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【親の手紙】「親が変われば子も変わる」――そう信じられなかった私が、家族と向き合えた2年間

  • 2026/08/10
  • 2026/08/05

「私は息子のためにこんなに一生懸命行動しているのに、どうして息子の状態は悪くなっていくのだろう。」

中学1年生の息子さんが、ゴールデンウィーク最終日に「学校に行きたくない」と言い出したときから、お母さんの長い模索が始まりました。

良かれと思って重ねてきた対応が、実は「子ども優位」の関わりだったと気づいたとき、お母さんは大きなショックを受けます。それでも、家庭教育の学びを通して、少しずつ「親自身が変わる」ことに向き合っていかれました。

「親が変われば子も変わる」

よく耳にする言葉ですが、それを本当に信じて、行動に移し続けることは、決してやさしいことではありません。この記事では、そのプロセスを丁寧にたどりながら、なぜ「親が変わること」がこれほど苦しく、そしてなぜそれが必要なのか、みちびきとしての視点を交えてお伝えしていきます。

同じように「このままでいいのだろうか」と悩んでいる親御さんに、少しでも希望を感じていただければと思い、ご本人の許可をいただいて掲載しています。個人が特定されないよう、一部表現を変更しています。

今回は、このご家庭からいただいた「親の手紙」をご紹介します。

ご相談いただいた当時の状況

中学校に進学したばかりの息子さん。ゴールデンウィークが明けようとしていたある日、突然「学校に行きたくない」と言い出しました。

お母さんは、その理由を聞き出そうとしたり、担任の先生に相談したり、気分転換にと好きな場所へ連れ出したり、スマホやゲームを許可したりと、できる限りのことをしてこられました。今振り返れば、それは過保護・過干渉・ごまかしといった、子ども優位の対応だったといいます。

けれど、状況は良くなるどころか悪化していきました。行けたり行けなかったりを繰り返す五月雨登校、機嫌を損ねると部屋に閉じこもってしまうこと、床や壁を叩いてしまうこと、昼夜が逆転していく生活……。

「私はこんなに息子のために頑張っているのに、どうして良くならないのだろう」 「この先、息子はどうなってしまうのだろう」 「きょうだいまで学校に行きたくないと言い出したら、家族全員どうなってしまうのだろう」

そんな出口の見えない不安の中、お母さんはスクールカウンセラーへの相談や心療内科の受診、預け先を探すことなど、思いつく限りの方法を毎日調べ続けました。

そして「復学支援」という言葉にたどり着き、みちびきへご相談くださいました。

このお母さんのように、

  • 中学生になってから急に行き渋りが始まった
  • 良かれと思ってやってきた対応が、逆効果になっている気がする
  • 五月雨登校や部屋に閉じこもる様子に、家族の生活リズムまで崩れてきている
  • きょうだいへの影響も心配になってきた

といった状況は、決して珍しいことではありません。「頑張っているのに良くならない」という感覚こそ、多くの親御さんが最初に経験される段階でもあります。

親御さんからいただいた「親の手紙」

拝啓 小夏の候、鈴木先生をはじめ皆様におかれましては、ますますご健勝のこととお喜び申し上げます。

鈴木先生は、この2年間、私にとって先生であり、家族であり、戦友であり、ママ友でもありました。最後の電話カウンセリングの日、電話を切った後、まるでドラえもんが未来に帰ってしまったかのような、心にぽっかり穴が開いたような気持ちになりました。我が家のトラブルに突然現れてくれたドラえもんが、あの手この手で私たち家族を助け、最後は「のび太くんも、野比家ももう大丈夫だよ」と未来に帰っていく――それくらい我が家にとって、この2年間は忘れられない出来事です。

中1のGW最終日、息子が突然「学校に行きたくない」と言い出しました。私は息子にその理由を聞き続け、担任の先生に登校できるための対応をお願いし、気分転換にとランチや息子の行きたい場所へ連れて行き、スマホやゲームをやらせ……今思えば、過保護、過干渉、ごまかしといった、子ども優位の対応ばかりでした。その結果、良くなるどころか、五月雨登校、すぐに機嫌を損ねて部屋に閉じこもる、床や壁を殴る、昼夜逆転と、状況は悪化していく一方でした。

私は息子のためにこんなに一生懸命行動しているのに、どうして息子の状態は悪くなっていくのだろう。この先息子はどうなってしまうのだろう。それを見ているきょうだいまで「学校に行きたくない」と言い出し、家族全員どうなってしまうのだろう。他の子たちはなぜ普通に学校に通えているのだろうと、世の中から色が無くなったような気分でした。

そこからは、スクールカウンセラーに相談するのか、心療内科を受診するのか、遠いどこかに預けるのか……とにかく毎日調べ続けました。その時に「復学支援」という言葉を知り、たどり着いたのがみちびきでした。すぐに支援を受けることを決意し、対応をお願いすることにしました。

不登校の本を読み漁った時に、夫婦共々、過保護、過干渉である事に気付きましたが、何から手をつけたら良いのかわかりませんでした。まずは言われた通り、毎日の家庭ノートの記入から始めました。子どもと会話をしながら内容も記憶するということに、初めは戸惑いましたし、命令・指示・提案ばかりしてきた私にとって、それらが使えない状況となると、言葉に詰まることも多々ありました。ですが、鈴木先生の丁寧でわかりやすい家庭ノートの添削、週に1度の電話カウンセリングで相談するうちに、自分の武器や防具が少しずつ増えていった気がしました。

それでも、今までの子ども優位の対応から大人優位の対応に変えるにあたり、息子からの反発はものすごく、本人の意にそぐわない時は特に私に対して、ものすごいエネルギーと執着心で反発してきました。その度に何度も鈴木先生に弱音を吐いたり、ぐちをこぼしたりしましたが、鈴木先生はそのたびに一緒に伴走してくれるかのように支え、励ましてくださったり、時には息子の立場からの意見を伝えてくださり、私自身の気付きにもつながりました。

「こんな対応をしてしまったら、息子がキレてまた学校に行かなくなってしまうのではないか」と、鈴木先生のアドバイスに自信が持てなかったり、心が折れて逃げ出したくなる時もありましたが、それでも「自分が望んでペアレンツキャンプを選択したんだ。これをやってダメなら鈴木先生がまた一緒に考えてくれる。それで不登校になったとしても、最終手段の佐藤先生がいてくれる」と自分に言い聞かせ、何度もセリフを練習して逃げずに挑みました。うまく言えなかったり、言い返せなかったり、言い負かされたり……自己嫌悪になることもありましたが、「ブレない」ということだけを頭に入れて対応を続けていくうちに、いつの間にか息子の反発も少なくなっていったと思います。

継続登校も安定してきて、支援を受けてから1年経った頃、卒業のお話をいただきました。しかし同時に息子の持病が悪化し、その対応も含めて支援の継続をお願いしました。不登校とは全く異なる、守備範囲外の対応だったと思いますが、そこも家庭教育の観点をベースに対応策を模索していただけました。本当に感謝していますし、一生付き合っていく持病に、親も子も向き合い方の道しるべを示していただけたのかなと思います。

支援を受けてすぐの頃、なかなか変わらない息子に対して焦る私に、鈴木先生は「残念ながら、これをやれば変わるという魔法の言葉はありません」「子どもを信じて待ちましょう」とおっしゃっていました。その時は「じゃあいつ?本当に変わるの?信じる根拠は?」と不安でいっぱいでしたが、数ヶ月、ぶれずに対応し続けると、命令しなくても本当に変わってきたのです。

息子が不登校になった時、私は「息子が、学校が、友だちが」と、不登校になった理由を探し続けました。でも本当の理由は「親」だったのかもしれません。「親が学べば子は伸びる、親が変われば子も変わる」。息子にかけた魔法は、この言葉に尽きると思います。

2年前、あんなに学校に行かないと言っていたのに、今では学校を休みたくないと言っている息子。復学当時は宿題もできず精いっぱいだったのに、徐々に宿題を提出するようになり、そこからは親が何も言わなくても息子なりに勉強する意味を見出し、自主的に勉強し、成績を上げています。支援前は「言わないと勉強しない、言ってもしない」と決めつけていましたが、今は信じて見守ることができるようになりました。

いろいろな選択肢がある時代で、何が正解かもわからないけれど、我が家の場合はみちびきの家庭教育に出会い、鈴木先生に出会えて、家族のカタチを壊すことなく、修正・補正してもらえてよかったと心から思えます。これからも親として学ぶ必要があり、くじけることがあるかもしれませんが、その時はこの経験を糧に、夫婦で力を合わせ、諦めずに進んでいこうと思います。

長かったようで短い2年間、多くの学びや気付き、成長の機会を与えてくださり、ありがとうございました。鈴木先生のご活躍とご健康を心よりお祈り申し上げます。

敬具

この親の手紙から伝えたいこと

「親が変われば子も変わる」は、精神論ではありません

このお手紙の中で、お母さんは「親が学べば子は伸びる、親が変われば子も変わる」という言葉に触れています。

この言葉だけを聞くと、「結局、親のせいということ?」「親が我慢すればいいということ?」と誤解されてしまうことがあります。ですが、みちびきが家庭教育の中でお伝えしているのは、精神論でも、自己犠牲の勧めでもありません。

家族は、お互いに影響を与え合いながら生活しています。そのため、一人だけを変えようとしても、思うように状況が変わらないことがあります。

家族療法では、お子さんだけを見るのではなく、家庭全体の関わり方やバランスにも目を向けます。家族療法的な視点で見ると、お子さんの不登校や荒れは、「お子さん個人の問題」としてだけでなく、「家族というシステム全体の中で、親子関係や日々の関わり方のバランスが崩れているサイン」として捉えることができます。

お母さんが振り返っておられるように、心配のあまり先回りして予定を決めたり、代わりに理由を探したり、ご機嫌を取るように接したりすることは、決して「甘やかし」ではなく、我が子を思うがゆえの、ごく自然な反応です。ただ、その関わりが積み重なることで、知らないうちに「子ども優位」のバランスができあがり、お子さんが自分の力で状況と向き合う機会を、結果として奪ってしまうことがあります。

子どもだけを変えようとすると、なぜ苦しくなるのか

「学校に行かせたい」という思いから、多くの親御さんは、お子さんの行動や気持ちを変えようとされます。しかし、お子さんの気持ちは、親がコントロールできるものではありません。

このお母さんも、「私はこんなに息子のために頑張っているのに、どうして良くならないのだろう」と苦しんでおられました。これは、変えられないものを変えようとし続けることで生まれる、ごく自然な苦しさです。誰かの努力が足りないから起きることではありません。

一方でお母さんが取り組まれたのは、「息子を変えること」ではなく、「自分の関わり方を変えること」でした。家庭ノートを通して日々の会話を記録し、命令・指示・提案に頼らない伝え方を、鈴木先生と一緒に一つひとつ練習していかれました。

自分が変えられるのは、相手ではなく自分の関わり方だけ、という当たり前のようで見えにくい前提に立ち直ったとき、初めて家庭の中に変化の余地が生まれます。

変わったのは息子さんだけでなく、家庭全体だった

お手紙の中で印象的なのは、お母さんが「子ども優位の対応から大人優位の対応に変える」過程で、お子さんから強い反発を受けながらも、「ブレない」ことだけを支えに対応を続けられたという部分です。

関わり方を変える初期には、お子さんの反発が一時的に強まることも少なくありません。これは、これまでのやり取りのパターンが崩れることへの、いわば揺り戻しのようなものです。ここで再び以前の対応に戻ってしまうと、「反発すれば元に戻る」という学習がかえって強まってしまいます。だからこそ、専門家と一緒に「今日はどう対応するか」を具体的に確認し、ぶれずに続けられる環境が重要になります。

このご家庭では、お母さんだけでなくご夫婦で、そして息子さんの持病への対応まで含めて、家庭全体で関わり方を見直していかれました。宿題や勉強に自主的に取り組むようになったこと、そして「学校を休みたくない」と言えるようになったことは、息子さんの変化であると同時に、家庭というシステム全体が新しいバランスを見つけた結果でもあります。

家庭教育とは、正しい方法を教えることではない

みちびきが大切にしている家庭教育は、「これをすれば必ずうまくいく」という正解を教えることではありません。

お子さんの気持ちを尊重すること、家庭内での約束や役割を整えること、そして親御さん自身が安心して関わり続けられる状態を作ること。それらを通して、お子さんの非認知能力――自分と向き合う力、自分で考えて行動する力、周りの人とつながる力――が育っていく土台を、家庭の中に整えていきます。

「言わないと勉強しない、言ってもしない」と感じていたお子さんが、自分から宿題に取り組み、成績を伸ばしていった変化は、まさにこの非認知能力が育っていった結果だといえるでしょう。

ご相談をご検討中の方へ

「親が変わらなければいけない」と聞くと、多くの親御さんは、ご自身を責めるような気持ちになってしまうかもしれません。

けれど、今回ご紹介したお手紙からもわかるように、それは「これまでの対応が間違っていた」ということではなく、「我が子を思うあまり、知らず知らずのうちに関わり方のバランスが崩れてしまっていた」ということです。誰にでも起こり得ることであり、決して特別なことではありません。

  • 中学生の子どもが急に行き渋るようになった
  • 良かれと思ってやってきたことが、うまくいかない
  • 家族の中で、自分の対応が正解なのか分からなくなってきた
  • 夫婦で足並みをそろえたいけれど、うまく進まない

こうしたお悩みは、みちびきに寄せられるご相談の中でも、とても多いものです。

みちびきでは、お子さんの不登校や行き渋りだけでなく、ご家庭全体の状況を整理しながら、その家庭に合った関わり方を、家庭教育コンサルティングや訪問カウンセリングを通して一緒に考えていきます。

このお母さんも、最初から「親が変われば子も変わる」と信じられていたわけではありません。

むしろ、「本当に変わるのだろうか」「これでいいのだろうか」と何度も迷い、弱音を吐き、それでも一歩ずつ歩み続けた結果、今があります。

だからこそ、私たちは「最初から完璧にできなくても大丈夫です」とお伝えしたいのです。

一人で、あるいはご夫婦だけで抱え込む前に、まずは今の状況をお話しいただくところから始めてみませんか。今回のような親の体験談は、同じように悩む方への一歩の後押しになればという思いで、綴っていただいたものです。

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みちびきでは、不登校・母子登校・行き渋りなどでお悩みのご家庭に対し、家庭教育コンサルティング・訪問カウンセリングなどを行っています。

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Profile

佐藤 博

佐藤 博家庭教育コーディネーター/
代表カウンセラー(みちびき)

15年間、不登校や母子登校のご家庭を訪問支援。子どもの「自分で社会とつながる力」を育む土台づくりに尽力。文科省協力者会議委員やいじめ対策委員も歴任。「傾聴で終わらせない、変化につながる関わり」が信念。お子さんへの直接支援に加え、ご家庭の課題を可視化し、親御さんと共に解決するスタイルが特長。家庭教育等の講演・研修も多数。「家庭からはじまる社会的自立支援」を推進します。

鈴木 博美

鈴木 博美家庭教育コーディネーター/
統括ディレクター(みちびき)

家庭教育アドバイザー・訪問カウンセラーとして9年間、不登校や親子関係に悩むご家庭を支援。2025年、支援10年目を迎えます。全国の家庭への直接支援を通し、親御さんとの対話で子どもの社会的自立をサポート。家庭内の会話や関わり方を可視化し、非認知能力を育む声かけや実践的なアドバイスで親子に伴走。保護者向けセミナーや講演も多数。「支援に迷う方こそ安心して相談できる存在」を目指し、家庭の再構築に丁寧に取り組みます。

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