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【冬休み前に読む】長期休み明けの行き渋りを防ぐ「家庭の回し方」5つのポイント

  • 2025/12/16
  • 2025/12/11

― 不登校・母子登校の専門家が、冬休み中に整えておきたい家のしくみを解説します ―

冬休み・年末年始は、お子さんにとっても親御さんにとっても、特別な時間です。

でも同時に、行き渋りや不登校が増えやすい時期でもあります。

「2学期はなんとか通えていたのに、冬休み明けから急に行き渋るようになった」 「3学期のスタートで、朝起きられなくなってしまった」

そんなご相談を、毎年たくさんいただきます。

親としては、冬休み中の

🔵 生活リズムの乱れ

🔵 ゲームや動画の時間

🔵 宿題や家庭学習

🔵 親子で過ごす時間の長さ

など、さまざまなことに不安を感じやすいのではないでしょうか。

この記事では、

  • なぜ長期休み明けに行き渋りが増えやすいのか
  • 冬休み中に起こりやすい“家庭の落とし穴”
  • 行き渋り予防のための「家庭の回し方」5つのポイント
  • 実際に「行きたくない」が出たときの初期対応
  • 専門家に相談した方がいいサイン

を、具体的に整理していきます。

冬休みという“今”の過ごし方が、3学期のスタートを大きく左右します。

ぜひ、冬休みが始まる前に、一度読んでみてください。

目次

    なぜ長期休み明けに行き渋りが増えやすいのか

    生活リズムの乱れと、学校モードとのギャップ

    冬休みは、夏休みほど長くはありませんが、年末年始を挟むため、生活リズムが大きく乱れやすい時期です。

    ○ 夜更かし・朝寝坊が当たり前になる

    ○ 食事の時間もバラバラになりがち

    ○ 大晦日やお正月で、特に生活が不規則になる

    そして3学期初日、いきなり「朝7時起床、8時登校」のモードに戻すのは、子どもにとって想像以上にハードルが高いのです。

    「学校モード」と「休みモード」のギャップが大きいほど、3学期初日の朝が重くなります。

    学習・人間関係の不安が「行きたくない」にまとまって出てくる

    冬休みは、2学期の疲れや不安が一気に表に出やすい時期でもあります。

    🔴 2学期の勉強についていけなかった不安

    🔴 冬休み明けのテストへの不安

    🔴 クラスの人間関係で感じていたモヤモヤ

    こうした不安が、冬休み中にじわじわと大きくなり、3学期初日の朝に「行きたくない」という形で噴き出すことがあります。

    親自身の疲れ・年末年始のバタつきも子どもに影響する

    冬休みは、親御さんにとっても忙しい時期です。

    仕事の年末の追い込み、大掃除や年末年始の準備、帰省や親戚との付き合い・・・

    親御さん自身が疲れ、余裕を失いやすい時期だからこそ、子どもの小さな変化を見逃しやすく、対応が後手に回ってしまうこともあります。

    また、親の疲れやイライラは、子どもにも確実に伝わります。家庭全体の空気が重くなることで、子どもも不安定になりやすいのです。

    冬休み中に起こりやすい「家庭の落とし穴」

    冬休みは、家族で過ごす時間が増える分、“よかれと思ってやっていること”が裏目に出やすい時期でもあります。

    ここでは、多くのご家庭で起こりがちな「落とし穴」を4つご紹介します。

    落とし穴①:「まあ休みだし…」で生活リズムが完全夜型になる

    子どもにとって、冬休み中は「朝から起きる理由」が見えにくい時期です。

    そんな中、親御さんから「起きなさい」や「起きなきゃダメでしょう」などと急かされても、子ども達からすればピンとこないことの方が多いです。

    そして親御さん自身も、「どこまでなら安心か」というラインを持たずに流されてしまうと、気づいたときには修正が難しい状態になっていることも。

    落とし穴②:宿題・家庭学習が“バトルの火種”になる

    「宿題やったの?」 「まだやってないの?」 「早くやりなさい!」

    冬休みの宿題は、多くのご家庭で親子の衝突ポイントになります。

    やらせようとする側 vs 逃げたい側の力比べになり、「やった・やってない」だけで親子関係がギスギスしてしまう。

    宿題という“ツール”を通して、親子の信頼関係が削られていく……これは、とてももったいないことです。

    落とし穴③:ゲーム・動画だけで一日が終わっていく

    冬休みは、ゲームや動画との付き合い方が大きな課題になります。

    ● 取り上げるか、放置するかの二択になりがち

    ● 取り上げれば子どもが荒れる、放置すれば罪悪感とイライラがたまる

    ● 親子双方に「これでいいのか…」という不安が積み重なる

    ゲームや動画は、「ダメ」か「いいよ」かの二択ではなく、“どう付き合うか”を一緒に考えるテーマなのです。

    落とし穴④:一緒にいる時間が増えるほど、過干渉モードになりやすい

    学校がある日は見えなかった子どもの様子が、冬休みは一日中目に入ります。

    すると、

    「それはダメでしょ」 「こうした方がいいよ」 「早くやりなさい」

    と、つい反射的に口を出してしまいがち。

    目で見える情報が多くなればなるほど、親は“管理モード”に入りやすくなるのです。

    実は、支援を受けている家庭ですら、長期休みになると以前のクセに戻りやすいという現象があります。

    これは、意識の高い・低いの問題ではなく、誰にでも起こりうる“仕組み”なのです。

    行き渋りを防ぐ「家庭の回し方」5つのポイント

    では、冬休み中に何を意識すれば、3学期のスタートをスムーズに切れるのでしょうか。

    ここでは、支援現場で効果が高かった「家庭の回し方」を5つのポイントにまとめました。

    ポイント①:生活リズムの“親の安心ライン”を子どもと共有する

    「学校と同じリズムを冬休み中も完全維持!」

    これは、現実的ではありませんし、子どもにとってもしんどいものです。

    大切なのは、「ここまでなら安心」という親のラインを、子どもと共有することです。

    具体的な進め方

    ① まず親の考えを子どもに伝えてみる

    初めからルールにするのではなく、親としてはこういう心配をしているという懸念点を子どもに伝えて、子ども達が考えて行動する流れを作ってあげましょう。

    話す例:「休みに入ると、学校がないから朝起きるのが遅くなってドンドン生活リズムが崩れていくよね。(過去、夏休みなどそうなっていた場合は事実として伝える)そうなると学校が始まったときに急にリズムを取り戻すのが難しくなって学校に行けないなんてことになるんじゃないかってお母さん心配だわ。(アイメッセージ)そうならないように、〇〇(子ども)がしていってくれるとお母さんは安心して見守れるわ。」

    ② その後は様子を見る

    子どもなりに工夫している様子が見られるなら、そのまま様子を見ていく流れで構わないでしょう。

    ③ 自分で調整できていたら「安心して見守れた」とフィードバック

    「自分で起きられてるね」「このペースなら大丈夫そうだね」

    ③ 崩れている場合は、始業式1週間ぐらい前から“戻す準備期間”を一緒に設ける

    「来週から学校だから、少しずつ戻していこうか」

    起床・就寝時間を少しずつ前倒しする具体例

    ● 今週は就寝時間を30分早める

    ● 来週はさらに30分早める

    ● 起床時間も同じように調整

    いきなり2時間も早めるのではなく、少しずつ体を慣らしていくことが成功のカギです。

    ポイント②:1日の「やること」と「やりたいこと」を見える化する

    冬休みは、時間がたっぷりあるからこそ、「何をするか」が曖昧になりがちです。

    おすすめなのは、1日の「やること」と「やりたいこと」を一緒にリスト化することです。

    やること

    ● 宿題(算数プリント1枚)

    ● お風呂掃除

    ● 夕飯の準備を手伝う

    やりたいこと

    ● ゲーム(2時間)

    • 動画視聴(1時間)
    • 友だちとオンラインで遊ぶ

    冬休みだから何かしなければいけないという話ではないですが、冬休みの時間を使ってできることもあると思いますので、小学生以下のお子さん相手だと一緒に考えてあげてもいいと思います。

    これは、「自分を高める力(計画性・見通し)」という非認知能力を育てる練習にもなります。

    ポイント③:学校とのつながりを完全に切らない

    「冬休みだから、学校のことは一切考えない」

    そう決めてしまうと、逆に3学期初日のハードルが上がってしまうことがあります。

    おすすめの小さなつながり:

    ● 宿題を「やらせる」のではなく、「一緒にやる時間」として設定する

    ● 友だちと年賀状をやりとりする

    ● オンラインで友だちと少し話す機会をつくる

    ● 学校の先生から年賀状が来たら、一緒に返事を書く

    「学校のことを一切話題にしない」という極端さを避け、「自然に学校が視界に入っている」状態をつくることが大切です。

    ポイント④:「がんばらせ過ぎ」と「放置」の間の中間ゾーンを意識する

    冬休みの関わり方は、がんばらせ過ぎ(管理・指示ばかり)、もしくは放置(何も言わない・何もしない)の二択になりがちです。

    でも、この二つの“間”にある「中間ゾーン」こそが、子どもの非認知能力を育てる場所なのです。

    中間ゾーンの声かけ例

    「今日は何からやる?」(自分で決める練習)

    「どうしたら、もう少し楽にできそう?」(一緒に考える姿勢)

    「困ったら教えてね」(サポートの提示)

    指示・管理だけに偏らず、親子で選択肢を一緒に考えるスタンスを意識してみてください。

    ポイント⑤:「休み明けが不安だね」をタブーにせず言葉にする

    「学校の話題は避けた方がいいのでは……」

    そう考えて、冬休み中は学校のことを一切話題にしない親御さんもいます。

    でも大切なのは、親から積極的に聞きに行くことでも、完全に避けることでもなく、「子どもが言いたいときに言える環境」を整えておくことです。

    日常的にできること

    🔴 普段から、不安や愚痴を言ってもいいんだよという空気を家庭でつくっておく

    🔴 子どもが学校の話をしてきたら、自然に聞く

    🔴 世間話程度に「もうすぐ学校始まるね」という会話をする(特別なことではなく、普通の会話として)

    子どもから「ちょっと不安なんだよね」と言葉が出てきたときに、「そうなんだね」と受け止められる準備ができていれば十分です。

    親から「不安じゃない?」と掘り起こす必要はありませんが、子どもが口にしたときに「そんなこと言わないの」と遮断しない。この姿勢が、「不安を一緒に受け止める」ことの本質です。

    それでも「行きたくない」が出たときの初期対応

    冬休み明け、もしお子さんが「行きたくない」と言ったとき。

    親として、どう対応すればいいのでしょうか。

    まずは「そう感じるんだね」と気持ちを受け止める

    いきなり「どうして?」と理由を聞いたり、「頑張って!」と励ましたりする前に、まずはその気持ちをそのまま受け止めることから始めてください。

    声かけの例

    「そっか、行きたくないって感じるんだね」

    「冬休み明けはしんどいよね」

    「ここまでよく頑張ってきたもんね」

    「行きたくない」=ダメなこと、ではありません。

    むしろ、自分の口で「嫌だ」が言えるということはいいことでもあります。

    理由探しではなく「どの場面が特にしんどいか」を一緒に探す

    「誰のせい?」「何が悪いの?」ではなく、「どの時間帯・どの教科・どの場面がしんどいのか」を一緒に見つけていきます。

    声かけの例

    「何が気になるんだろう?」

    「朝?授業中?それとも休み時間?」

    「教室に入るとき? それとも、授業が始まってから?」

    親御さんがメモしておくと、後で担任の先生と連携するときにも、この情報が役立ちます。

    「明日どうするか」を“全部”ではなく“小さな一歩”で決める

    「明日も一日がんばろうね」ではなく、「明日の一歩」を、子ども自身に考えてもらうことが大切です。

    声かけの例

    「明日、どこまでならできそう?」

    「どうしたら、少し行きやすくなりそう?」

    「どんなサポートがあったら助かる?」

    子ども自身が「1時間目まで」「保健室経由で」「校門まで送ってほしい」などと言ってきたら、まず受け入れてあげてもいいと思います。ただ、学校側も理由なく早退はできないと思いますから、「先生と相談」という形になり易いでしょう。お子さんの年齢やできることにもよって対応面は変わってきますが、何でもかんでも親が子どもの要望を学校側に伝えるという対応は避け、子どもが自分の言葉で先生やお友達を頼れるような流れは汲んでいきたいです。

    そして、親ができるサポートもセットで言語化してあげてください。

    「じゃあ、校門まで一緒に行くね」

    「帰ってきたら、好きなおやつ用意しとくね」

    「お家で待ってるからね」

    こんなサインが続くなら、一人で抱え込まないで

    冬休み明け、もしこんな状態が続いているなら、一家庭だけの頑張りで乗り切るには重くなっているサインかもしれません。

    「行きたくない」「お腹が痛い」が数週間単位で続いている

    一時的な疲れではなく、数週間単位で続いている場合は、何らかの背景がある可能性が高まります。

    「冬休み明けだから仕方ない」と様子を見続けるより、早めに動いた方が、結果的に親子の負担は軽くなります。

    親御さんの心身の余裕が明らかに削られている

    ● 夜、なかなか眠れない

    ● イライラが止まらず、つい子どもに強く当たってしまう

    ● 他のきょうだいとの関わりにも影響が出ている

    親御さん自身が限界を感じ始めているなら、それだけで「相談していいタイミング」です。

    親の心と体の状態は、家庭全体の土台です。

    子どもの自己否定の言葉が増えてきている

    「どうせ自分なんて……」 「自分はダメな子だから」 「いない方がいいんじゃないか」

    こうした言葉が増えてきたら、早めのフォローが必要なサインです。

    自己否定の気持ちが強くなると、学校だけでなく、家庭での関わりもどんどん難しくなっていきます。

    これらは、「一家庭だけの頑張りで乗り切るには重くなっているサイン」です。

    早めに第三者と一緒に状況を整理した方が、親子ともに楽になります。

    👉 [関連記事]不登校・母子登校…「どこまで来たら相談すべき?」専門家に任せる判断基準10項目

    みちびきが冬休み前後にお手伝いできること

    親御さんだけのご相談からスタートできます

    「子どもを連れて行かないといけないの?」とよく聞かれますが、まずは親御さんだけのご相談で大丈夫です。

    ● 冬休み前の不安を一緒に整理する

    ● 冬休み中の過ごし方を具体的に設計する

    ● 3学期スタートに向けた準備を相談する

    電話・オンラインで全国対応していますので、ご自宅から気軽にご相談いただけます。

    お子さんの状態にあわせた「家庭の回し方」を一緒に設計

    私たち「みちびき」では、

    ● 朝の声かけのタイミングと言葉選び

    ● 夜の過ごし方とルール設定

    ● ゲーム・宿題との付き合い方

    など、日常生活の具体的な場面ごとに、“今のお子さんに合った回し方”を一緒に設計していきます。

    「うちの子には、このやり方が合っているかも」という手応えを、少しずつ積み重ねていきましょう。

    冬休み〜3学期スタートまで、一緒に伴走します

    「行き渋りの芽」を大きくしないための継続フォローも行っています。

    冬休み中だけでなく、3学期がスタートしてからも、状況を見ながら一緒に調整していきましょう。

    ご相談はこちらから

    👉 ご相談は【公式LINE】または【お問い合わせフォーム】からお受けしています。

    「ブログを読んで相談しました」と一言添えていただけると、スムーズに状況をお伺いできます。

    冬休みは、家族でゆっくり過ごす大切な時間です。

    でも同時に、3学期のスタートを左右する大切な準備期間でもあります。

    「このまま冬休みを過ごして大丈夫かな」 「3学期、ちゃんと行けるかな」

    そんな不安を感じている方は、ぜひ一度ご相談ください。

    一緒に、お子さんにとって、そしてご家族にとって、安心できる冬休みと3学期のスタートをつくっていきましょう。

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    Profile

    佐藤 博

    佐藤 博家庭教育コーディネーター/
    代表カウンセラー(みちびき)

    15年間、不登校や母子登校のご家庭を訪問支援。子どもの「自分で社会とつながる力」を育む土台づくりに尽力。文科省協力者会議委員やいじめ対策委員も歴任。「傾聴で終わらせない、変化につながる関わり」が信念。お子さんへの直接支援に加え、ご家庭の課題を可視化し、親御さんと共に解決するスタイルが特長。家庭教育等の講演・研修も多数。「家庭からはじまる社会的自立支援」を推進します。

    鈴木 博美

    鈴木 博美家庭教育コーディネーター/
    統括ディレクター(みちびき)

    家庭教育アドバイザー・訪問カウンセラーとして9年間、不登校や親子関係に悩むご家庭を支援。2025年、支援10年目を迎えます。全国の家庭への直接支援を通し、親御さんとの対話で子どもの社会的自立をサポート。家庭内の会話や関わり方を可視化し、非認知能力を育む声かけや実践的なアドバイスで親子に伴走。保護者向けセミナーや講演も多数。「支援に迷う方こそ安心して相談できる存在」を目指し、家庭の再構築に丁寧に取り組みます。

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