「自分で社会とつながる力」を育む土台づくりに尽力。文科省協力者会議委員やいじめ対策委員も歴任。「傾聴で終わらせない、変化につながる関わり」が信念。お子さんへの直接支援に加え、ご家庭の課題を可視化し、親御さんと共に解決するスタイルが特長。家庭教育等の講演・研修も多数。「家庭からはじまる社会的自立支援」を推進します。

鈴木 博美

鈴木 博美家庭教育コーディネーター/
統括ディレクター(みちびき)

家庭教育アドバイザー・訪問カウンセラーとして9年間、不登校や親子関係に悩むご家庭を支援。2025年、支援10年目を迎えます。全国の家庭への直接支援を通し、親御さんとの対話で子どもの社会的自立をサポート。家庭内の会話や関わり方を可視化し、非認知能力を育む声かけや実践的なアドバイスで親子に伴走。保護者向けセミナーや講演も多数。「支援に迷う方こそ安心して相談できる存在」を目指し、家庭の再構築に丁寧に取り組みます。

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