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代表的な発達検査の種類と選び方 ― WISC・田中ビネー・K式・WPPSIはどう違うのか

  • 2026/02/17
  • 2026/02/13

発達検査にはいくつかの種類があり、どれを受けるかで“分かること”も“使われ方”も変わります。

しかし実際の現場では、目的よりも「とりあえずWISC」とまず勧められることが多いのが現実です。

第2回では、代表的な発達検査の特徴を整理し、“何を知りたいかで検査は選ぶ”という視点から、親が判断できる基準を提示します。

どの検査が「良い/悪い」ではなく、目的に合っているかが大切です。

なぜ“検査の選び方”が大切なのか

学校や医療機関から発達検査を勧められるとき、実際には「まずWISCを」と提案されることが多いのが現状です。

WISCは確かに優れた検査ですが、すべての困りごとに最適とは限りません。

だからこそ、みちびきでは「検査は目的に合わせて選ぶもの」という視点を大切にしています。

どの検査が良い/悪いではなく、何を知りたいのかによって最適な検査は変わります。

同じ子どもでも、目的が違えば“見るべきポイント”が変わるからです。

代表的な発達検査の種類と特徴

ここでは、主に使われる4つの発達検査を整理します。説明は短く、比較を重視します。

WISC(ウィスク):小学生〜中学生

対象年齢:5歳0ヶ月〜16歳11ヶ月

🔴 言語理解・視空間(視覚処理)・流動性推理・ワーキングメモリ・処理速度の5つの指標

🔴 得意・苦手の凸凹(アンバランス)

🔴 学習場面でのつまずきの背景

🔵 学校での困りごとの背景を知りたい

🔵 宿題・板書・集中・テストのしんどさを整理したい

🔵 通級や合理的配慮を検討したい

🔴 精神状態の影響を受けやすい

🔴 不登校直後は本来の力より低めに出やすい可能性がある

WPPSI(ウィプシー):就学前〜小学校低学年

対象年齢:2歳6ヶ月〜7歳3ヶ月

🔴 幼児期の知的発達

🔴 言葉・遊び・理解・対人面の発達

🔴 就学準備の状態

🔵 小学校入学前に発達の全体像を知りたい

🔵 言葉の遅れや集団適応が心配

🔵 就学相談の資料として使いたい

🔴 WPPSI=発達の“土台”を見る

🔴 WISC=学習場面の“つまずき”を見る

田中ビネー知能検査:幅広い年齢に対応

対象年齢:2歳〜成人

🔴 発達年齢と知能指数

🔴 全体的な発達の位置

🔴 大まかな知的水準

🔵 「発達がどのくらいか」大まかな現在地を知りたい

🔵 発達の遅れが強く疑われる場合

🔵 幅広い年齢層で継続的に測定したい

🔴 WISCほど細かな凸凹は見えにくい

🔴 「全体としてどのくらいか」を把握する検査

K式発達検査:生活全体の発達を見る

対象年齢:0歳〜成人(主に乳幼児〜小学校低学年)

🔴 認知面+社会性+適応面

🔴 生活全体の発達

🔴 運動・認知・言語・社会性の領域別発達

🔵 幼児〜小学校低学年で、生活面の発達が気になる

🔵 家庭や園での適応を重視したい

🔵 数値だけでなく、質的な評価も知りたい

🔴 数値だけでなく質的な評価が強い

🔴 検査場面での様子や反応も重視される

何を知りたいかで選ぶ“判断マトリクス”

同じ子でも、目的が違えば最適な検査は変わります。以下は判断の目安です。

親の目的おすすめ検査
学校の困りごとの理由を知りたいWISC
入学前の発達全体を知りたいWPPSI / K式
発達の遅れが心配田中ビネー / K式
不登校の背景を整理したいWISC+結果説明・学校との共有面談
家庭生活の適応を見たいK式

この表はあくまで目安です。実際には、検査を実施する機関(病院・相談所・発達支援センターなど)で使える検査が決まっていることもあります。

なぜ現場ではWISCが選ばれやすいのか

WISCが選ばれる背景には、構造的な理由と実務的な理由があります。

構造的な理由

対象年齢が広い

5歳0ヶ月〜16歳11ヶ月と、小学生〜中学生の大半をカバーしています。幼児から中学生まで、長期的に同じ検査で追跡できます。

学校の困りごとと相性が良い

WISCは学習場面でのつまずき(板書・宿題・テスト・集中など)の背景を整理しやすい構造になっています。

実務的な理由

通級・支援級・合理的配慮の検討材料として使われやすい

教育現場では、WISCの結果が通級指導や支援級入級の判断材料として扱われることが多いです。

医療・教育・相談機関の共通言語になっている

WISC の結果は、医師・心理士・教員・支援者の間で共有しやすく、共通の理解を作りやすいです。

補足:公的な割合データはありませんが、学校現場ではWISCが標準的に使われることが多いのが実情です。

不登校のときに受けるリスク

心理状態が結果に影響する

発達検査、特にWISCは、受ける時の心理状態の影響を受けます。

不安・抑うつ・ストレスは、ワーキングメモリ(短期記憶)や処理速度を低下させやすいことが知られています。

つまり、不登校直後や心理的に不安定な時期に受けると、本来の力より低めに出やすい可能性があります。

これは心理学の研究でも、強い不安やストレスが認知機能に影響することが示されています。

だからこそ「タイミング」が大事

検査は、子どもの状態が落ち着いているときに受けるのが理想です。

避けたいタイミング

  • 不登校が始まったばかりで、子どもが不安定なとき
  • 学校でのトラブル直後
  • 家庭内で大きな変化があったとき

可能であれば

  • しんどい時期は避ける
  • 状態が落ち着いてから受ける
  • 必要であれば、状態が安定してから再検査も検討する

検査は一度受けたら終わりではなく、必要に応じて再検査することもできます。

検査は“目的で選ぶ”という結論

発達検査は「どれが良いか」ではなく、「何を知りたいか」で選ぶものです。そして、検査は子どもを評価するためではなく、環境を整えるための道具です。

そして検査はゴールではなく、子どもを理解し、環境を整えるための出発点にすぎません。

検査の結果だけで子どもを判断せず、日々の生活や学校での様子と合わせて、総合的に理解することが大切です。

次回予告

次回は「なぜWISCが選ばれやすいのか」をさらに深掘りし、WISCの強みと限界を整理します。

また、WISCの結果に出てくる言葉(言語理解・ワーキングメモリ・処理速度など)をやさしく解説します。

検査結果の読み方が分かれば、親としてどう活かせばいいかも見えてきます。次回もぜひご覧ください。

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Profile

佐藤 博

佐藤 博家庭教育コーディネーター/
代表カウンセラー(みちびき)

15年間、不登校や母子登校のご家庭を訪問支援。子どもの「自分で社会とつながる力」を育む土台づくりに尽力。文科省協力者会議委員やいじめ対策委員も歴任。「傾聴で終わらせない、変化につながる関わり」が信念。お子さんへの直接支援に加え、ご家庭の課題を可視化し、親御さんと共に解決するスタイルが特長。家庭教育等の講演・研修も多数。「家庭からはじまる社会的自立支援」を推進します。

鈴木 博美

鈴木 博美家庭教育コーディネーター/
統括ディレクター(みちびき)

家庭教育アドバイザー・訪問カウンセラーとして9年間、不登校や親子関係に悩むご家庭を支援。2025年、支援10年目を迎えます。全国の家庭への直接支援を通し、親御さんとの対話で子どもの社会的自立をサポート。家庭内の会話や関わり方を可視化し、非認知能力を育む声かけや実践的なアドバイスで親子に伴走。保護者向けセミナーや講演も多数。「支援に迷う方こそ安心して相談できる存在」を目指し、家庭の再構築に丁寧に取り組みます。

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