不登校の「学校に行きたくない」理由の見立て方Q&A:暴れる・話せない時の次の一手
- 2026/02/10
- 2026/02/06

不登校や母子登校の相談で、親御さんが最も消耗しやすいのが「原因探し」です。
もちろん原因の把握は必要です。ただ、原因だけを追い続けると、納得はしても家庭の動かし方が決まらないことがあります。
そこでこの記事では、“休むと何が減り、何が増える”で理由を整理し、次の一手に落とします。
この記事の使い方:当てはまるQだけ拾い読みしていただいてOKです。
※はじめに大切なお伝えです。この視点は、お子様を責めたり、親御さんの対応を否定したりするためのものではありません。いじめや病気といった緊急性の高い要因は、別途慎重な確認が必要です。ここでは、日々の中で『どう対応すれば現状が変わるのか』に焦点を当てた、実践的なガイドとしてご活用ください。
また、その時の状況やそこに至るまでの流れを無視して対応するのもいいとは言えません。実際、支援では諸々をしっかり分析したうえで対応面をお伝えしています。今回のブログ記事を参考程度に見ていただければと思います。
この記事は「場面別Q&A(実装編)」です。まず全体像(考え方の軸)を押さえたい方は、先にこちらの記事もご覧ください:不登校の「学校に行きたくない」を目的論で読み解く——アドラー心理学×非認知能力で“次の一手”が見える – みちびき | 伸びゆく力を共に育む、親子のみちしるべ
まず結論:理由の見立てで迷わない“3つの見方”
Q&Aに入る前に、整理の軸を置きます。この3つの問いで状況を見ると、次の一手が見えやすくなります。
① 休むと何が減る?(不安・刺激・評価・失敗など)
② 休むと何が増える?(安心・回復・親の関与・見通しなど)
③ 同じ目的を、別の方法で満たせる?(別室・短時間・連絡ルール等)
この3つを軸に、以下のQ&Aを読んでいくと実践しやすくなります。
【場面別Q&A】暴れる・話せない
Q1:学校の話を出すと暴れる/パニックになります。どうすれば?
学校の話題そのものが、不安・恥・評価・失敗などの強い苦痛とリンクしている可能性があります。暴れる・パニックは「苦痛が限界を超えている」サインです。
まず話題を止める:暴れているときに説得や話し合いは成立しません。まず安全を確保し、話題から離します。
話題の出し方を変える:「学校行く?」ではなく、「今日は何時に起きる?」「今日は家で何する?」など、負荷の低い話題から始めます。
第三者を挟む:親が直接話すと激しくなる場合、担任・SC・支援者など、別のルートで情報を流すことも検討します。
タイミングを選ぶ:朝ではなく、夕方や夜など落ち着いた時間帯に、短く・1つずつ確認する形に変えます。
Q2:話し合いができません(黙る・拒否・逃げる)。何から始める?
話し合い自体が「責められる」「説得される」「評価される」場面になっている可能性があります。または、本人がまだ言葉にできる段階にない場合もあります。
話し合いの形を変える:対面の会話ではなく、メモ・LINE・手紙など、文字でやりとりする方が楽なこともあります。
選択肢を用意する:「どう思う?」ではなく、「A・B・Cどれがいい?」「今日は〇〇と△△、どっちなら?」など、答えやすい形にします。
一方通行でもOKにする:親が「今日はこうするね」と伝えるだけで、返事を求めない。本人が安心すれば、後から話せることもあります。
観察で補う:話せなくても、行動・表情・体調の変化で状態は読み取れます。無理に言葉にさせなくても、対応は作れます。
Q3:朝になると癇癪・暴言が出ます。親はどう対応する?
朝は「学校に行く/行かない」の判断と、不安・疲労・体調の不調が重なりやすい時間帯です。癇癪や暴言は、苦痛が言葉にならず外に出ている状態です。
朝の負荷を下げる:起こす・声かけ・準備の促しなど、朝の刺激量を減らします。起きてから判断するのではなく、前夜に翌日の予定を決めておくと負荷が下がります。
選択肢を狭める:「学校行く?」ではなく、「今日は別室?それとも家?」など、前提を整理してから聞きます。
親が冷静ルートを作る:癇癪に巻き込まれると、親も感情が揺れて対立が激化します。「この状態では話せない」と一度離れ、落ち着いてから再開する型を作ります。
事後フォローはしない:癇癪の後に過剰に謝る・なだめる・要求を通すと、「癇癪→要求が通る」が学習されます。淡々と、通常運転に戻します。
Q4:親が不安で説得してしまい毎朝こじれます。止めるコツは?
親の不安(このままで大丈夫?学校に行かせないと)が、説得・交渉・励ましとして出やすくなります。ただ、説得が増えるほど子どもは「責められている」と感じ、対立が深まります。
親の役割を変える:説得係ではなく、環境・ルールの運用係に切り替えます。「今日は〇〇だね」と事実を確認するだけで、説得はしません。
判断を前倒しする:朝に毎回交渉するから揉めます。前夜または週初めに「今週はどうする?」と決めておき、朝は確認だけにします。
第三者に任せる:親が直接関わると感情が動きやすい場合、学校・SC・支援者など、別のルートで状況を整理してもらいます。
親自身の不安を整理する:不安が強いときは、支援者や相談先で親自身の見通しを立て直すことも重要です。安心が確保されると、子どもへの関わりも落ち着きます。
【場面別Q&A】「休む」が選ばれやすくなる構造
Q5:休むと元気になるのに、登校の話になると崩れます。何が起きてる?
「休む=不安・刺激・評価が減る」と「休む=安心・回復が増える」の両方が成立している状態です。学校が苦痛の場所、家が安心の場所として機能しているため、登校の話題で一気に苦痛が戻ります。
苦痛の軽減:学校の何が苦痛かを特定し、別室・短時間・評価免除など、負荷を下げる調整をします。
安心の条件を広げる:家だけでなく、学校でも安心が確保できる条件(連絡ルール・逃げ道・合意した居場所)を作ります。
段階設計:いきなり教室ではなく、5分の登校・保健室滞在・1コマ参加など、成功の最小単位を設定します。
家での過ごし方を整える:休む日が「完全に自由」「親が密着」になると、学校との落差が大きくなります。家でもルール・活動・時間の枠を少し入れます。
Q6:休ませると長引きそうで怖い。何を目安に考える?
「休ませる=悪化する」と感じやすいのは、休むことで「安心が増える+苦痛が減る」が成立し、行動が固定化する不安があるためです。ただ、無理に行かせて崩れると、より長期化することもあります。
休む=放置、ではない:休んでいる間に、回復・生活設計・学校との調整を進めます。ただ休ませるだけでは長引きますが、設計があれば前に進めます。
期限と条件を決める:「今週は休み、来週は別室を試す」など、見通しを立てます。無期限の休みは不安を増やします。
観察指標を持つ:起床時刻・食事・活動量・表情など、回復のサインを観察します。これらが改善していれば、休むことが機能しています。
学校との合意:休むことを学校と共有し、復帰の段階(別室・短時間・保健室等)を事前に合意しておくと、親も安心できます。
Q7:休む日に親の関与が増えがちです。親のせい?どう整える?
休む日に親の心配・声かけ・関わりが増えると、「休む=親が優しい・そばにいてくれる」が成立しやすくなります。これは親の悪意ではなく、自然な反応ですが、結果として「休むと安心が増える」構造を強めることがあります。
関与量を均一にする:休む日も登校日も、親の声かけ・関わりの量を大きく変えないようにします。休んだからといって特別に優しくしすぎない、逆に冷たくもしない、を意識します。
ルールを固定する:休む日の過ごし方(起床時刻・食事・活動・連絡等)をルール化し、毎回交渉しない形にします。
親の役割を分ける:ケア係と運用係を分けるか、時間で区切ります(朝は運用、夕方はケア等)。これで親も感情のブレを減らせます。
安心の時間を別で確保:休む日だけでなく、普段から短時間でも親子の安心時間を作ると、「休まないと安心が得られない」が薄まります。
【場面別Q&A】母子登校(付き添いが手放せない)
Q8:母子登校をやめたいが不安定になります。段階の作り方は?
母子登校が長期化すると、「親がいる=安心」が条件になります。いきなり離れると安心が失われ、不安定になりやすいです。
段階を細かく作る:校門まで→昇降口まで→教室前まで→教室入口→教室内→廊下待機→別の階→校外、のように細かく区切ります。
時間で区切る:1時間目は一緒、2時間目から離れる、30分だけ離れるなど、時間単位で段階を作ります。
連絡ルールを作る:離れても連絡できる条件(何かあったら保健室に行く、担任に伝える等)を合意しておきます。
学校との共有:母子登校を減らす段階を、担任・SC・管理職と共有し、学校側の協力を得ます。親が一人で抱えると崩れやすいです。
例外ルールを決める:「今日だけ一緒に」が増えると元に戻ります。事前に「月曜だけ一緒」など、条件を固定します。
Q9:付き添いを減らすとき、揉めない伝え方は?
「もう付き添わない」と急に伝えると、子どもは「見捨てられた」と感じやすく、対立が激化します。
段階を先に示す:「来週から校門まで」ではなく、「今週は昇降口、来週は校門、その次は〇〇」と見通しを示します。
理由を説明しすぎない:長々と理由を話すと、子どもは「説得されている」と感じます。「来週からこうするね」と事実だけ伝えます。
選択肢を用意する:「付き添わない」ではなく、「校門まで?それとも昇降口まで?」と選ばせる形にします。
安心の代替を用意:付き添いが減る代わりに、連絡ルール・逃げ道・担任の声かけなど、別の安心を用意します。
揉めたら一度止める:説得合戦になったら、その場で決めずに「また夜に話そう」と一度離れます。
【場面別Q&A】「どうせ無理」と言う(自尊心・評価が絡む)
Q10:「どうせ無理」「行っても意味ない」が多い。どう関わる?
「行って失敗する」「できないと思われる」「恥をかく」などの見込みが強いと、行くこと自体が自尊心を傷つける行為になります。「どうせ無理」は、傷つく前に自分を守る言葉です。
否定しない:「そんなことない」「やればできる」と否定すると、本人は「分かってもらえない」と感じます。まず「そう思ってるんだね」と受け止めます。
評価の土俵を変える:結果(できた/できない)ではなく、準備・挑戦・回復(戻れた)を評価します。「無理でも試したのがすごい」と伝えます。
成功単位を極小化:本人が「これならできそう」と思える難易度に下げます。5分の登校、別室滞在、1コマ参加など。これは非認知能力でいう『自己効力感:自分ならやれるという感覚』を育てる一歩になります。
比較を減らす:クラス内での発表・点数の公開・順位など、比較される場面を調整します。学校と相談し、評価方法を変えることも検討します。
失敗の扱いを変える:「失敗=ダメ」ではなく、「失敗=情報」として扱います。「今日は無理だったね、じゃあ明日は〇〇を変えてみる?」と次に繋げます。
Q11:失敗・恥を極端に怖がる子に、どんな一歩を設定する?
完璧主義や比較への敏感さが強いと、失敗や恥のリスクがある行動は全て回避されやすくなります。本人にとっては「怠け」ではなく、安全策です。
見られない場所から始める:教室ではなく、別室・保健室・相談室など、人目が少ない場所を選びます。
評価されない活動を選ぶ:授業ではなく、掃除・配布物の手伝い・図書室滞在など、評価が伴わない活動から始めます。
時間を短くする:1日ではなく、1時間・30分・5分など、失敗のリスクが低い時間に設定します。
事前にシミュレーション:「〇〇が起きたらどうする?」と逃げ道を事前に合意しておきます。見通しがあると動きやすくなります。
失敗しても大丈夫な環境を作る:担任・SCと共有し、「失敗しても責めない」「途中で抜けてもOK」を合意しておきます。
【場面別Q&A】学校連携(別室・時短・助けを求める)
Q12:学校が登校前提で、別室・時短が通りません。どう頼む?
学校側が「教室復帰」を前提にしていると、別室・時短は「甘やかし」と捉えられやすいです。また、学校側にも人手・ルール・前例の制約があります。
段階の提案として出す:「別室で過ごさせたい」ではなく、「教室復帰の段階として、まず別室で週3回、1ヶ月試したい」と伝えます。
学校のメリットを示す:「別室があれば登校できる」「保健室なら保健の先生が見てくれる」など、学校側の負担を減らす形で提案します。
文書で共有する:口頭だけだと伝わりにくいです。メール・手紙・連絡帳で、希望する条件と期間を明文化します。
SCや管理職を挟む:担任だけでは判断できない場合、SC・教頭・校長に相談し、学校全体で合意を作ります。
前例を示す:文科省の通知・他校の事例・支援者の意見など、根拠を示すと学校も動きやすくなります。
Q13:担任との連絡がしんどい。窓口や伝え方をどう整理する?
毎日の欠席連絡・状況報告・励ましの受け答えなど、連絡そのものが親の負担になりやすいです。また、担任との温度差や方針の違いがストレスを生むこともあります。
連絡ルールを固定化:「毎朝8時に欠席連絡」「週1回の状況共有」など、頻度と内容を事前に決めます。
窓口を絞る:担任・SC・教頭など、誰に何を伝えるかを整理します。全てを担任に伝えるのではなく、役割分担します。
文字でやりとり:電話が負担なら、メール・連絡帳・アプリなど、文字でのやりとりに切り替えます。
感情のやりとりを減らす:「頑張ってください」「心配です」などの励ましに返答するのが疲れる場合、「ありがとうございます」だけで切り上げます。
第三者を挟む:担任との関係が難しい場合、SCや支援者に間に入ってもらい、情報を整理してもらいます。
Q14:子どもが学校で助けを求められません。どう練習する?
助けを求めることが「恥ずかしい」「迷惑」「弱い証拠」と感じられている場合、苦痛があっても我慢し続け、限界で崩れやすくなります。
言葉の型を作る:「助けて」ではなく、「保健室に行っていいですか」「少し休みたいです」など、具体的な言葉を事前に決めておきます。
低負荷の場面で練習:いきなり教室ではなく、家で・親に・低負荷の場面で、助けを求める練習をします。家庭でできるようになれば、お出掛け先のお店で・・・などと段階を上げていけるといいでしょう。
担任と共有:「〇〇と言ったら保健室に行かせてください」と事前に合意しておきます。子どもが言いやすくなり、担任も対応しやすくなります。
助けを求めたら褒める:助けを求めることは「弱さ」ではなく「スキル」です。言えたこと自体を評価します。
代替手段を用意:言葉が難しい場合、カード・サイン・連絡帳など、別の方法で伝えられる手段を用意します。
【場面別Q&A】体調が絡む(安全面の確認)
Q15:腹痛・頭痛などが続きます。心の問題として扱っていい?
不安・緊張が身体症状として出ることはありますが、身体的な疾患(起立性調節障害・感覚過敏・睡眠障害・消化器系の問題等)が隠れている可能性もあります。
まず受診:心の問題と決めつけず、小児科・内科で身体的な原因を確認します。起立性調節障害などは治療で改善することもあります。
記録を取る:いつ・どこで・どの程度の症状が出るかを記録します。パターンが見えると、身体要因か心理要因かの見立てがしやすくなります。
生活設計を優先:登校より、まず睡眠・起床・食事・光・運動など、回復サイクルを整えます。
学校負荷の調整:体調が理由の場合、無理な登校は悪化させます。時短・別室・段階復帰を学校と相談します。
心理と身体の両面で見る:「心の問題だから気持ちの問題」ではなく、身体的ケアと心理的ケアの両方を並行して進めます。
よくある誤解
「理由を見立てる」=原因を無視する、ではない
見立ては、原因を否定するものではなく、原因の次に「どう動くか」を作るための整理です。いじめ・体調・安全の確認は別枠で必要です。
「休むと安心が増える」=親が悪い、ではない
親が心配するのは自然です。ただ、関与の仕方を整えることで、同じ安心をより健全に提供できます。
「次の一手」=無理に登校させる、ではない
次の一手は、登校だけが目的ではありません。安心の条件を広げる、成功単位を作る、回復サイクルを整えるなど、全て「次の一手」です。
まとめ
不登校の「行きたくない」は、理由が1つとは限りません。
休むことで減るもの(不安・刺激・評価)、増えるもの(安心・回復・親の関与)を整理すると、介入点が見えます。
目的(安心・回避・自尊心)を責めず、満たし方を整えるのが支援です。
「家庭の対応がブレる」「学校との合意形成が難しい」「わが家仕様の“次の一手”を設計したい」という場合は、みちびきの個別相談をご利用ください。
目的論(維持要因の整理)と非認知能力(伸ばす力の設計)で組み立て直し、家庭のルール設計、声かけ、学校との合意形成まで含めて、各家庭に合わせて具体化します。
HPのお問い合わせフォームよりご相談ください。
プロフィール

佐藤 博家庭教育コーディネーター/
代表カウンセラー(みちびき)
15年間、不登校や母子登校のご家庭を訪問支援。子どもの「自分で社会とつながる力」を育む土台づくりに尽力。文科省協力者会議委員やいじめ対策委員も歴任。「傾聴で終わらせない、変化につながる関わり」が信念。お子さんへの直接支援に加え、ご家庭の課題を可視化し、親御さんと共に解決するスタイルが特長。家庭教育等の講演・研修も多数。「家庭からはじまる社会的自立支援」を推進します。

鈴木 博美家庭教育コーディネーター/
統括ディレクター(みちびき)
家庭教育アドバイザー・訪問カウンセラーとして9年間、不登校や親子関係に悩むご家庭を支援。2025年、支援10年目を迎えます。全国の家庭への直接支援を通し、親御さんとの対話で子どもの社会的自立をサポート。家庭内の会話や関わり方を可視化し、非認知能力を育む声かけや実践的なアドバイスで親子に伴走。保護者向けセミナーや講演も多数。「支援に迷う方こそ安心して相談できる存在」を目指し、家庭の再構築に丁寧に取り組みます。











