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非認知能力を伸ばす3カテゴリ別・具体的実践ガイド【後編】

  • 2026/01/27
  • 2026/01/27

前編では、非認知能力の全体像と3カテゴリの基礎知識をお伝えしました。

後編では、それぞれのカテゴリについて今日から使える具体的な実践方法を詳しく解説します。声かけフレーズ、ミニワーク、実際のケーススタディまで、すぐに家庭で試せる内容をお届けします。

① 自分を高める力:具体的な育て方

1週間ミニワーク例

ワーク1:5分で始めるToDoシート

朝・帰宅後・寝る前の3つの時間帯で、「5分でできること」を1つずつ書き出します。

時間帯5分でできることできたら✓
体操服を袋に入れる
帰宅後連絡帳を親に見せる
寝る前明日の教科書を出す

ポイント: 大きな目標ではなく、「5分で完了するもの」だけを書く。達成率を上げることで、自己効力感を育てます。

ワーク2:前日1行計画

寝る前に、「明日、最初にやること」を1行だけメモ。

例:「明日は帰ったら、まず手を洗って、おやつの前に漢字ドリル1ページ」

効果: 朝起きたときに「何をすればいいか」が明確になり、スムーズなスタートが切れます。

ワーク3:成功記録3つ

毎日、「できたこと」を3つだけ記録。小さなことでOK。

例:

● 朝、自分で起きられた

● 宿題を5分だけやった

● お皿を運ぶお手伝いができた

効果: 「できなかったこと」ではなく「できたこと」に目を向ける習慣が、自己肯定感を高めます。

NG→OK 置き換え集

NG(追い詰める言葉)OK(動ける言葉)ねらい
「なんでできないの?」「どこまで進んだ?次は何分で何をやる?」責めずに現状確認→次の一歩
「いつまでサボってるの?」「今日は何からスタートする?」選択肢を与える
「やる気あるの?」「最初の5分、一緒にやろう」ハードルを下げる
「このままだとダメだよ」「昨日より1つ、できたこと何?」他人比較→自分比較
「早くやりなさい!」「タイマー5分セットするね」時間を可視化

声かけスクリプト例:宿題の着手場面

場面: 帰宅後、ソファでダラダラしている子どもに

親の対応:

NG例
「いい加減に宿題やりなさい!もう5時だよ!」

OK例(ステップごと)

1. 観察・事実確認
「今日も疲れたね。おやつ食べた?」

2. 選択肢の提示
「宿題、今やる?それとも15分休んでから?」

3. 最小化
「じゃあ15分休んだら、最初の5分だけやろう。プリント出すところから」

4. 開始と区切り
「タイマー5分セットするね。鳴ったら終わりでいいよ」

5. 承認と次の提示
「5分やれたね!続ける?それとも休憩?」

このように、段階的に進めることで、子どもは自然と動けるようになります。

実践のコツ:環境設定

視覚化ツールを活用

  • チェックリスト:やることを紙に書き出し、終わったら✓を入れる
  • タイマー:キッチンタイマーやスマホで「5分」を可視化
  • 手順表:朝の支度、宿題の流れを写真やイラストで示す

小さく分割する技術

「宿題をする」という大きなタスクを、こう分割します:

1. ランドセルから出す

2. プリントを机に置く

3. 名前を書く

4. 日付を書く

5. 1問目を読む

6. 1問目を解く

各ステップを「1つの成功」として認めることで、達成感を積み重ねます。ただし、このやり方はお子さんの年齢が低い際に使える方法かと思います。中学生ぐらいのお子さん相手だと、「何言ってるの?」と反発されることもあるでしょうし、幼い対応をする親御さんに対して嫌悪感を抱くこともあります。

② 自分と向き合う力:具体的な育て方

家で使えるツール

ツール1:感情カード

表情イラストと感情語を書いたカードを作ります。

表情感情語
😊うれしい・楽しい
😢悲しい・さみしい
😠怒ってる・イライラ
😨こわい・不安
😣くやしい・もやもや

使い方: 「今の気持ちはどれ?」と聞き、子どもに選ばせる。

ツール2:気持ちの温度計(0〜10)

感情を数値化することで、客観視しやすくなります。

「今の怒りは、0から10でどのくらい?」
「8?じゃあ、5以下になるまで、どうする?」

感情の整理が苦手なお子さんにとって、日々の生活の中で感じたことを数値化すると客観的に自分を捉えることにもつながりやすいでしょう。

ツール3:もし〜ならプランB

事前に対処法を決めておく。

例:

● もし怒りが7以上になったら → 深呼吸3回

● もし不安が強くなったら → お水を飲んで1分休憩

● もしイライラしたら → トイレに行って手を洗う

あらかじめ何をするかを決めておくと、迷う必要もありません。試しながら自分にとってどういうやり方が合っているのか見つけていきたいですね。

場面別スクリプト:朝の支度が止まるとき

場面: 朝、子どもが服を選べず、イライラしている

親の対応(5ステップ):

1. 観察と共感

親御さん

服で迷ってるね、イライラしてる?

2. 感情の命名

親御さん

“モヤモヤ”してる感じかな?

子ども

うん・・・。

3. クールダウンの提示

親御さん

まずお水飲む?それとも深呼吸する?

子ども

深呼吸・・・

親御さん

じゃあ一緒にしようか。吸って~、吐いて~。

4. 選択肢の提示

親御さん

落ち着いた?じゃあ、服は2つに絞ろう。これとこれ、どっちにする?

子ども

こっち・・・。


5. 振り返り

親御さん

迷ったときは、深呼吸すると落ち着くね。覚えておこう!

ポイント: 感情を否定せず、対処法を一緒に実践する。この繰り返しで、子ども自身が学習していきます。

NG→OK 置き換え集

NG(感情を否定)OK(感情を認め、対処を教える)ねらい
「泣かない!」「くやしいね。まずお水と深呼吸、どっちにする?」感情を認める→対処の選択
「そんなことで怒らないの」「怒ってるんだね。今、怒りは10段階でどのくらい?」客観視を促す
「気にしすぎだよ」「心配なんだね。どこが一番こわい?」具体化して対処可能に
「いい加減にして!」「ちょっと落ち着こう。1分だけ休憩する?」クールダウンの提案
「大丈夫、大丈夫」「不安なんだね。何を準備すると安心する?」行動に転換

クールダウンの基本手順(固定化)

家族で「落ち着く手順」を決めておきます。

基本の4ステップ:

1. 深呼吸(3回ゆっくり)

2. 水を飲む

3. 場所を移動(トイレ、別の部屋)

4. 1分休憩(座る、横になる)

これを紙に書いて、冷蔵庫やリビングに貼っておきます。感情が高ぶったとき、親も子もこの手順を使います。

③ 他者とつながる力:具体的な育て方

ミニワーク

ワーク1:お願い文テンプレート

アイメッセージとお願い文の型を練習します。

アイメッセージの型:
「私は〇〇で困ってる。△△してくれる?」(主語を「私は」にした言葉をアイメッセージと言います。)

練習例:

  • NG:「片付けなさい!」
  • OK:「私は、部屋が散らかってると落ち着かないんだ。5分だけ一緒に片付けてくれる?」

お願い文の型:
「〇〇してくれると、助かるわ。(アイメッセージ)」

練習例:

  • NG:「早くお皿運んで!」
  • OK:「お皿を運んでくれると、助かるんだけど」

最初はぎこちなくても、型があれば練習できます。

ワーク2:ありがとうログ

家族で「今日のありがとう」を1つずつ言い合う時間を作ります(夕食後や寝る前)。

ポイント:

  • 具体的に:「手伝ってくれてありがとう」ではなく「お皿を運んでくれてありがとう」
  • 相手が何をしたかを明確に伝える

効果: 貢献の実感が生まれ、「自分は役に立っている」という感覚が育ちます。

ワーク3:週1家族プロジェクト

週に1回、家族で何か1つ協力してやることを決めます。

例:

  • 今週末は、みんなでベランダの掃除
  • 来週は、一緒に夕食を作る
  • 再来週は、部屋の模様替え

役割の分担:

  • お父さん:重いものを運ぶ
  • お母さん:水拭き
  • お兄ちゃん:ゴミを集める
  • 妹:掃除道具を準備する

終わったら:「みんなで協力したから早く終わったね!」と成功を共有。

役割の可視化:実践例

家族の役割カードを作る

役割担当者いつ
朝ごはんの準備お皿を並べる(子)毎朝7:00
洗濯物たたむ(子)/しまう(親)帰宅後
ゴミ出し集める(子)/出す(親)水曜・土曜の朝

ポイント:

  • 誰が・いつ・何をするかを明確に
  • 子どもができる範囲の役割を
  • 完璧を求めず、「やった」ことを認める

NG→OK 置き換え集

NG(命令・否定)OK(Iメッセージ・協働提案)ねらい
「ちゃんとやりなさい!」「私は困ってる。5分だけ一緒に手伝ってくれる?」協力の要請
「なんで言わないの?」「困ったときは“助けて”って言っていいよ」助けの求め方を教える
「自分でやりなさい」「最初だけ一緒にやろうか。慣れたら一人でできるよ」段階的な自立
「そんなんじゃ友達できないよ」「“貸して”って言ってみる?一緒に練習しよう」型を教える
「お兄ちゃんなんだから我慢して」「2人とも気持ちはわかる。どうしたらいい?」平等な対応

ケーススタディ:実際の変化

ケースA:先延ばしが減った(自分を高める力)

小4男子:宿題に全く着手できない

支援前の状況:

  • 「宿題やりなさい」と言っても、2時間経っても開かない
  • 親も疲弊し、毎日バトル

支援内容(3週間):

Week 1:タスクの最小化

  • 宿題を「5分単位」に分割
  • 「プリントを出す」→「名前を書く」→「1問目を読む」
  • タイマーで5分ごとに区切り

Week 2:視覚化と承認

  • チェックリストで「できたこと」を可視化
  • 5分やるごとに✓を入れる
  • 「5分できた!」を事実として認める

Week 3:自己効力感の育成

  • 「昨日より1つ多くできた」を記録
  • 成功体験を言語化

結果:

  • 2週間後、自分から「今日は算数5分やる」と宣言
  • 3ヶ月後には、20分の集中が安定
  • 親子のバトルがほぼゼロに

ケースB:朝の癇癪が減った(自分と向き合う力)

小2女子:朝の支度で毎日爆発

支援前の状況:

  • 服選びで毎朝癇癪
  • 泣いて動けず、遅刻寸前
  • 親も「またか…」と疲弊

支援内容(4週間):

Week 1:感情の可視化

  • 感情カードで「イライラ」「もやもや」を選ぶ練習
  • 「今、どの気持ち?」と聞く習慣

Week 2:クールダウン手順の固定化

  • 深呼吸→水→選び直しの流れを決める
  • カードを壁に貼り、一緒に実践

Week 3:予防策の導入

  • 前日夜に服を2択まで絞る
  • 朝の選択肢を減らす

Week 4:自律化

  • 子ども自身が「ちょっと落ち着く」と言えるように
  • クールダウンを自分で選べるように

結果:

  • 1ヶ月後、癇癪の頻度が週5→週1に
  • 2ヶ月後、自分から「深呼吸する」と言えるように
  • 朝の支度時間が30分→15分に短縮

ケースC:宿題の分担で衝突が減った(他者とつながる力)

小5男子と小3妹:兄妹で宿題中に毎日喧嘩

支援前の状況:

  • 「お兄ちゃんが教えてくれない」「妹がうるさい」で毎日衝突
  • 宿題の時間が苦痛

支援内容(3週間):

Week 1:役割の明確化

  • お兄ちゃん:「1問だけ教える係」
  • 妹:「静かに待つ係」
  • それぞれの役割をカードで可視化

Week 2:伝え方の練習

  • 妹:「教えてほしい」と言う練習
  • お兄ちゃん:「今は忙しい。10分後ならいいよ」と伝える練習

Week 3:感謝の共有

  • 終わったら「ありがとう」を具体的に伝え合う
  • 「〇〇を教えてくれてありがとう」「静かに待っててくれてありがとう」

結果:

  • 役割が明確になり、2週間で喧嘩がほぼゼロに
  • お互いの貢献を認め合う習慣が定着
  • 宿題の時間が「協力の時間」に変化

すぐ使える「声かけ&行動」チートシート

自分を高める力:声かけ5選

  1. 「次の5分、何からやる?」
  2. 「どこまで進んだ?すごいね、次は?」
  3. 「今日できたこと3つ、言ってみて」
  4. 「明日の最初の一歩、何にする?」
  5. 「昨日より1つ、できたこと何?」

自分と向き合う力:声かけ5選

  1. 「今、どんな気持ち?イライラ?くやしい?」
  2. 「怒りは10段階で今どのくらい?」
  3. 「深呼吸とお水、どっちから?」
  4. 「落ち着いたら、次どうする?」
  5. 「不安なんだね。何を準備すると安心する?」

他者とつながる力:声かけ5選

  1. 「私は困ってる。5分だけ手伝ってくれる?」
  2. 「”助けて”って言っていいよ」
  3. 「〇〇してくれると、助かるんだけど」
  4. 「今日のありがとう、1つ教えて」
  5. 「2人とも気持ちはわかる。どうしたらいい?」

今日から始める3つのアクション

アクション1:タスクを5分単位に分割する
明日の朝、子どもに「次の5分、何からやる?」と聞いてみる

アクション2:感情に名前をつける
今夜、子どもが何か感情を見せたら「〇〇な気持ちなんだね」と名づけてみる

アクション3:今日のありがとうを言い合う
寝る前に、家族で「今日のありがとう」を1つずつ言い合う

小さな一歩から。完璧を目指さず、できることから始めましょう。

まとめ:非認知能力は日常の中で育つ

非認知能力は、特別な場所や高価な教材がなくても育てられます。日常生活の中で、親の関わり方を少し変えるだけで、子どもは確実に成長していきます。

この記事のポイント:

  1. 小さく始める:5分単位、1問単位、1つの役割
  2. 感情を認める:否定せず、名づけ、対処法を一緒に
  3. 協力を教える:アイメッセージ、役割の可視化、感謝の共有

明日から、1つだけ試してみてください。その小さな変化が、お子さんの大きな成長につながります。お子さんの年齢やタイプによって合う対応は異なりますので、我が子にどんな対応が合うのかを知りたい場合は、お気軽にお問い合わせください。

前編を読む:

👉 非認知能力とは?家庭で伸ばす3カテゴリの基礎知識【前編】 – みちびき | 伸びゆく力を共に育む、親子のみちしるべ

みちびきの家庭教育コンサルティング

「うちの子の場合は?」「どこから始めればいい?」そんな疑問にお答えします。お子さんの状況に合わせた具体的なプランを一緒に作りましょう。

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Profile

佐藤 博

佐藤 博家庭教育コーディネーター/
代表カウンセラー(みちびき)

15年間、不登校や母子登校のご家庭を訪問支援。子どもの「自分で社会とつながる力」を育む土台づくりに尽力。文科省協力者会議委員やいじめ対策委員も歴任。「傾聴で終わらせない、変化につながる関わり」が信念。お子さんへの直接支援に加え、ご家庭の課題を可視化し、親御さんと共に解決するスタイルが特長。家庭教育等の講演・研修も多数。「家庭からはじまる社会的自立支援」を推進します。

鈴木 博美

鈴木 博美家庭教育コーディネーター/
統括ディレクター(みちびき)

家庭教育アドバイザー・訪問カウンセラーとして9年間、不登校や親子関係に悩むご家庭を支援。2025年、支援10年目を迎えます。全国の家庭への直接支援を通し、親御さんとの対話で子どもの社会的自立をサポート。家庭内の会話や関わり方を可視化し、非認知能力を育む声かけや実践的なアドバイスで親子に伴走。保護者向けセミナーや講演も多数。「支援に迷う方こそ安心して相談できる存在」を目指し、家庭の再構築に丁寧に取り組みます。

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