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「学校に行きたい。でも怖い」中学生男子が、別室登校から継続登校へ進んだ支援事例

  • 2026/05/22
  • 2026/05/14

不登校や別室登校が続いている。

腹痛や下痢など身体症状が出ていて、学校に行かせていいのか分からない。

相談機関にも行っているのに、状況が変わらない気がする。

親としてどこまで関わればいいのか。
何が正しいのか。
分からなくなってきた——。

そんな状況にある親御さんに届けたい支援事例があります。

このケースでも、お母さんは何度も迷っていました。
「体に症状が出ているのに、学校に行かせていいのか」
「でも、このまま学校に行けない状態が続いていいのか」
その間で揺れながらの支援でした。

今回は、中学2年生の男子が、家庭の関わりの見直しと第三者支援を通じて、別室登校から継続登校へと進んでいったケースを紹介します。フィクションではありませんが、個人が特定されないよう状況の一部を変えています。「一気に解決した」という話ではなく、不安を抱えながらも少しずつ動いていった、そのリアルな過程をお伝えします。

支援前の様子|小6から始まった五月雨登校、中学でも継続登校が難しい状態に

このお子さんの不登校傾向は、小学6年生の夏頃から始まりました。腹痛が続き、親の判断で休ませるうちに、五月雨登校の状態になっていきました。

中学に入学してからは、最初の2日こそ登校できましたが、その後は継続して通うことが難しくなりました。中学1年の3月頃からは、週に1回、1日2時間ほど別室登校を続けるという形で、なんとか学校とのつながりを保っていました。

腹痛や下痢が続いており、医療機関で過敏性腸症候群の診断も受けていました。心理的な緊張や不安が、身体症状として表れやすい状態だったと考えられます。

家での生活はゲームやYouTubeが中心で、外出は親が誘えばできる程度。自分から出かけることはほとんどありませんでした。

相談機関にはつながっていたが、状況は大きく変わらなかった

親御さんは、決して何もしていなかったわけではありません。小6の頃からスクールカウンセリングを月2回、半年ほど利用していました。市の相談室にも月1回、半年ほど通っていました。

相談を通じて、お母さん自身の気持ちの整理や目標の言語化はできていました。ただ、子どもの生活や登校状況に大きな変化は起きていませんでした。

これは、相談機関が無意味だったということではありません。気持ちを整理する場としての役割は果たされていました。ただ、家庭の中で実際にどう関わるかという具体的な部分まで、支援がつながりにくかったのだと思います。同じように「相談には行っているが、何かが変わらない」と感じている方には、響く部分かもしれません。

相談機関で気持ちを整理することは、とても大切な支えになります。一方で、不登校の状態が長く続いている場合は、気持ちの整理に加えて、家庭の中での日々の関わり方や、子どもが動き出すための具体的な環境調整が必要になることもあります。

支援で見えてきた家庭内の関わり|過干渉・比較・指示の多さ

みちびきの支援が始まると、家庭の中でのやり取りを丁寧に整理していきました。そこで見えてきたことがありました。

中学生になっても、親が先回りして確認していた

毎朝の忘れ物確認、傘や上着への声かけ、失敗しないよう親が先に手を打つ——こうした関わりが、日常的に続いていました。

不登校を経験した子どもに対して、親が不安になり、つい先回りしてしまうことは珍しくありません。子どもに失敗してほしくない、余計なストレスをかけたくないという気持ちからくる行動です。ただ、先回りが続くほど、子どもが「自分で考えて動く」という経験を積む機会は減っていきます。

悪気のない比較が、本人にはプレッシャーになっていた

勉強が得意な姉と無意識に比べる言葉がありました。親に悪意はなく、むしろ「姉みたいにできるはず」という期待からくるものでしたが、本人には「自分はできない」という感覚として積み重なっていました。

生活面の指示が多く、自分で考える機会が少なかった

歯磨き、お風呂、手洗い——日常の細かなことにも声かけが多い状態でした。指示があれば動ける。でも、指示がなければ動きにくい。つまり、生活の中で「自分で気づく」「自分で判断する」「自分で動く」という経験が少なくなっていたのです。この状態が、学校という「誰も先回りしてくれない場所」への適応をさらに難しくしていました。

子どもの性格傾向|完璧主義と不安の強さが、登校のハードルを高くしていた

家庭の関わりだけでなく、このお子さん自身の特性も、支援を進める上で重要な視点でした。

完璧主義の傾向が強く、「少しでもうまくできなさそう」と感じると、取りかかる前から止まってしまいます。人前に出ることが苦手で、大勢の中に入ることへの緊張が強い。不安が高まると腹痛として現れ、トイレから長時間出られないこともありました。

これは「怠けている」「ゲームばかりしているから学校が嫌になった」という話ではありません。不安や緊張に対して、心と体が強く反応するタイプだったということです。

みちびきでは、子どもの力を大きく3つの視点で見ています。

ひとつは、失敗を恐れずに少しずつ挑戦していく「自分を高める力」。
もうひとつは、不安や緊張を感じた時に、自分の気持ちを整理していく「自分と向き合う力」。
そして、先生や友達、家族以外の大人と関係をつくっていく「他者とつながる力」です。

このお子さんの場合、この3つの力を少しずつ育てていくことが、登校再開に向けた大切な土台になりました。

親の関わりを整理し、家庭を整えた

支援の初期段階で取り組んだのは、家庭の関わり方の見直しです。

必要な関わりと過干渉の線引きを一緒に整理しました。中学生の年齢に合った形で、子どもが自分で決めて動く場面を意図的に増やしていきました。お父さんの否定的な伝え方——「なんでそんなこともできないんだ」という言葉——も、丁寧に見直しました。

子どもの発言や行動に対して、まず「そうなんだね」と受け止める。「できていないことを正す」より先に、「子どもが動き出せる関わり」に変えていく。この方向への転換が、家庭の空気を少しずつ変えていきました。

家庭の関わりを整えることは、子どもを無理に学校へ押し出すことではありません。子どもが自分で考え、自分で動く力を取り戻すための土台作りです。この土台がなければ、登校刺激をかけても長続きしないことが多いのです。

家庭を整えても動き出せなかった——第三者カウンセラーを導入

ただし、家庭の関わりを整えるだけでは、このお子さんが自分から学校へ向かう動きには至りませんでした。

土台は変わり始めている。でも、最後の一歩が出ない。こうした状況で次に取り組んだのが、第三者カウンセラーの導入でした。

親や学校の先生とは違う、中立的な立場の大人が関わることで、子どもの本音が出やすくなることがあります。このお子さんにも「誰かとつながりたい」という気持ちはありました。カウンセラーとの関係は比較的スムーズに始まり、少しずつ学校の話もできるようになっていきました。

不登校支援では、親だけで抱え込まないことも大切です。家庭を整えたうえで、必要なタイミングで第三者が入ることで、子どもの本音が見えてくることがあります。

ここで大切だったのは、「家庭の支援が無駄だった」ということではありません。家庭の関わりを整えていたからこそ、第三者が入った時に、子どもが本音を出しやすい土台ができていたのだと思います。

初めて聞けた「学校に行きたい」という気持ち

カウンセラーとの対話が続く中で、ある日このお子さんから「学校に行きたい」という言葉が出てきました。

ただ同時に、教室に戻るイメージはまだ持てていませんでした。長く教室から離れていた分、「どうやって戻ればいいのか」が分からない状態でした。「行きたくない」のではなく、「行きたいけれど、どう戻ればいいか分からない」——これがこのお子さんの本当の状態でした。

カウンセラーとの対話の中で、学校に行きたい気持ちがあるなら、その気持ちを大切にしながら、怖さや不安とどう向き合っていくかを一緒に考える必要がありました。本人は涙を流しながら話を聞いていたといいます。

本人の気持ちを置き去りにして動かしたのではありません。本人の中にある「行きたい」という気持ちを確認したうえで、その気持ちを実際の行動につなげるための対話があったのです。

別室登校から始め、少しずつ学校にいる時間を増やしていった

復学の方針は、いきなり教室ではなく、それまで続けていた別室登校の形から始めることにしました。次のステップをどう進めるかは、お子さん本人とカウンセラーが一緒に相談しながら決めていきました。

復学後も、朝の腹痛やトイレにこもることは続きました。学校に行ける日も、不安がなかったわけではありません。それでも、カウンセラーの助けを借りながら、少しずつ学校にいる時間を増やしていきました。

不安が消えてから登校したのではなく、不安を抱えながらも、支えを受けて少しずつ経験を積んでいったのです。

やがて友達もできるようになり、カウンセラーがいなくても登校できる日が増えていきました。

母親の葛藤|腹痛がある子を、学校に行かせていいのか

このケースで書き落とせないのが、お母さんの葛藤です。

腹痛が出ているのに、学校に行かせていいのか。でも、このまま学校に行けない状態で社会に出ていけるのだろうか。相談しても変わらないなら、何をすればいいのか——何度もその間で揺れながら、それでも支援を続けていました。

転機になったのは、学校に行けた日の子どもの様子でした。帰ってきたとき、明らかに表情が違う。楽しかったこと、話せた友達のこと、自分から話してくれる。その姿を見て、「この子にとって学校は大切な場所の一つなんだ」と感じるようになったといいます。

これはすべての子どもに同じことが言えるわけではありません。ただ、このお子さんの場合は、本人の言葉と表情から、学校が意味を持つ場所であることが伝わっていました。その確認があったからこそ、お母さんも迷いながら前に進めたのだと思います。

この事例から見える不登校支援のポイント

このケースを振り返ったとき、見えてくることがあります。

不登校の子どもへの支援は、「登校刺激をするかしないか」という二択だけでは整理できません。まず家庭の関わり方を整えること、子どもの性格傾向を理解すること、そして子ども自身の気持ちを確認すること——この順番が重要でした。

完璧主義で不安が強い子には、「頑張れ」という言葉よりも、段階的に経験を積める環境が必要です。親だけでは動き出せない時には、第三者が関わることで変化が生まれることがあります。そして、「学校に行きたい」という気持ちが本人の中にあるなら、その気持ちを行動につなげる支援が必要になります。

不安をゼロにしてから動くのではなく、不安があっても少しずつ動ける経験を積み重ねること。それが、この子を変えた支援の核心でした。

不登校や別室登校が続いているなら、一度状況を整理してみてください

不登校や別室登校が続いている時、親御さんは毎日のように判断を迫られます。

今日は行かせた方がいいのか。
休ませた方がいいのか。
声をかけるべきか。
見守るべきか。
体調不良がある時に、どこまで背中を押していいのか。

その判断を、親御さんだけで抱え続けるのはとても苦しいことです。

みちびきでは、子どもの性格傾向、家庭内での関わり方、親御さんの声かけや対応を丁寧に整理しながら、その子に合った支援の進め方を一緒に考えています。

「相談したことはあるけれど、状況が変わらない」
「別室登校から先に進めない」
「腹痛や不安があり、学校に行かせていいのか迷っている」

そのような方は、まずは現在の状況を整理するところから始めてみてください。

お問い合わせフォームよりご連絡ください。

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Profile

佐藤 博

佐藤 博家庭教育コーディネーター/
代表カウンセラー(みちびき)

15年間、不登校や母子登校のご家庭を訪問支援。子どもの「自分で社会とつながる力」を育む土台づくりに尽力。文科省協力者会議委員やいじめ対策委員も歴任。「傾聴で終わらせない、変化につながる関わり」が信念。お子さんへの直接支援に加え、ご家庭の課題を可視化し、親御さんと共に解決するスタイルが特長。家庭教育等の講演・研修も多数。「家庭からはじまる社会的自立支援」を推進します。

鈴木 博美

鈴木 博美家庭教育コーディネーター/
統括ディレクター(みちびき)

家庭教育アドバイザー・訪問カウンセラーとして9年間、不登校や親子関係に悩むご家庭を支援。2025年、支援10年目を迎えます。全国の家庭への直接支援を通し、親御さんとの対話で子どもの社会的自立をサポート。家庭内の会話や関わり方を可視化し、非認知能力を育む声かけや実践的なアドバイスで親子に伴走。保護者向けセミナーや講演も多数。「支援に迷う方こそ安心して相談できる存在」を目指し、家庭の再構築に丁寧に取り組みます。

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