子育ての孤独はなぜ深刻なのか―不登校・母子登校の家庭で起きている“親の孤立”
- 2026/03/24
- 2026/03/24

子どもの問題について相談に来る親御さんの中には、
実は親御さん自身の方が限界に近い状態になっていることがあります。
支援の現場でよく耳にする言葉があります。「私の育て方が悪かったんでしょうか」「私が弱いだけなのかもしれません」「誰にも相談できなくて…」。
子どものことを相談しに来られているはずなのに、お話を聞いていくうちに、親御さん自身の方が限界に近い状態であるとわかるケースは少なくありません。むしろ、子どもの問題そのものより、親が孤立している状態の方が深刻な場合もあるのです。
親の孤独は、外からはほとんど見えない
子育ての孤独は、非常に見えにくいものです。親は日々、子どもの生活を整え、学校と連絡を取り、子どもの気持ちを受け止め、家庭の空気を保つという多くの役割を黙々と担っています。
特に不登校や行き渋りなどの問題が起きたとき、学校とのやり取り、子どものケア、家庭内の調整、将来への不安——こうしたことをすべて一人で抱えている親御さんも少なくありません。それでも外からは「普通に子育てしている親」にしか見えないため、その孤独はなかなか周囲に理解されないのです。
なぜ親は孤立してしまうのか
不登校や母子登校の家庭では、ある共通した構造が見られることがあります。
まず、子どもに不登校・行き渋り・学校への強い不安といった問題が起きます。そして多くの場合、学校との連絡や子どものケア、家庭での対応を主に担うのは母親であることが現実として多くあります。
さらに、もう一方の親が問題の深刻さをあまり感じていなかったり、「そのうち行くでしょ」と考えていたり、子どもへの対応に距離を置いていたりすることもあります。これは決して悪意からではなく、問題の受け止め方の違いから生じることがほとんどです。しかし結果として、一人の親だけが問題を抱え込む構造が生まれやすくなります。
そこに加わるのが、日本特有の「助けを求めにくさ」です。「親は頑張るもの」「家庭の問題は家庭で解決するもの」という価値観は、日本の社会の中で自然に身につくものです。多くの親御さんが、「親としてちゃんとやらなければ」「相談するのは恥ずかしい」「自分でなんとかしなければ」という思いを、無意識のうちに持っています。この感覚が強いほど、周囲に相談できず、弱音も吐けず、一人で抱え込む状態になりやすいのです。
親の孤独が続くと、家庭に何が起きるのか
親が孤立した状態が続くと、家庭の中には少しずつ影響が広がっていきます。
まず、親自身が消耗していきます。睡眠不足、募る不安、自己否定——こうしたものが積み重なることで、心身のゆとりが失われていきます。
次に、子どもへの関わり方が不安定になります。親が限界に近づくと、過干渉になったり、逆に関わる余裕がなくなったり、感情的な対応になってしまったりと、子どもへの接し方が揺れやすくなります。
そして、家庭の空気は子どもにも伝わります。その結果、子どももさらに動きにくくなり、問題が悪循環に入ってしまうこともあります。
子どもの問題は、家庭の関係性と無関係ではない
子どもの問題は、子ども一人だけの問題として起きているわけではありません。家庭の中の関係性、役割のかたち、コミュニケーションのあり方。
そして親と子どもの距離感や関わり方も、少なからず影響しています。
だからこそ、子どもだけを変えようとしてもうまくいかないことがあるのです。
親の孤独を解消することは、子どもの支援でもある
親の孤独を解消することは、決して「親のためだけのケア」ではありません。
親が一人で抱えなくてよくなり、家庭の回し方が見えてきて、落ち着いて子どもに関われるようになる。そうなることで、家庭の空気は確実に変わっていきます。それは、子どもにとっても大きな支えになるのです。
みちびきの支援について
みちびきでは、親御さんの孤立を解消すること、家庭の回し方(声かけ・関わり方・日常の動き)を整理すること、そして子どもの非認知能力を育てていくことを大切にしています。
多くの場合、親御さんだけのご相談からスタートします。「子どもの問題」だけではなく、家庭全体の状態を一緒に整理するところから始めていきます。
まとめ
子どもの問題に向き合うとき、親はとても孤独になりやすいものです。しかしそれは、親の弱さではありません。多くの家庭で起きている、構造的な問題でもあります。
もし今「一人で抱えている」と感じているなら、それは決して珍しいことではありません。一人で抱え込まず、状況を一緒に整理していきましょう。
この記事を読んだ方へ
もし今、
● 子どもの問題を一人で抱えている
● 配偶者に理解されない
● 誰にも相談できない
と感じているなら、次の記事も参考になるかもしれません。
プロフィール

佐藤 博家庭教育コーディネーター/
代表カウンセラー(みちびき)
15年間、不登校や母子登校のご家庭を訪問支援。子どもの「自分で社会とつながる力」を育む土台づくりに尽力。文科省協力者会議委員やいじめ対策委員も歴任。「傾聴で終わらせない、変化につながる関わり」が信念。お子さんへの直接支援に加え、ご家庭の課題を可視化し、親御さんと共に解決するスタイルが特長。家庭教育等の講演・研修も多数。「家庭からはじまる社会的自立支援」を推進します。

鈴木 博美家庭教育コーディネーター/
統括ディレクター(みちびき)
家庭教育アドバイザー・訪問カウンセラーとして9年間、不登校や親子関係に悩むご家庭を支援。2025年、支援10年目を迎えます。全国の家庭への直接支援を通し、親御さんとの対話で子どもの社会的自立をサポート。家庭内の会話や関わり方を可視化し、非認知能力を育む声かけや実践的なアドバイスで親子に伴走。保護者向けセミナーや講演も多数。「支援に迷う方こそ安心して相談できる存在」を目指し、家庭の再構築に丁寧に取り組みます。











