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「プールの授業が嫌だ!」から始まる登校しぶり──親ができる対応とは?

  • 2025/06/18
  • 2025/06/18

6月に入り、気温が上昇するこの季節。学校では水泳の授業が始まります。青い空の下でのプール遊びを心待ちにしている子どもがいる一方で、「プールの授業だけは行きたくない」と涙ぐむ子どもたちもいます。

そして、その「プールが嫌だ」という気持ちが、登校しぶりや不登校のきっかけになることも少なくありません。

「朝になると『お腹が痛い』と言い出す」 「前日の夜から不機嫌になる」 「月曜日の朝、突然『学校に行きたくない』と泣き出す」

このような経験はありませんか?

実は、これらの背景に「今日はプールの授業がある」という不安が隠れていることがあります。この記事では、プールの授業を嫌がる子どもたちの気持ちを理解し、親としてどのように対応すれば良いのかをご紹介します。

🌀 プールの授業を嫌がる子どもたちの本音

「プールが嫌だ」という言葉の裏には、さまざまな理由が隠れています。

低学年によくある理由

  • 水が怖い: 顔を水につけるのが怖い、溺れる不安がある
  • 水が冷たい: 特に梅雨時期や天候が悪い日は体が冷える
  • 着替えが面倒: 動きがゆっくりで、時間内に着替えられない
  • 忘れ物が不安: 水着や帽子を忘れたらどうしようという心配

高学年・中学生によくある理由

  • 体型の悩み: 「太っている」「痩せている」など、水着姿を見られることへの恥ずかしさ
  • 発達の違い: 二次成長による体の変化に対する恥ずかしさや不安
  • 泳力の差: 「泳げない自分」を周りに知られたくない
  • 生理への不安: 特に女子は生理中のプール参加や見学に関する悩み

ある小学5年生の女の子は、こう話していました。

「水着になるのが嫌。みんなに見られるのが恥ずかしい。でも『見学します』って言うのも恥ずかしい。だから、プールの日は学校に行きたくない…」

子どもたちの「プールが嫌だ」という気持ちは、このように複雑な感情が絡み合っているのです。

❓ プール嫌いは克服すべき?

親としては、子どもにはあらゆる経験を積んでほしいと願うもの。「水泳は命を守る大切な技術」「みんなと一緒に楽しめたら良いのに」と思うのは自然なことです。

しかし、ここで立ち止まって考えてみましょう。大切なのは、子ども自身が「克服したい」と思っているかどうかです。

子どもが「克服したい」と思っている場合

  • 一緒に地域のプールに行って練習する
  • 事前に学校のプールを見学させてもらう
  • 少しずつ水に慣れる方法を一緒に考える
  • 水泳教室(習い事)に通って学ぶ

子どもが「克服したい」と思っていない場合

  • 無理に「克服しよう」と促さない
  • 子どもの気持ちを尊重する
  • 見学という選択肢もあることを伝える

子どもによっては「泳げない」こと自体よりも、「泳げないことを周りに知られる」ことを恐れているケースもあります。「克服」を急かすのではなく、子どもの本当の不安に寄り添うことが大切です。

🏫 学校側の対応と現状

以前は「全員参加」が当たり前だったプールの授業ですが、最近では学校側の対応も柔軟になってきています。

  • 見学の選択肢が認められている
  • 体調不良の場合は無理に参加させない
  • 水着の形や着替えの場所についての配慮
  • 代替の課題(水泳に関する調べ学習など)を用意

特に生理に関しては、「生理中はプールに入れない」ということが一般的に認識されるようになり、女子児童・生徒への配慮が進んでいます。

しかし、学校や担任の先生によって対応は様々。「うちの学校は厳しい…」と感じる場合は、保健室の先生やスクールカウンセラーなど、担任以外の先生に相談してみるのも一つの方法です。

👪 「プールが嫌だ」と言われたときの親の対応

子どもから「プールの授業が嫌だから学校に行きたくない」と言われたとき、親はどう対応すれば良いのでしょうか。

❌ 避けたい対応例

否定する 「何言ってるの、みんなやってるでしょ」 「そんなこと言って。去年までは平気だったじゃない」

→子どもは「わかってもらえない」と感じ、本音を言わなくなります。

脅迫しない 「プール入らなかったら○○できないよ」 「じゃあ、もう勝手にすれば。お母さんはもう知らないから」

→子どもにとって「見捨てられた」という感覚や罰を与えられるような対応は、子どもの心の負担を大きくすることになります。

すぐに見学を提案する 「見学したら?連絡帳に書いてあげる」 「じゃあ、体調悪いってことにしておくね」

→安易な解決策を提示すると、子どもは自分で考える機会を失います。見学を選ぶこと自体は悪くありませんが、最初に親御さんから提示するという流れは避けていきたいです。

✅ 望ましい対応例

共感する 「プールが嫌なんだね」 「どんなところが嫌なの?」

→まずは子どもの気持ちを受け止め、詳しく話を聴きましょう。

自分の経験を共有する 「お母さんも泳ぐの苦手だったなぁ」 「パパも水着になるの恥ずかしかったよ」

→親も完璧ではないことを知ると、子どもは安心します。

子どもに選択させる 「どうしたいと思ってる?」 「どうしたら参加できそう?」

→選択権を与えることで、自主性を育てます。

具体的な解決策を一緒に考える 「水着の上にTシャツを着ることもできるよ」 「先生に相談してみようか」

→実行可能な対策を考えることで、不安を軽減できます。

事例:小学4年生の男の子の場合

男の子
男の子

明日、プールの授業があるんだ。でも、僕泳げないから行きたくない・・・。

親御さん
親御さん

泳げないから嫌なんだね。どんなところが心配なの?

男の子
男の子

みんな上手に泳いでるのに、僕だけできないと恥ずかしい・・・。

親御さん
親御さん

そう感じるんだね。実はお母さんも小学生の時泳ぐのが苦手で、プールの日は嫌だったのよ。だから気持ちはよくわかるんだけど、プールはこれからも続くからね。少しずつでもできるようになれると今感じてる不安は少なくできるんじゃないかと思うわ。どれぐらいならできそうだと思う?

男の子
男の子

・・・浅いところなら頑張れるかもしれない・・・。

親御さん
親御さん

それはいいわね。お母さんはいいよって決められないから、それは先生に相談してみた方がいいわね。自分で言えそう?

このように、子どもの気持ちに寄り添いながら、子ども自身が解決策を考えられるよう促すことが大切です。

🌱 まとめ:子どもの気持ちに寄り添う対応を

プールの授業を嫌がる気持ちの裏側には、様々な不安や恐れが隠れています。それは「克服すべき弱さ」ではなく、成長過程で多くの子どもが経験する自然な感情です。

親として心がけたいこと

  1. 子どもの気持ちに寄り添う まずは共感し、話をじっくり聴きましょう。「大丈夫だよ」と簡単に片付けず、不安や恐れを受け止めてください。
  2. 無理に克服させない 「泳げるようになること」より「子どもの心の安全」を優先しましょう。無理強いは逆効果になることがあります。
  3. 学校との連携 必要に応じて、担任や養護教諭と相談。子どもの状況を伝え、柔軟な対応を求めましょう。
  4. 子どもに選択させる 最終的な決断は子どもに委ねることで、自主性と責任感が育ちます。「見学」も立派な選択肢の一つです。

プールの授業をきっかけに、「学校に行きたくない」という気持ちが芽生えることもあります。しかし、親が適切に対応することで、それが不登校につながるリスクを減らすことができます。

子どもにとって、「自分の気持ちを理解してくれる親がいる」という安心感こそが、困難を乗り越えるための最大の力になるのです。

水泳の技術を身につけることも大切ですが、それ以上に「困ったときは相談する」「これからどうしていくべきかを考える」といった力を育むことが、長い目で見れば子どもの成長につながります。

この夏、お子さんがプールの授業に不安を感じているようであれば、ぜひ本記事を参考に、温かく寄り添ってあげてください。

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Profile

佐藤 博

佐藤 博家庭教育コーディネーター/
代表カウンセラー(みちびき)

15年間、不登校や母子登校のご家庭を訪問支援。子どもの「自分で社会とつながる力」を育む土台づくりに尽力。文科省協力者会議委員やいじめ対策委員も歴任。「傾聴で終わらせない、変化につながる関わり」が信念。お子さんへの直接支援に加え、ご家庭の課題を可視化し、親御さんと共に解決するスタイルが特長。家庭教育等の講演・研修も多数。「家庭からはじまる社会的自立支援」を推進します。

鈴木 博美

鈴木 博美家庭教育コーディネーター/
統括ディレクター(みちびき)

家庭教育アドバイザー・訪問カウンセラーとして9年間、不登校や親子関係に悩むご家庭を支援。2025年、支援10年目を迎えます。全国の家庭への直接支援を通し、親御さんとの対話で子どもの社会的自立をサポート。家庭内の会話や関わり方を可視化し、非認知能力を育む声かけや実践的なアドバイスで親子に伴走。保護者向けセミナーや講演も多数。「支援に迷う方こそ安心して相談できる存在」を目指し、家庭の再構築に丁寧に取り組みます。

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