母子登校とは?~親子で一緒に登校する背景と支援の考え方~

家庭教育の学び

「朝、一人で学校に行けなくて…」 「教室に入るまで付き添わないと不安がって…」

最近、このような「母子登校」に関するご相談が増えています。お子さんが一人で学校に行けず、親が付き添って登校する状況は、決して特別なことではありません。さまざまな背景や理由があり、多くのご家庭が経験する過程かもしれません。

この記事では、母子登校の背景や原因、そして親子で乗り越えていくためのヒントについてお伝えします。一人で悩まず、まずは状況を理解することから始めましょう。

母子登校とは?

母子登校とは、親(多くの場合は母親)が子どもと一緒に学校まで行き、時には教室内にも付き添う状態を指します。

具体的には以下のようなパターンがあります:

  • 学校の門まで一緒に行く
  • 校舎の入り口まで付き添う
  • 教室の前まで送る
  • 教室内で一緒に過ごす
  • 特定の授業や時間帯だけ付き添う

こう見ても“母子登校”とひとくくりにするには状態が様々であることはご理解いただけるのではないかと思います。母子登校の期間も、数日間の一時的なものから数ヶ月以上続く長期的なものまで様々です。また、子どもの年齢や発達段階、性格によっても現れ方は異なります。

しかし、実際“母子登校”という言葉からはみな一様であると捉えている方も少なくありませんし、お母さんが付き添っているだけで登校できているならマシでしょうと思われる方も一定数いらっしゃるようです。

なぜ母子登校になるのか?背景と原因

母子登校になる背景には、子ども側の要因と親側の要因、そして親子の関係性が複雑に絡み合っています。

子ども側の背景

  • 分離不安: 親と離れることへの強い不安
  • 学校環境でのストレス: 友人関係のトラブル、学習の遅れ、先生との関係
  • 過去の失敗体験: からかわれた経験、失敗して恥ずかしい思いをした記憶
  • 自信の欠如: 「一人でできるか不安」という気持ち
  • 感覚過敏: 教室の音や光、人の多さに敏感で疲れやすい

これらを挙げましたが、大きな枠でお伝えするとすると“家庭と学校とのギャップが大き過ぎる”ことが多いように感じています。

親側の背景

  • 子どもへの心配: 「一人で大丈夫だろうか」という心配
  • 見守りたい気持ち: 子どもの学校での様子を確認したい思い
  • 過去の経験: 親自身の学校でのネガティブな経験
  • 周囲の目: 「親として送り出せないのでは」という焦り
  • 解決策としての付き添い: とりあえず一緒にいれば登校できるという考え

子どもを心配するお気持ちは親であれば当然のことです。しかし、その心配な気持ちが増幅してしまうといき過ぎた対応になってしまうこともあります。また、それだけでなく母子登校という状態が日常化してしまうと、親御さんもその状態が当たり前という感覚に陥ってしまい子どもに「やってあげて当然」となってしまうこともよく見受けられます。

ただ、やはり精神的にも肉体的にも親御さんの負担は大きいので、ご自身が気づかない内にどんどん疲弊してしまっているという状態に陥る方が殆どです。

親子の関係性

母子登校は、単に子どもや親のどちらかだけの問題ではなく、親子の関係性や互いの不安が影響し合って生じることが多いです。お互いの気持ちが”共振”することで、不安が増幅されることもあります。

「子どもが不安そうにしているから親も心配になる→親が心配そうにしているからさらに子どもの不安が強まる」というサイクルが生まれることも。

母子登校を放っておくと起きるリスク

母子登校が長期化すると、いくつかの課題が生じる可能性があります。

子どもにとってのリスク

  • 自立の遅れ: 自分で不安や困難に対処する機会が減る
  • クラスでの立場: 「特別扱い」と見られる可能性
  • 自己肯定感の低下: 「一人でできない自分」という自己イメージの固定化
  • 分離不安の強化: 親がいないと安心できない状態が強化される

長期化することで、周りのお友達は親元から離れて過ごすことに慣れていくのに対し、親御さんが側にいることが当たり前になっているご家庭ではそれが「当たり前」と子どもが誤学習してしまうことも多いです。その結果、自分の要望が通らない、親が側に居てくれないという状態になると子どもが癇癪を起しやすくなるという流れにも繋がりやすいでしょう。

親にとってのリスク

  • 時間的・身体的負担: 毎日の付き添いによる疲労
  • 精神的ストレス: いつまで続くのかという不安
  • 仕事や家庭との両立の難しさ: 他の責任との板挟み
  • 子どもへの過度な心配: 必要以上に子どもを心配する習慣化

母子登校をされているご家庭の親御さんも、大人ですから学校などでは毅然と対応される方が多いです。しかし、上記にも書いたように本人が感じるよりも数倍ストレスや負担は大きく、「一人になると自然と涙が出てくるんです」とおっしゃっている親御さんもいました。それぐらい、頑張り屋さんである親御さんが多いのです。

不登校へのリスク

状況が改善されないまま続くと、次第に登校自体が難しくなり、不登校につながるケースも少なくありません。母親が付き添えない日に「今日は休む」が増えたり、徐々に登校時間が短くなったりすることがあります。

だからこそ、早めの適切な対応が大切です。

母子登校を乗り越えるためにできること

母子登校の状況を少しずつ改善していくためには、焦らず段階的に取り組むことが大切です。

1. 小さな成功体験を積み重ねる

  • 最初はこの状態が大変だということを伝えるところから:子どもは無意識にそれが「あたり前」と捉えてしまいがちなので、そこを訂正するところから始めましょう
  • 小さなステップを踏んでいく: 例えば「校門まで一緒に行き、そこで別れる」といった具体的な目標を設定
  • できたことを一緒に喜ぶ: 「今日は教室の前まで一人で行けたね!頑張ったね!」と成功を共有
  • 無理せず焦らず: 調子の良い日と悪い日があることを認める

成功のカギは親御さんが焦り過ぎずに対応することだと思います。

2. 具体的な分離のステップ例

  1. 教室で一緒に過ごす → 教室の後ろで見守る
  2. 教室の後ろで見守る → 廊下で待機する
  3. 廊下で待機する → 学校の別の場所(図書室など)で待機する
  4. 学校内で待機する → 校門まで送って帰る
  5. 校門まで送る → 学校近くまで送る
  6. 学校近くまで送る → 途中まで一緒に行く
  7. 途中まで一緒に行く → 家から見送る

みちびきでは、ご家庭の様子や学校での過ごし方、そしてお子さんの性格傾向や親御さんの状態など様々な角度から分析し、無理のし過ぎない・子どもが頑張れそうなステップを一緒に考えていきます。

3. 子どもの力を信じて「見守る」姿勢を持つ

  • 親の不安を子どもに伝えない: 「大丈夫、できるよ」という安心感を伝える
  • 子どもの様子をよく観察する: 本当に不安なのか、それとも甘えなのかを見極める
  • 子どもの感情を言語化する手伝い: 「学校で何が不安?」具体的に話せるよう促す

「見守る」というと何もしないことであると捉える人もいますが、みちびきの支援ではそうお伝えしていません。「見守る」とは、子どもの力を信じて側から見守ってあげることです。つまり、子どもが立ち上がれないような状態になればすぐに手を差し伸べてあげられる距離ではあるということです。

4. 失敗しても責めず、やり直せる安心感を与える

  • 「今日はできなかったけど、明日また一緒にやってみよう」: 失敗を次へのステップと捉える
  • 子どもの気持ちを尊重する: 無理強いはせず、子どものやる気を引き出す対応
  • 親自身の感情をコントロールする: イライラや焦りを子どもに向けない

親が焦れば焦るほど子どもにそれが伝わり、余計に頑なになってしまうことも多いです。子どもに対応するときは、親御さんの焦るお気持ちとは分けて判断していきたいですね。

お子さんの特性に合わせた対応が必要なケース

実は、母子登校の背景には発達特性が関わっているケースもあります。以下のような特徴が見られる場合は、専門家への相談も検討してみましょう:

  • 環境の変化に特に敏感で、切り替えが難しい
  • 特定の音や感覚に強い苦手意識がある
  • コミュニケーションに困難さを感じている
  • 不安が強く、こだわりが強い

このような特性がある場合、単に「頑張れ」と励ますだけでは解決が難しいことがあります。お子さんの特性を理解した上での適切な支援が必要です。

困ったときはプロに頼るという選択肢も

母子登校の問題を一人で抱え込む必要はありません。学校の先生やスクールカウンセラー、専門家などに相談することで、新たな視点や解決策が見つかることがあります。

専門家に相談するメリット

  • 客観的な視点: 親子だけでは気づけない視点から状況を整理できる
  • 個別の支援プラン: その子に合ったカスタムメイドの支援策を考えられる
  • 親のサポート: 親自身の不安や疲れにも寄り添ってもらえる
  • 専門的知識: 発達特性や心理面での専門的アドバイスが得られる

まずは気軽に相談から

「相談するほどのことではないかも…」と躊躇する必要はありません。早めの相談が状況改善の鍵となることも多いです。多くの支援機関では無料相談も実施していますので、まずは気軽にお問い合わせください。

まとめ:一歩ずつ、親子で成長していく過程として

母子登校は、お子さんの成長過程の一つの段階と捉えることができます。焦らず、お子さんのペースに合わせながら、少しずつ自立への歩みを進めていきましょう。

大切なのは、「できない」ことを責めるのではなく、「できる」ことを少しずつ増やしていく視点です。親子での小さな成功体験の積み重ねが、やがて大きな自信へとつながっていきます。

「この子の力を信じて見守る」という姿勢を持ちながら、必要に応じて専門家のサポートも取り入れ、親子で一緒に乗り越えていきましょう。


【ご相談はこちらから】
📱 LINE: https://lin.ee/AKx80nW
📧 メール: contact@michibiki-support.com

家庭での関わり方やお子さんの特性に合わせた支援について、まずは気軽にご相談ください。

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