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非認知能力とは?家庭で伸ばす3カテゴリの基礎知識【前編】

  • 2026/01/16
  • 2026/01/27

「うちの子、テストの点はそこそこなのに、なぜか物事が続かない」
「感情のコントロールが苦手で、すぐに癇癪を起こしてしまう」
「友達とうまく関われない、頼ることができない」

こうした悩みを抱える保護者の方は少なくありません。実は、これらはすべて「非認知能力」と深く関わっています。

非認知能力とは、テストでは測れない「生きる力」のこと。やり抜く力、感情をコントロールする力、他者と協力する力…これらは、学力以上に、子どもの将来を左右する重要な能力です。

この記事では、家庭で実践できる非認知能力の育て方を、みちびき独自の3カテゴリで解説します。前編では、非認知能力の全体像と各カテゴリの基礎知識をお届けします。

非認知能力とは:点数化しにくい“生きる力”を家庭で育てる

非認知能力の定義

非認知能力(Non-cognitive skills)とは、IQや学力テストでは測定できない、人生を豊かにする能力のことです。

具体的には・・・、

〇 目標に向かってやり抜く力

〇 感情をコントロールする力

〇 他者と協力し、コミュニケーションを取る力

〇 困難に直面しても立ち直る力(レジリエンス)

〇 自分を理解し、内省する力

これらの能力は、学業成績だけでなく、将来の職業的成功、人間関係の質、心身の健康にまで影響を与えることが、数多くの研究で明らかになっています。

学力との関係:対立ではなく土台

よくある誤解が、「非認知能力を重視すると、学力が下がるのでは?」というものです。

答えはNOです。

むしろ、非認知能力は学力の土台になります。

● やり抜く力がなければ、勉強を継続できない

● 感情のコントロールができなければ、テスト中に焦ってパニックになる

● 計画性がなければ、効率的な学習ができない

非認知能力と学力は、対立するものではなく、相互に支え合う関係にあるのです。

なぜ家庭で育てるのか

学校や塾では、どうしても「認知能力(学力)」に重点が置かれます。しかし、非認知能力は日常生活の中で育つもの

● 朝の支度をどう進めるか

● 宿題にどう取り組むか

● 兄弟喧嘩をどう解決するか

● 家族での役割をどう担うか

こうした日々の小さな経験の積み重ねが、非認知能力を育てます。だからこそ、最も重要な教育の場は「家庭」なのです。家庭でお子さんに合った対応をしていくと、非認知能力を上手く伸ばしていくことが可能になるのです!

非認知能力の全体像と「みちびき」の3カテゴリ

みちびきでは、非認知能力を3つのカテゴリに整理しています。これは、家庭での実践をより具体的にするための枠組みです。

3カテゴリと主な要素(一覧表)

カテゴリ主な要素家庭で見えるサイン
① 自分を高める力やり抜く力/計画性/実行力/習慣化/自己効力感先延ばし/完璧主義で固まる/「どうせ無理」が口癖
② 自分と向き合う力情動調整/自己理解/内省/ストレス対処すぐ癇癪/言葉にできず固まる/負けに過敏
③ 他者とつながる力共感/アサーション/協働/役割意識頼るのが苦手/要求が命令的/役割不明で動けない

それぞれのカテゴリについて、詳しく見ていきましょう。

「自分を高める力」とは、目標に向かって計画し、実行し、やり抜く力です。

含まれる主な要素

・ やり抜く力(グリット):困難があっても諦めずに続ける

 計画性:目標達成に向けて手順を立てる

 実行力:計画を実際の行動に移す

・ 見通しを立てる:「次は何をすべきか」を予測できる

・ 習慣化:良い行動を日常に定着させる

・ 自己効力感:「自分ならできる」という感覚

家庭で見えるサイン

お子さんに、こんな様子はありませんか?

〇 先延ばし・着手できない:「宿題やりなさい」と言っても動かない

〇 完璧主義で固まる:「できないかも」と思うと、始める前から諦める

〇 途中で投げる:少し難しくなると、すぐに「もういい」と放棄

〇 「どうせ無理」が口癖:自己効力感(できそう感)が低い

これらは、「自分を高める力」が十分に育っていないサインです。

育て方の基本原則

環境・言葉・行動の3つのアプローチ

1. 環境調整:タスクを5分単位に分割、視覚化ツール(チェックリスト・タイマー)

2. 声かけ:事実確認→選択肢提示→具体的フィードバック

3. 行動の定着:小さな成功を言語化し、再現手順を共有

成長の4段階

お子さんの現在地を確認してみましょう。

レベル1: 着手に大人の全面支援が必要
レベル2: 声かけ・分割があれば着手可能。継続は不安定
レベル3: 分割と見通しが自力で一部可能。小さな達成を言語化できる
レベル4: 目標→分割→実行→振り返りが自走し、翌日に活かせる

「自分と向き合う力」とは、自分の感情を理解し、コントロールし、適切に対処する力です。

含まれる主な要素

● 情動調整:怒りや不安などの感情をコントロールする

● 感情ラベリング:自分の気持ちを言葉で表現できる

● 衝動コントロール:すぐに行動せず、一呼吸置ける

● ストレス対処:困難な状況でも適切に対処できる

● 自己理解:自分の得意・苦手を認識している

● 内省:自分の行動を振り返り、学びに変えられる

家庭で見えるサイン

〇 すぐに癇癪を起こす:思い通りにならないと爆発

〇 感情を引きずる:朝のイライラが夕方まで続く

〇 言葉にできず固まる:「どうしたの?」と聞いても黙り込む

〇 負けや失敗に過敏:ゲームで負けると号泣、テストで間違えると自己否定

これらは、感情の言語化やコントロールのスキルが育っていないサインです。

育て方の基本原則

命名・身体・選択の3ステップ

1. 感情の命名化:「今、どんな気持ち?イライラ?くやしい?」

2. 身体スイッチ:深呼吸・水・場所移動などのクールダウン手順

3. 合理的選択:落ち着いた後、「今できる一歩」を一緒に決める

成長の4段階

レベル1: 感情爆発が頻発し、支援なしに切替不可
レベル2: 提示があれば感情名づけ・クールダウン可能
レベル3: 自分からクールダウン手順を選べる。再開までの時間が短縮
レベル4: 感情→対処→再開の流れを自律運用し、学びに転化できる

「他者とつながる力」とは、他者と協力し、適切にコミュニケーションを取り、関係を築く力です。

含まれる主な要素

● 共感性:他者の気持ちを理解し、思いやれる

● アサーション:自分の気持ちを適切に伝えられる(Iメッセージ)

● 助けの求め方:困ったときに「助けて」と言える

● 役割意識:自分の役割を理解し、責任を持てる

● 協働・合意形成:他者と協力して目標を達成できる

家庭で見えるサイン

〇 頼るのが苦手:困っていても「大丈夫」と言う、助けを求められない

〇 要求が「命令」か「我慢」に偏る:「〇〇して!」と命令的、または何も言わず我慢

〇 役割が曖昧だと動けない:「誰がやるの?」が決まらないと、何もしない

〇 友達トラブルを引きずる:学校での出来事を家でも何日も思い出す

これらは、適切な伝え方や協働のスキルが育っていないサインです。

育て方の基本原則

可視化・伝え方・協働の3ステップ

1. 役割の可視化:家族内の役割を「見える化」する(役割カード)

2. 伝え方の型:Iメッセージ・お願い文を教える

3. 協働体験:小さな共同作業→成功の共有

成長の4段階

レベル1: 要求が攻撃的/回避的。助けの求め方がわからない
レベル2: 型(Iメッセージ・お願い文)があれば実践可能
レベル3: 必要に応じて自発的に支援を求め、役割を担える
レベル4: 相手の立場を踏まえた提案・合意形成ができ、関係を良好に保てる

年齢別ロードマップ:いつ、何を育てるか

非認知能力の育ち方は、年齢によって異なります。各年齢での期待と関わり方の目安をご紹介します。

幼児期(3〜6歳)

カテゴリできごと例親の関わり
自分を高める力朝の支度、おもちゃの片付け手順を写真で示す。「次は靴下だよ」と1つずつ
自分と向き合う力思い通りにならず泣く「悲しいね」と名づけ。深呼吸を一緒に
他者とつながる力「貸して」が言えない「”貸して”って言ってみよう」と型を教える

小学校低学年(6〜8歳)

カテゴリできごと例親の関わり
自分を高める力宿題の着手「5分だけやろう」と時間を区切る
自分と向き合う力負けて泣く「くやしいね。10段階で今どのくらい?」
他者とつながる力兄弟喧嘩「アイメッセージで伝えてみよう」

小学校中学年(8〜10歳)

カテゴリできごと例親の関わり
自分を高める力自分で計画を立てる「明日の朝、何からやる?」と前日に確認
自分と向き合う力テスト前の不安「不安はどこ?準備で何をすると安心する?」
他者とつながる力班活動での役割「あなたの得意なこと、何で貢献できる?」

小学校高学年(10〜12歳)

カテゴリできごと例親の関わり
自分を高める力長期的な目標設定「今週と来週でやること、分けてみようか」
自分と向き合う力友人関係の悩み「気持ちを整理してみよう。紙に書いてみる?」
他者とつながる力リーダーシップ「みんなの意見、どう集める?」と戦略を一緒に

ここに記したのはあくまでも参考程度にしていただければと思います。年齢やお子さんの成長に応じて、少しずつ自律の範囲を広げていきます。

また、お子さんそれぞれ得意な分野・苦手な分野はありますので、それに合わせてサポート度合いも変えていく必要があります。

よくある質問(FAQ)

A:むしろ、学習効率が上がります。

やり抜く力や計画性が育つことで、ダラダラ勉強する時間が減り、集中して取り組めるようになります。結果として、短い時間で成果が出るようになるのです。

A:叱らないのではなく、「叱る必要が減る」関わり方です。

感情のコントロールや伝え方を教えることで、問題行動そのものが減ります。叱る場面が減れば、親子関係も良好になり、本当に必要なときの注意が届きやすくなります。

A:「体→行動→学習」の順で、まず生活リズムを整えます。

不登校の状態では、「自分と向き合う力」(感情のコントロール)を最優先に。朝起きる、ご飯を食べる、少しだけ外に出る…こうした小さな行動の積み重ねが、自信を取り戻す第一歩です。

A:まず「他者とつながる力」と「自分と向き合う力」を。

母子登校の背景には、不安や他者との関係の難しさがあります。家庭で安心できる関係を作り、感情のコントロールを学ぶことが先決。「自分を高める力」(学習面)は、その後で十分です。

まとめ:非認知能力は“環境×言葉×小さな成功”で育つ

非認知能力は、特別な教材や教室が必要なものではありません。日常生活の中で、親の関わり方次第で育てられるものです。

大切な3つのポイント:

1. 環境を整える:タスクを小さく、視覚化し、始めやすくする

2. 言葉を変える:命令や否定ではなく、共感と選択肢を

3. 小さな成功を積む:できたことを認め、言葉にし、次につなげる

完璧を目指す必要はありません。今日から、1つだけ試してみてください。

後編では、3カテゴリそれぞれの具体的な実践方法を詳しく解説します。

  • すぐ使える声かけフレーズ集
  • 1週間のミニワーク
  • NG→OK言い換え例
  • 実際のケーススタディ

より実践的な内容で、明日からすぐに使えるテクニックをお届けします。

👉非認知能力を伸ばす3カテゴリ別・具体的実践ガイド【後編】 – みちびき | 伸びゆく力を共に育む、親子のみちしるべ

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非認知能力を家庭で育てるサポートを行っています。お子さんの状況に合わせた具体的なプランを一緒に作りましょう。

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Profile

佐藤 博

佐藤 博家庭教育コーディネーター/
代表カウンセラー(みちびき)

15年間、不登校や母子登校のご家庭を訪問支援。子どもの「自分で社会とつながる力」を育む土台づくりに尽力。文科省協力者会議委員やいじめ対策委員も歴任。「傾聴で終わらせない、変化につながる関わり」が信念。お子さんへの直接支援に加え、ご家庭の課題を可視化し、親御さんと共に解決するスタイルが特長。家庭教育等の講演・研修も多数。「家庭からはじまる社会的自立支援」を推進します。

鈴木 博美

鈴木 博美家庭教育コーディネーター/
統括ディレクター(みちびき)

家庭教育アドバイザー・訪問カウンセラーとして9年間、不登校や親子関係に悩むご家庭を支援。2025年、支援10年目を迎えます。全国の家庭への直接支援を通し、親御さんとの対話で子どもの社会的自立をサポート。家庭内の会話や関わり方を可視化し、非認知能力を育む声かけや実践的なアドバイスで親子に伴走。保護者向けセミナーや講演も多数。「支援に迷う方こそ安心して相談できる存在」を目指し、家庭の再構築に丁寧に取り組みます。

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